「みなとこうべ海上花火大会」の撮影に行ってきました。撮影にあたって勉強したり自分なりに試行錯誤したことをふまえて、花火撮影の機材とテクニックについて書いてみます。こちらの記事は「Part2 テクニック編」です。カメラの設定や撮影方法、花火会場で気をつけるべきポイントについてまとめます。
Part1 機材編はこちら。

撮影した花火の写真や動画はこちらでご覧いただけます。

追記(2017年8月7日):「第47回みなとこうべ海上花火大会」の写真と動画をアップしました。

一眼レフ・ミラーレスカメラの設定と撮影方法
一眼レフカメラやミラーレスカメラといったカメラでの撮影方法を説明します。高級コンパクトデジタルカメラでも同様の撮影ができます。
花火写真の撮影方法
写真と動画では設定や撮影方法が変わります。まずは花火写真の撮影方法について。
マニュアルモードでバルブ撮影
まず大前提として「マニュアルモード」にすることです。初心者の方は、マニュアルモードをほとんど使ったことがないかもしれませんが、特に難しいことはないので安心してください。
マニュアルモードに設定したらシャッタースピードをバルブ撮影に設定しましょう。カメラにもよりますがシャッタースピードを遅い方にしていくといちばん最後に「BULB」がでてきます。
カメラによってはバルブ撮影専用の「バルブモード」があるのでそれに設定しましょう。
バルブ撮影で花火を撮る方法
バルブ撮影とは、シャッターボタンを押している間シャッターを開く撮影方法です。長い時間シャッターを開くことになるので三脚の利用が大前提です。花火撮影の際は一枚の写真にあたり数秒程度ですが、天体写真などでは数時間もシャッターを開いて撮影を行うことがあります。
シャッターを開くのは花火が打ちあがっている間です。基本は花火の打ち上げと同時にシャッターを開いて花火が綺麗に花開いて消える頃にシャッターを閉じます。だいたい3〜5秒が目安。
撮影を始める前はタイミングが難しく感じるのですが、撮影しているうちにだいたい花火のリズムがつかめるようになります。複数の花火を写真におさめたい時はより長い時間シャッターを開いておきます(10~20秒くらい)。
「機材編」でも紹介しましたが、バルブ撮影の際は「レリーズ」や「リモコン」などカメラ本体に直接触らずにシャッターを切れる道具があると便利です。私は直接カメラのシャッターボタンを押す方法で撮影してみましたが、やはり花火の線が少しゆがんだり、二重に見える写真がいくつかありました。
追記(2017年8月7日):リモコン使ったらやっぱり快適に撮影できてよかったです。
三脚を使うときは手振れ補正をOFFに
多くのレンズは三脚利用時は手振れ補正機能が誤動作を起こす可能性があります。そのため、カメラを三脚に固定する場合は手振れ補正をOFFにすることが推奨されています。
ISO
「100」に設定します。夜の撮影で周りが暗いのでISOを上げたくなるのですが、花火自体はとても明るいのでISOは「100」で綺麗に撮れます。100に設定できない場合は、お持ちのカメラでセットできる最も低い値(最も高画質で撮れる数字)にしてください。
絞り
とりあえず「11」に設定します。とりあえずと書いたのは、花火の明るさや好みに応じて微調整が必要になるからです。花火もひとつひとつ明るさが異なります。撮影して撮れた写真を見て良い具合の露出になっているかを見ながら絞りを調整しましょう。
暗すぎると思ったら絞りを少し開いて「8」くらいにしたり、逆に明るすぎる、明るい花火が打ちあがっていると思ったら絞りを「13」や「16」まで絞ってあげると良いです。これも撮っているうちに感覚がつかめます。
ホワイトバランス(WB)
特に正解はないというのが個人的な見解です。重要なのはWBによって色合いが影響されること。オートに設定するとコロコロと色合いが変わってしまう恐れがあるので、何か好みのものに設定しておくと良いでしょう。
画角は広角
フルサイズのカメラなら24mm〜70mm、APS-Cなら17mm〜50mmくらいの焦点距離をカバーするズームレンズが便利です。
望遠気味で撮ると花火がはみ出てしまって綺麗に撮れないリスクがあります。広角で撮れば後でクロップ(トリミング)しても良いので安心です。また花火だけを撮るのではなく、風景もおさめたいなら広角や、超広角のレンズも適しています。
縦向きか横向きか
好みもあるでしょうが私は「縦向きと横向きの両方」をおすすめします。いくつか写真のバリエーションがあったほうが面白いです。花火は地上から空に打ち上げるので、その軌跡の光の筋と開いた花火をおさめるには縦向きの構図が収まりが良いかもしれません。複数の花火が空に広がっている時や、風景と一緒に花火を撮るには横向きのほうが適していることもあるでしょう。
縦と横での構図両方を試す時は、「機材編」の記事で紹介した「L型プレート」が便利です。
花火動画の撮影方法
花火の写真はバルブ撮影を基本とするので、撮れる映像は自然と線で描かれたような花火が多くなります。一方動画では写真では表現しにくいキラキラと点滅する花火の様子を記録できます。また動画は音声も記録できる点が大きな魅力です。花火が打ち上がる音や、歓声は花火大会の臨場感を伝えてくれます。
画角は広角で固定
ついつい動かしてしまうより広めの画角で固定した方が見る側には快適。Akiは今回ズームを色々といじってしまいましたが次回は動画用のカメラと三脚を用意してずっと固定して撮りたいです。
追記(2017年8月7日):今年も花火の動画を撮りました。カメラに広角レンズをつけてビデオ用一脚にセットして撮影。この組み合わせで正解でした。特にビデオ用一脚は混雑した場所での撮影に活躍するのでおすすめです。
シャッタースピード
シャッタースピードはフレームレート(fps)に合わせて1/30〜1/60。花火に限らず一眼ムービーはこの程度のシャッタースピードが基本だと思います。
露出は絞りとISOで決める
絞りとISOで露出を決めましょう。これが少し難しいです。色々試して、私の場合はISO「800」、絞り「5.6」に落ち着きました。
写真と違い動画はシャッタースピードの融通があまり効かないので、ISOと絞りで露出を調整することになります。写真ではISO100で撮影できますが、動画ではさすがにそれでは花火が暗くて映りません。ノイズが目だない程度にISOを上げてやる必要があります。また、レンズの絞りもいくらか開いて明るさを調整すべきでしょう。
※ISO感度や絞り開放の映りはそれぞれのカメラやレンズの性能で変わってくることなので、一概に正解の値が何かとは言えません。ISOをオートにするのも良いかもしれません。
三脚を使うときは手振れ補正をOFFに
写真撮影のときと同じく手振れ補正の誤作動を防ぐために、三脚利用時は手振れ補正をOFFにします。
スマホ(iPhone)の設定と撮影方法
iPhoneなどのスマホでの撮影も基本は一眼レフやミラーレスカメラと同じです。ただし、スマホのカメラでは一眼レフと同じように設定できることもあれば、できないこともあります。そのあたりに注意してスマホでの花火撮影についてまとめてみます。
おすすめカメラアプリ(有料)
まずスマホのカメラで出来ることを増やしましょう。標準のカメラアプリでも花火の撮影ができないわけではありませんが、アプリを追加することで撮影しやすく、写真のクオリティが簡単に上がります。
スマホの花火撮影で重要な機能は「スローシャッター」と「露出・フォーカスのロック」です。お持ちのスマホに入っているカメラアプリでこれらの機能が入っていれば問題ありません。ちなみにiPhoneなら標準のカメラアプリで「露出・フォーカスのロック」はできます。
おすすめのカメラアプリをいくつか紹介します。いずれも有名で多くの人に愛用されているアプリです。もし無料のものが良ければ上に書いた機能を使えるものを選んでください。
Camera+
「Camera+」は使いやすいインターフェイスとお手軽に写真を格好良く編集できるフィルターが人気。カメラ初心者がワンランクアップを目指すのに丁度良いカメラアプリです。私も使っています。
ProCamera
「ProCamera」は課金で追加できる機能も多くあり、多機能なカメラアプリ。Camera+では対応していない動画機能もあります。お金はかかりますが充実のカメラ機能が欲しい人におすすめ。
FiLMiC Pro
「FilMic Pro」はプロフェッショナル向けの動画撮影アプリです。ちょっと高いアプリですが、細かな設定ができるのでiPhoneで動画撮影といえば「FilMic Pro」と言えるくらい定番のアプリです。私も使っています。
Mavis
「Mavis」もプロフェッショナル向けの動画撮影アプリです。「FilMic Pro」ほど歴史はありませんが最近評判の高い動画撮影アプリです。
三脚でスローシャッター
スマホで撮影する際もやはり三脚は必須です。逆に言えば三脚があるだけで写真と動画のクオリティは飛躍的に上がります。
ちなみに、iPhoneの標準のカメラアプリはスマホの音量調節ボタンもシャッターボタンとして機能します。これを利用して音量調節ボタンが付いているイヤホンをレリーズの代わりとして使うこともできます。
フォーカスは遠くのものに合わせて固定
一眼レフの設定の際に「マニュアルフォーカス」にすると書きました。これはフォーカスの位置が勝手に変わらないようにする目的がありました。スマホの場合でも同様にオートフォーカスの機能をオフにして、フォーカスを固定する必要があります。
iPhoneの標準カメラアプリの場合、画面でフォーカスを合わせたいところをタッチすることでそこにピントが合います。そしてその場所を長押しすることでフォーカスロックできます。
花火撮影の際はあらかじめ明るいうちに遠くの建物にピントを合わせてフォーカスロックしておきましょう。あるいは花火の打ち上げが始まってから画面上で花火の映るところをタップしてフォーカスロックしましょう。
暗いとなかなかピントが合わないのでピントが合わなければやり直してください。何度か試すうちにちゃんとピントが合います。くれぐれもピンボケの状態のままフォーカスロックしないよう注意してください。
場所取りと立ち振る舞いの注意点
カメラの設定以上に重要なのが場所取りです。また実際に撮影に行ってみて立ち振る舞いで注意すべき点をいくつか気づいたので書いておきます。
打ち上げ場所を把握してよく見えるところを確保
花火撮影で最も大事なことが場所取りと言って良いでしょう。撮影してみてこれを痛感しました。けっきょくどんな映像が撮れるかは場所次第です。
まずどこで花火が打ち上げられるのか、それがよく見える場所はどこなのか調べます。もし選べるのであれば風上のほうが花火の煙に邪魔されずにすむのでおすすめです。
「みなとこうべ海上花火大会」のおすすめ観覧スポットはこちらの記事にまとめています。

そして花火が見えるロケーションの中でも邪魔な障害物がない一番良い場所から撮影するには、花火大会の何時間も前から場所取りをしなければなりません。これが大変です。夏の暑い中ずっと待機するわけにもいかないと思うのでレジャーシートで場所をとるなどの工夫が必要です。
行儀よく
行儀よくしましょう。当たり前ですが花火大会には大勢の人が来ます。そして大多数は純粋に花火を見て楽しみたい人たちなので、撮影する際は周りの人に迷惑をかけないよう心がける事が大事です。座って観覧する場所なら三脚の高さを座った状態の目線の高さに合わせて後ろの人の邪魔にならないようにします。
また周りの人に気兼ねなく撮影するには早くから場所取りをして三脚を立ててしまうと良いです。三脚を立てておけばそこで撮影するということがまわりに分かってもらえるので、他の人もそのことを分かった上で場所を選ぶことができます。良い場所をとれたと思っていたのに、もし花火大会開始直前に自分のすぐ前で大きな三脚を立てられてしまっては最悪ですよね。
会場の雰囲気を撮る
花火撮影のことばかり考えていると、ついそちらに集中してしまってまわりのものが目に入らなくなりがちです。しかし、花火大会は花火以外にも魅力的な被写体がたくさんあります。出店が出ていたり、浴衣を着て遊びに来ている人たちがいることでしょう。会場の様子が伝わるような写真・動画も撮ると映像のバリエーションに幅が出て良いです。
まとめ
以上、花火撮影の機材とテクニックPart2テクニック編でした。オートでは撮影の難しい花火もマニュアルで設定をいくつか整えるだけで簡単にきれいに撮れるようになります。また設定以上に大切な「場所取り」も気合を入れて頑張ってみてください。
パート1機材編の記事はこちら。

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