
7月15日、ソニーがハイエンドのレンズ一体型コンパクトカメラ「RX1R III」を発表しました。約6100万画素のフルサイズセンサーと、35mm F2の単焦点レンズを搭載しており、2015年に登場した「RX1R II」から約10年ぶりの後継機です。8月8日に発売予定で、7月23日 (水) 10時より予約注文が開始します。市場推定価格は66万円。
発売に先駆けて、ソニーストアにて先行体験ができるとのことだったので、さっそく予約して行ってきました!実際にカメラを触って体験した感想をお伝えします。

コンパクトなカメラが大好きなわたしとしては試さずにはいられない大注目のカメラです!
異次元のコンパクトさと軽さ。こんなカメラが欲しかった

「RX1R III」の特徴は、フルサイズのイメージセンサーと35mmF2の明るいレンズを搭載しながら、非常に小型で軽量なデザインに仕上げられている点です。外形寸法(幅 x 高さ x 奥行)は、約113.3 x 67.9 x 74.5mm(レンズ先端からモニターまで)。質量はバッテリーとSDカードを含めて約498gです。
初めて目にして手に取ったときも、そのかわいらしいサイズに驚きました!




フルサイズで、このサイズに収めてくれているのがやはり素晴らしいですよね。気軽に撮影を楽しむうえでは、コンパクトボディは正義。センサーやレンズなど、大事な画質・描写性能には妥協しないで携帯性を磨いているのが大きな魅力です。
メイドインジャパンで上質な美しいデザイン
全体的なサイズで見ると前機種の「RX1RII」とそこまで大きく違いがあるわけではないのですが、外観の印象は異なる点が多数あります。例えば、カメラの天面のデザイン。フラットな形状でダイヤルやボタンのでっぱりがほとんどありません。


この天面がめっちゃきれい!必要なボタンやダイヤルをきちんと備えつつもシンプルですっきりして見えます。
カラーリングにもこだわりが見られ、全体的にモノトーンの度合いが高まっています。ダイヤルやボタンの印字が白で統一されており、本機には赤いRECボタンさえありません。以前は存在感のあったレンズ根元のオレンジのリングも、新しい「RX1R III」はごく控えめで意識して見ないと存在に気付かないほど。

外観の塗装もリニューアルされており、「RX1R III」には新開発の「アイアンブラック塗装」が採用されています。実際に見てみると、金属の光沢があまりなくマットな質感でした。前機種「RX1RII」と比べると指紋が目立ちにくくなっています。

ボディはマグネシウム合金製。手に持った質感としては、金属らしい高級感があるのですが、ボディからすこし熱のぬくもりを感じたのが気になりました。試用したのはソニーストアの店内。直前まで他の方がハンズオンで撮影していた影響もあってかすこし熱を持っていたようです。小型ボディなので、きちんと排熱して夏の屋外などの撮影でも支障なく運用できるのかどうかは気になるところです。

レンズにはカールツァイスの単焦点レンズ「ZEISSゾナーT* 35mm F2レンズ」を採用。これは前機種の「RX1RII」で評価の高かったレンズを踏襲しています。
軽量・小型化にこだわった設計のため、背面のモニターは固定式。近年一般的なチルトやバリアングルのようにモニターの角度を変えることはできません。またセンサーシフト式のボディ内手振れ補正は非搭載。写真も動画も撮れるカメラではあるものの、基本的にはスチル用途を想定した作られたカメラと言ってよいでしょう。
実際に撮影してみた!マクロも撮れるのが楽しい
ソニーストア内で、「RX1R III」を用いて実際に撮影させてもらいました。本機はAIプロセッシングユニットを搭載。被写体の形や動きを高精度に認識して自動でフォーカスを合わせてくれます。猫の人形にカメラを向けてみたところ、的確に瞳にフォーカスを合わせてくれました。

またクリエイティブルックには最新の「FL2」や「FL3」などを搭載。フィルムルックなおしゃれなカラーを楽しむことができます。


レンズのリングでマクロ撮影モードに切り替えることが可能で、被写体に最短で20cmまで近づくことができます(最大撮影倍率:0.26倍)。マクロ好きなわたしとしては嬉しいポイントです。

わたしは日常生活のなかで家族や友人、普段の食事、出かけた先の風景などをスナップして楽しみたいので、35mmでF2のレンズは最高に使いやすいと感じました。ソニーの写真の色も良いですね。

レンズには絞りリングを搭載。クリック感があって操作しやすいです。絞りはリングでの操作となりダイヤルでは絞りの変更ができないと聞いたので、その場合片手で撮影したいときに不便かもしれないと思いました。

6100万の高画素センサーを生かして、クロップ撮影機能にも対応しています。ボタン操作(デフォルトでは”C1″)で35mmから50mmや70mm相当の3つの画角に切り替えられます。



RAWでクロップ撮影する場合、ファイルにはトリミングの情報が残りますが、ピクセルサイズはフルで残るので、現像ソフトでクロップを元に戻すことも可能です。
ケースやグリップは必要?アクセサリー類を試してみた
「RX1R III」用のアクセアリーについても試させてもらいました。




いずれのアクセサリーも、きちんと「RX1R III」に合わせて設計されているので、ジャストフィットしてデザインも高級感があってカメラの美しさを損ないません。

アクセサリーがない状態でも持ちにくいわけではないのですが、ボディケースやサムグリップを取り付けるとホールド感が格段に向上しました。体験するまでは、「せっかくのミニマルなカメラには何もアクセサリーをつけたくない」と思っていたのですが、いざ使ってみると安心してカメラを構えるには「必須」なのではないかと思うほどしっくりきました。


ボディケースをしたままでも、バッテリーや記録メディアの交換が可能。USB Type-Cポート、HDMI micro(TypeD)ポート、マイク入力ポートなどにもきちんとアクセスできます。

ほかにない特別なコンパクトフルサイズ
小さくて軽量なフルサイズカメラ。「RX1R III」は端的に言えばそんなカメラなのですが、実際に触ってみるとより「特別な」カメラだと感じました。特にデザインのこだわりが随所に表れていて、小さくかわいらしくも美しいカメラです。
機能的に言えば、軽快さを生かして身近なモノやヒトをスナップできるカメラだと思います。フルサイズの高画素センサーと、ツァイスの単焦点レンズで、日常をより特別なワンシーンとして記録できます。
きちんとコストがかけられていて、メイドインジャパンの高級感あるカメラです。所有する喜びを刺激してくれる、いまの時代には数少ない希少なカメラではないでしょうか。