【神戸ゆかりの本紹介】「坂野惇子 子ども服にこめた『愛』と『希望』」
ファミリアの創始者のひとり坂野敦子さんがどのような生涯を送ったのか。当時の社会環境やまわりの人間関係について触れながら、その生涯について記述しています。NHK朝の連続テレビ小説「べっぴんさん」でその生涯に興味をもった人や、神戸の街に親しみがある人なら楽しんで読める一冊だと思います。
ドラマが元としているエピソードがわかる!
個人的には朝の連ドラのストーリーのどこまでがフィクションで、どのあたりが事実に基づいているのかの違いがわかって非常に面白く思いました。
例えばヒロインの名前「すみれ」。本書を読んで知ったのですが、坂野敦子さんの夫・通夫さんは出征先のジャワから帰ってくる際に「すみれ丸」という船に乗っていたのだとか。そして通夫さんは帰国の前に「すみれの花が咲くころには帰れそうだ」という手紙を送っています。
おそらくドラマではこのエピソードをもとにヒロインの名前を「すみれ」としたのだと思われます。そしてドラマでもこの手紙のエピソードは描かれ「桜の花が咲くころには帰れそうだ」という文面になっていました。
個人的には、「すみれの花が咲くころ」としたほうが、通夫さんの奥ゆかしい人柄がより伝わるようで好きです。しかしいずれにせよドラマでも描きたくなる印象的なエピソードであることに共感しました。このようにドラマのもととなったエピソードが分かって面白いので「べっぴんさん」視聴者の方には強くおすすめしたい本です。
昔の神戸がどのような街だったのか現状との比較で知れる!
坂野敦子さんはいまの住吉・魚崎のあたりで生まれ、結婚後は岡本のあたりに新居を構えました。戦前の儚くも幸せな時代の街の様子や、戦後の闇市や三宮のアーケード街ができたころの話なども。ファミリアの創業・発展の話とともに戦前の神戸や戦後復興・発展の様子を知ることができます。いまの神戸の街をよく知る人にとって非常に興味深く読めるのではないでしょうか。
基本的には調べ読み物
著者の青山誠さんはフリーライター。島根県出身。大阪芸術大学卒業。旅と歴史を主なテーマに文筆活動をされているそうです。
本書は「あとがき」がなく具体的にどのように取材してこの本を書かれたのかよくわかりません。おそらく朝の連ドラが始まるに際して、本を読んで調べたものを読みやすく再構成したというところだと思います。本書で登場する場所の現在の様子の写真がいくつも掲載されており、現在の町の様子の描写があるので、神戸の街を実際に歩いた取材もされているのだと思います。
残念ながら、坂野さんがどのように考えていたかについては、ほぼすべて推測のかたちで記述されており、坂野さんやそれに近しい人たちに実際に話を聞いたわけではなさそうです。ご本人への取材をもとに書かれた本を探しておられる方にはおすすめできません。
参考文献のリストを見ると、ファミリアや坂野さんに関わる本が2冊。神戸の街に関する書籍が8冊。
文庫本で190ページほど。固有名詞や少し難しめの漢字にはルビがふってあって読みやすいです。税別600円と価格もお手頃。
ちなみにファミリアの神戸元町本店と銀座本店にて「ファミリアの軌跡展」開催中です。
「神戸別品博覧会」もおすすめ。神戸元町の以前メディテラスがあった建物で開かれている催し物。三階でドラマに関する展示があります。
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