神戸市・東灘区にある「旧乾邸」の観覧会に参加してきました。普段は中に入れない昭和初期の名建築ということもあり、観覧には申し込みが殺到。なんと運良く当選し観覧会に参加することができましたので、その模様を多くの写真とともに詳しくご紹介します。
神戸ファインダーをご覧いただきありがとうございます。Aki(@Aki_for_fun)です。
2017年、2018年と「旧乾邸」の特別観覧に応募して見学させてもらいました。非常に優れた建築の内観や外観の写真をたくさん撮らせてもらったので、その写真とともに乾邸についてレポートします。
昭和の名建築・旧乾邸とは
旧乾邸の特徴
旧乾邸は、乾汽船株式会社を設立した乾新治氏の自宅として、昭和10年頃に建築されました。場所は旧住吉村(現在の東灘区の一部)の山麓部。当時は多くの富豪たちが暮らした地域です。
見学はお客様用の玄関から入らせてもらいました。乾邸では一家の人が使う玄関や、使用人が使う玄関や勝手口などが区別されています。
玄関は美しい緑のタイル壁。
玄関に飾ってあるこちらの美術品は非常に高価なものだそうです…!
玄関入ってすぐのロビー。オレンジや黒の模様の床は「硬化ゴム」というものでできています。もし破損するともう修復不可能になってしまう貴重なもののようです。
乾邸の設計者は渡邊節氏。旧住吉村にもゆかりある人物で、近代日本を代表する建築家のひとりです。渡邊氏の代表作のひとつである乾邸は、洋風のデザインを基盤としながらも日本らしさを取り込んだ和洋折衷が特徴。重厚さの中に繊細なデザインを取り込んでいるとの評価を受けています。
また、乾邸にはチーク材がふんだんに用いられています。硬くて長持ちする高級木材ですが、現在は伐採禁止で輸入も難しくなっています。
あらゆるところに装飾がほどこされています。
ゲストルームへ。
豪華なシャンデリアが印象的な部屋です。
このゲストルームは2階の部屋から覗けるようになっていて、どのようなお客が来たのかを確認できるような構造です。
こちらがその2階の部屋。左手に見える小窓から下を見下ろせるようになっています。
この小窓は下のゲストルームから見上げると角度的に天井のあたりしか見えないようになっています。
乾邸は災害や戦災の被害をあまり受けずに非常に良い状態で残っています。
例えば邸内のランプシェードはすべて昔のものが壊れずに残っています。
ガラスや鏡も当時のものが多く残っています。
乾邸は多くが洋室なのですが、なかには和室もあります。
こちらは3階のサンルーム。パーティーに利用されてダンスを楽しめるような空間になっています。窓は新しく修繕したものなのですが、当時から部屋の三面がガラス窓になっていたそうです。
南側の景色です。夏には北の山からこの海側へと六甲おろしの風が吹くことになります。
この部屋からは特徴的な瓦がよく見えます。
乾邸は当時としては最先端のセントラルヒーティングの仕組みが整えられています。サンルームにはその名残の温度計があります。
乾邸の建築費用は当時40万円。現在の価値に換算すると20億円もの巨額になるそうです。たくさんの職人を雇って、たった9ヶ月で設計から建築までが完了しました。
乾邸はまさに「阪神間モダニズム」を象徴する豪華な大邸宅です。建築としての素晴らしさもさることながら、当時の姿を残す庭園の貴重さが認められ、門や塀も含めた建物の全体が神戸市指定有形文化財になっています。
映画のロケ地にも
旧乾邸は映画のロケ地として使われたこともあります。
- 探偵・由利麟太郎
- 日本のいちばん長い日
- アルキメデスの大戦
場所とアクセス
住所:神戸市東灘区住吉山手5丁目-1-30
アクセス:
- 阪急御影駅から北東へ徒歩約10分。
- 阪神御影駅またはJR住吉駅から市バス38系統(渦森台行)に乗り「白鶴美術館前」下車。南西へ徒歩約2分。
※駐車場はありません。
TEL:078-322-5165(神戸市市民参画推進局 文化交流部)
私が応募参加したのは下記の特別観覧。
2017年5月は約2000件、2018年5月は1500件もの応募があったそうです。すごい人気ですね!だいたい春と秋に特別観覧が行われます。応募が必要なので機会をお見逃しなく。
写真
関連建築物
渡邊節氏の設計したほかの建築物には「商船三井ビルディング」(旧大阪商船神戸支店)があります。
旧乾邸の近くには阪神間モダニズム建築を代表する建物のひとつ「白鶴美術館」があります。
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