一眼カメラを買う人によくあるニーズが「背景のボケた写真を撮りたい」というもの。カメラの性能で背景ボケに影響すると考えられるものに「センサーサイズ」があります。フルサイズはボケやすい、マイクロフォーサーズはあまりボケないと言われますが、実際どれくらい背景ボケに違いが出るのか異なるセンサーサイズのカメラで比較してみました。
神戸ファインダーをご覧いただきありがとうございます。Aki(@Aki_for_fun)です。
一眼カメラを買う人が憧れる写真のひとつが背景が良い感じにボケた写真ではないでしょうか。
背景がボケているとなんだか一気にプロっぽい雰囲気の写真に仕上がりますよね。こういった写真を撮るにはどんなカメラが良いのでしょうか。
背景がボケる写真を撮るにはセンサーサイズが大きいほうが良いと言われています。しかし、センサーサイズの違いを自分で比べて見たことのある人はあまりいないのではないでしょうか。そこでセンサーサイズは背景ボケにどう影響するのか、違いがあるとすればどの程度差があるのか調べてみることにしました。
今回撮影に用いるカメラはオリンパスのPEN E-PL9(株式会社rentryさんからお借りしました)。特に初心者に人気の高いカメラですが、マイクロフォーサーズというすこし小さなセンサーサイズのために背景をボカしにくいと言われることが多いです。
わたしはよりセンサーサイズの大きいキヤノンのEOS Kiss Mを持っているので、これとPENで背景ボケを撮り比べてみることにします。
そもそもセンサーって?サイズの違い
カメラはレンズを通して入ってきた光をイメージセンサーで受け取ることによって映像を記録します。このイメージセンサーのサイズが大きい方がより高画質になると一般的に考えられています。また背景のボケもセンサーサイズが大きい方がボケやすいと言われています。
一眼カメラのセンサーサイズは主に三種類。フルサイズとAPS-C、そしてマイクロフォーサーズです。
参考画像:センサーサイズの比較
※画像は実際のセンサーサイズとは異なりますが相対的なサイズ関係はだいたい同じになるようになっています。
オリンパスやパナソニックのミラーレス一眼カメラはマイクロフォーサーズというセンサーサイズです。他社の一眼カメラと比べると小さめのセンサーサイズとなっています。キヤノン、ニコン、ソニーなどの一眼カメラでメジャーなセンサーサイズがAPS-Cです。より高級なカメラになるとフルサイズという非常に大きなセンサーになります。
背景ボケの比較
マイクロフォーサーズの総合的な画質に関する評価はここではしません。あくまで「背景ボケ」の大きさに限定してセンサーサイズの差を比較してみることにします。そして背景がボケたほうが良いとか、ダメとかも言いません。
比較に用いるのはオリンパスPEN E-PL9(マイクロフォーサーズ)とキヤノンEOS Kiss M(APS-C)です。いずれもキットの標準ズームレンズで撮影しています。
比較方法としては同じ被写体を同じ位置から撮影すること。画角が同じくらいになるようにそれぞれのレンズの焦点距離を調整すること。F値は同じ、あるいはできるだけ近い数値にして比べます。
下の画像のように三脚を立ててカメラをセットして撮影しました。
マイクロフォーサーズの背景ボケ
まずはオリンパスPEN E-PL9で撮影した写真から。写真の下にセンサーサイズと焦点距離、F値を記載しています。真ん中の犬の人形にピントを合わせています。
APS-Cの背景ボケ
次にEOS Kiss Mで撮影した写真です。
マイクロフォーサーズとAPS-Cの背景ボケ比較
それではこれらの写真を同じF値(あるいは近似値)のもので比較してみます。左がマイクロフォーサーズで右がAPS-Cです。
最初の比較だけレンズの都合でF値が異なります。マイクロフォーサーズがF4.5、APS-CがF5.0です。
次にF5.6
F8
F11
F16
最後にもう一度F5.6の写真だけ並べます。
撮影位置に若干の誤差があると思いますが、このように比べてみるとセンサーサイズがAPS-CのEOS Kiss Mのほうがより背景がボケていることがわかりますね。
ただし、マイクロフォーサーズでも背景をボカすことはできています。程度の差はありますがマイクロフォーサーズでも背景がボケる写真は撮れます。
背景が大きくボケる条件
こうして撮影して写真を比べて見たのですが、実は背景がより大きくボケる条件というのは決まっていて4つあります。
- F値を小さくする
- 焦点距離を長くする(望遠にする)
- 被写体とカメラの距離を狭める
- 背景を遠くする
一つ目のF値については今回の写真のうちセンサーサイズが同じものどうしを比べてみるとわかると思います。F値が小さいほうが背景はよりボケています。
二つ目の焦点距離の条件が今回のセンサーサイズの比較に関わっています。この記事の実験ではオリンパスPEN E-PL9もキヤノンEOS Kiss Mも同じ位置から撮影したので、同じ画角に合わせるためにEOS Kiss Mの焦点距離のほうが長くなっています。PENが焦点距離24mmに対してEOS Kiss Mが焦点距離30mmです。このためEOS Kiss Mのほうが背景がボケているのです。
今回の撮影では被写体をまったく動かしていませんが、メインの被写体をカメラに近づけると背景はより大きくボケます。
このあたりの理屈についてはstudio9さんの記事が詳しいです。
フルサイズはAPS-Cよりボケやすい!はウソだけどホントでもある理由。 | studio9
理屈がわかってなくても写真は撮れますが、もし興味のある人はカメラ関連の書籍を買って勉強してみると良いです。いま紹介したstudio9を運営されている中原さんが書かれた書籍「写真のことが全部わかる本 」が個人的にはおすすめ。
※ピントの合う範囲のことを専門用語で「被写界深度」と言います。被写界深度が浅いとか深いとか、そのコントロールをどうすべきか、みたいな話はちゃんと書籍で勉強したほうが為になると思います。
まとめ 背景ボケ写真を前提にしたカメラ選び
今回比べてみてわかったようにマイクロフォーサーズは一眼カメラのなかではセンサーサイズが小さいので、実際の撮影では焦点距離が短くなりがちで結果的に背景がボケにくいです。背景ボケを重視してカメラを選ぶならフルサイズやAPS-Cなど大きなセンサーサイズのものをおすすめします。
しかし、あくまでAPS-Cやフルサイズなどのより大きいセンサーのカメラと比べた場合に、ボケにくいだけで背景がボケないわけではありません。
個人的な意見としては一眼カメラであればあまりセンサーサイズは気にしなくて良いと思います。マイクロフォーサーズでも普通のコンデジやスマホよりもセンサーが大きくて背景ボケの写真を楽しむことができます。
またボケの大きさにはレンズの絞りも影響するのでF値の小さい明るいレンズを組み合わせると簡単に背景がボケる写真を撮れます。お持ちのカメラで背景があまりボケないと悩んでいる人は明るい単焦点レンズを試してみてください。
明るい単焦点レンズの例
今回撮影に用いたカメラ
オリンパスPEN E-PL9は株式会社rentryさんでお借りしました。
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