ライブ配信やビデオ会議など音声を収録する際に便利な「NVIDIA RTX Voice」を紹介します。エアコンやパソコンのファンの音、キーボードの打鍵音などの環境ノイズ・雑音を自動で抑えてくれます。
神戸ファインダーをご覧いただきありがとうございます。最近は自宅のスタジオっぽくしようと環境を整えているAki(@Aki_for_fun)です。
最近はYouTubeで動画投稿したり、ライブ配信やビデオ会議をする機会が増えていますよね。自分で音声を録ると気になるのが周辺環境の雑音です。空調やパソコンの動く音、キーボードやマウスを操作する音や、まわりの生活音など様々なノイズがまじりがちです。一般家庭にあるような簡易的なマイクだと「サー」という高周波の雑音が耳障りに感じることもあるのではないでしょうか。
そんなときにおすすめなのが「NVIDIA RTX Voice」です。無料で使えて、簡単な設定だけでノイズの少ないきれいな音声で収録できます。これを使ってみたところ画期的な機能だったのでご紹介します。
従来だとノイズを除去してより聞き取りやすい音声にするには、音声専門のソフトウェアをつかって処理をかける必要がありました。その場合、有料のソフトを用意したり専門知識が必要で、初心者にはハードルが高いです。それに対して「NVIDIA RTX Voice」は無料で手軽という大きなメリットがあります(ただし使用条件あり)。その魅力と使い方について詳しくお伝えします。
公式サイト:NVIDIA RTX Voice: Setup Guide
※NVIDIA RTX Voiceは、2020年4月に公開され記事執筆時点ではまだベータ版です。
追記:その後アプリの開発が進み、現在はNVIDIA Broadcastという多機能アプリの中に”Noise Removal”という名前でRTX Voiceのノイズ除去機能が組み込まれています。
NVIDIA RTX Voiceというアプリも残っていてこれ単独で使うことも可能です。
RTX Voiceを使うとこんなにクリーンな音声収録ができる
下の動画を見てもらうとRTX Voiceの強力なノイズキャンセル機能がよくわかると思います。子どもが後ろで騒いでいる音をよく抑えられている(03:19~04:02あたり)ほか、うるさいファンの音も目立たなくできています(05:46~06:29あたり)。
※わたしもRTX Voiceの効果をテストする動画を撮ったのですが、、わたしの環境だときちんとノイズを抑えることができたものの効果が地味で分かりにくかったので動画はお蔵入りにしました。そのかわり記事の最後にわたしがテストして気づいたことについてまとめておきます。
様々なウェブ会議・配信ソフトウェアに対応
NVIDIA RTX VoiceはOBSやZoomなどの人気ソフトをはじめ、様々なウェブ会議アプリ、配信・収録ソフトに対応しています。
使用可能なソフト・アプリの一例(公式サイトより引用)
- OBS Studio
- Streamlabs
- XSplit Broadcaster
- XSplit Gamecaster
- Twitch Studio
- Discord
- Google Chrome
- Battle.net Chat
- WebEx*
- Skype*
- Zoom*
- Slack*
- Teams*
- Steam Chat**
一部アプリの使用上の注意点
*ソフトウェア使用時になにかメッセージが表示される可能性あり
**「ノイズキャンセル」機能はオフ推奨
上記のもの以外にも様々なソフトウェアに対応します。パソコンに仮想上のマイクやスピーカーを認識させる仕組みなので、マイクやスピーカーを選択できるソフトであれば基本的にすべて使うことができます。
例えばわたしは動画編集ソフトのDaVinci Resolveでナレーションの収録をするのですが、その際にもRTX Voiceを使用可能でした。DaVinci ResolveのFairlightにも音声ノイズ除去機能はありますが、環境次第ではRTX Voiceのほうが手軽で効率的にノイズを圧縮できました。
NVIDIA RTX Voiceを使うための条件
NVIDIAの対応グラフィックスが必要
RTX Voiceを使用するためには、パソコンにNVIDIAのGeForce RTXシリーズやQuadro RTXシリーズののグラフィックスカードを搭載していなければなりません。またOSはWindows 10です。
対応グラフィックスカードの例:
- GeForce RTX 2080Ti
- GeForce RTX 2080 SUPER
- GeForce RTX 2080
- GeForce RTX 2070 SUPER
- GeForce RTX 2070
- GeForce RTX 2060 SUPER
- GeForce RTX 2060
- Quadro RTX 8000
- Quadro RTX 6000
- Quadro RTX 5000
- Quadro RTX 4000
- Quadro RTX 3000
…など
※一部のGTX系のグラフィックスカードでも使う方法があるようです。検索してもらえれば方法はでてきますが、裏技のようなものなので推奨はいたしません。気になる方は調べてみて自己責任のうえでお願いいたします。
ドライバーのバージョンをアップデート
RTX Voiceを使うためには、グラフィックスのドライバーを410.18以降のバージョンにアップデートしておかなければなりません。
RTX Voiceのインストールと設定
NVIDIA RTX Voiceは公式サイトよりインストールします。”Download the App.”をクリックするとインストーラーをダウンロードできます。
インストールが完了したら設定です。
入力(Input)と出力(Output)それぞれにRTX Voiceのノイズキャンセルをあてることができます。
Input deviceから自分の使いたいマイクを選びます。”Remove background noise from my microphone”にチェックを入れると環境音のノイズ低減機能をオンできます。さらに”Noise Suppression(%)”のバーを動かすことでどの程度ノイズ圧縮するか設定できます。
音声出力側のスピーカーやヘッドフォンのほうにもRTX Voiceを適用してノイズ低減することもできます。Output deviceから任意のスピーカーを選びます。
自分の音声をノイズ少なくクリアに収録することが目的であればInput Deviceを設定するだけで大丈夫です。もしウェブ会議などでよその人の音声のノイズを少なくしてモニターしたいときはOutput deviceを設定するとよいでしょう。
参考:わたしの設定画面
わたしの場合はマイクをオーディオインターフェイス経由でパソコンにつないでいるので、Input deviceでオーディオインターフェイスのライン入力を選びました(Steinberg UR12がオーディオインターフェイスの名前です)。Output deviceのほうは特に必要ないのでチェックを外しています。
RTX Voiceの使い方
上の設定を済ませれば、PCや各種ソフトウェアで「NVIDIA RTX Voice」というマイクが選べるようになります。Windowsのサウンド設定で入力デバイスを「マイク(NVIDIA RTX Voice)」にしておけば既定のマイク入力がRTX Voiceになります。
あとはOBSやZOOMなど使いたいソフトウェアを起動して、そちらのソフトでマイクをNVIDIA RTX Voiceにすればオーケーです。
公式サイトに主なソフトウェアのマイク設定がどこにあるか書いてあるので参考になります。
参考:OBSの場合
参考:DaVinci Resolveの場合
RTX Voiceの注意点
わたしがRTX Voiceをしばらく使ってみて気になった点についてまとめておきます。
- 音声にすこし遅れが出る
- GPUに一定の負荷をかけることになる
- ノイズ処理をかけすぎると声の明瞭さが失われる
NVIDIA RTX Voiceを使うとリアルタイムで処理しているためか若干音声に遅れがでます。ほんのわずかなのであまり困らないと思いますが、ライブ配信などでほかにも処理が加わることで遅れが気になるかもしれません。
またグラフィックスカードで処理を行うので、もちろんそこに一定の負荷がかかります。ゲームプレイなどほかにもグラフィックスのパワーが必要な作業を同時に行う場合、処理能力が足りなくなるおそれがあります。例えばゲームのフレームレートが下がってしまうかもしれません。ゲームプレイヤーには使いにくい機能かもしれません。
参考:ASCII.jp:RTX Voiceの超強力なノイズキャンセルはゲームプレイにどの程度影響するのか検証してみた (1/5)
これはRTX Voiceに限らずノイズ処理全般に言えることですが、過度にノイズを消そうとすると大事な音声の部分まで削ることになって声の明瞭さが失われることがあります。必要に応じてRTX Voiceのノイズ圧縮率を下げるなどしたほうが良いかもしれません。
またRTX Voiceを利用しているときに一部音声の乱れがありました。下の動画の24:16~のあたりです(動画の内容はRTX Voiceと関係ありません)。音声の乱れがRTX Voiceが原因かどうかはわかりません。収録ソフト(OBS)やPC側の問題かもしれませんし、複合的な理由かもしれません。一応気づいた点として記録しておきます。
RTX Voiceはどんな人におすすめ?
ビデオ会議やライブ配信の音声品質を向上したい人にNVIDIA RTX Voiceはおすすめです。生活のさまざまな雑音を抑えることができます。手軽に導入できるのであまり難しい設定をしたくない人に特に相性が良いです。
ただし、ノイズ処理をかけすぎると自分の声の音質まで損なう可能性があるので注意しましょう。もしリアルタイムである必要がなく後から音声を編集できるのであれば専門のソフトでノイズ処理をしたほうがより優れた音質の向上を期待できます。
NVIDIA RTX Voiceはどちらかというと気軽にノイズを処理したいときに重宝します。仮想的なマイクを導入する仕組みのおかげでソフトを問わず利用できるのは大きなメリットです。個人的にはオンライン会議やLINE通話などのシチュエーションで役立ってくれました。
わたしが普段利用している録音機材↓
audio technica ( オーディオテクニカ ) ショックマウントホルダー AT8458
USBで直接パソコンに接続するタイプのマイクもあります。
追記:ライブ配信に役立つNVIDIA Broadcastアプリが新登場
2020年9月2日(日本時間)にNVIDIAがオンラインでスぺシャルイベントを開催し、新製品のグラフィックスカードGeForce RTX 30シリーズをお披露目したほか、様々な新技術やソフトウェアを紹介しました。なかでも「NVIDIA Broadcastアプリ」はRTX Voiceの系譜を継ぐソフトウェアで要チェックです。
NVIDIA Broadcastは、GPUとAI処理によって実況配信やビデオ会議向けをサポートしてくれるソフトウェアプラグインです。リリースは2020年9月中を予定。
例えばカメラに映っている人物を自動で認識して、背景をぼかしたり、ほかの画像や映像に合成することができます。デモの映像を見る限り、その切り抜きの精度は優秀で、グリーンバックを用意する必要なく手軽に合成処理ができます(下の動画で1:35頃~)。
また「オートフレーム」という機能があって、人物にズームしたり、人が動いたときに自動でカメラが追従することもできます(カメラそのものが動くというよりはズームインした状態がデフォルトになり、余剰の範囲でカメラが左右上下に動くようです。詳しくは下の動画をご覧ください。2:24頃~)。
RTX Voiceにあるような音声ノイズ処理のプラグインも組み込まれており、さまざまなかたちで実況配信・オンライン会議をサポートしてくれます。
参考:NVIDIA Broadcast アプリのご紹介 – NVIDIA
静音キーボード
静音マウス
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