DaVinci Resolve(ダヴィンチリゾルブ)で動画を編集して書き出すときのおすすめの設定をご紹介します。エンコードの速度を速めるにはグラフィックスやドライバーが鍵になります。ビデオカードの処理能力を活かして書き出し時間の短縮を目指しましょう。
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神戸ファインダーをご覧いただきありがとうございます。ブラックマジックデザインが大好きなAki(@Aki_for_fun)です。編集を済ませて最終的に動画ファイルとして出力するときに、エンコード時間が長くかかってしまい悩んでいませんか。この方法を使えばDaVinci Resolveで動画の書き出し時間が大幅に短くなりますよ!
DaVinci Resolveで動画のエンコード時間を短縮する方法
動画編集ソフトのDaVinci Resolveを使っている人におすすめの設定をご紹介します。
エンコーダーのおすすめ設定
デリバーページ左のビデオの書き出し設定の中から「エンコーダー」という項目に行きます。
標準設定は「ネイティブ」になっています。これを変更して「NVIDIA」や「AMD」、あるいは「Intel Quick Sync」を選びます(選べる項目はパソコンのグラフィックスやCPUによって異なります。)。
PCに搭載されているNVIDIAやAMDのグラフィックスの処理能力を活かしたり、インテルのIntel Quick Sync Video(QSV)という機能を活用することで、高速のエンコードを可能にします。「ネイティブ」を選ぶよりも書き出しの時間が短縮される可能性が高いです。
もしくは「エンコーダー」という項目のかわりに「可能な場合はハードウェアアクセラレートを使用」という項目があるのでこれにチェックを入れます。これでもエンコード時間の短縮が期待できます。
これらの設定の違いで実際にエンコードの時間が変わるか計測しました。
エンコーダー | 動画の解像度 | エンコードにかかった時間 |
---|---|---|
ネイティブ | FHD30P | 0分53秒 |
NVIDIA | 0分14秒 | |
ネイティブ | 4K30P | 1分7秒 |
NVIDIA | 0分32秒 | |
ネイティブ | BRAW 4K 24p | 2分26秒 |
NVIDIA | 0分48秒 |
エンコーダーでNVIDIAを選択したほうがエンコード時間を半分以下に短縮できました。エンコードに用いた素材はそれぞれ2分30秒の尺の動画で簡単なテキストやトランジションなどの編集を施しています。もっと長尺の素材であればこのエンコードにかかる時間差は大きくなります。パソコンはデスクトップでCPUがインテル Core i7-9700K、グラフィックスがNVIDIA GeForce RTX 2070です(マウスコンピューターDAIV DGZ530S2-KBFD)。
エンコード時間の計測に用いたPCはCPUも比較的性能の良いものでしたが、それでもエンコーダーにNVIDIA GeForce RTX 2070を用いることで非常に高速で動画を書き出すことができました。DaVinci Resolveで動画編集する場合、パソコンのグラフィックスカードに高性能なものを搭載するとメリットが大きいです。
残念ながらDaVinci Resolve無償版だとこれらのエンコーダーの選択やハードウェアアクセラレートの使用は選べません。いまのところ有償版のDaVinci Resolve Studio限定の機能です(ブラックマジックデザインの岡野さんがおっしゃってました)。
DaVinci Resolveは無償版でも本格的な動画編集できる素晴らしいソフトですが、有償版だとこのような機能が増えてさらに魅力的になります。ちなみに今回はエンコードの話でしたが、有償版ならデコードにもGPUのパワーを割り当てられるようになるのでかなり編集が快適です。
買い切りのソフトウェアで一度購入すればあとはメジャーアップデートも無料で適用できるので有償版はおすすめです。わたしはブラックマジックデザインのポケシネ4Kを購入したときにDaVinci Resolve Studioのライセンスがついてきたので有償版を使用しています。
参考:動画撮影用カメラならBMPCC4K!わたしがシネマカメラを買った理由
エンコードにかかった時間の比較
参考までにわたしが様々なPCで計測したエンコード時間も掲載します。計測に用いた素材の動画は上で紹介したものと同じです。
表:ノートパソコンのエンコード時間
パソコンの名前とスペック | 解像度 | エンコーダー | エンコード時間 |
---|---|---|---|
FHD30P
|
ネイティブ | 4分14秒 | |
ハードウェアアクセラレート | 0分30秒 | ||
4K30P
|
ネイティブ | 15分45秒 | |
ハードウェアアクセラレート | 1分49秒 | ||
FHD30P
|
ネイティブ | 9分40秒 | |
Intel Quick Sync | 1分37秒 | ||
4K30P
|
ネイティブ | 17分39秒 | |
Intel Quick Sync | 5分13秒 | ||
FHD30P
|
ネイティブ | 2分12秒 | |
AMD | 1分10秒 | ||
Intel Quick Sync | 1分8秒 | ||
4K30P
|
ネイティブ | 8分30秒 | |
AMD | 4分22秒 | ||
Intel Quick Sync | 3分23秒 | ||
FHD30P
|
ネイティブ | 3分7秒 | |
Intel Quick Sync | 0分47秒 | ||
4K30P
|
ネイティブ | 13分7秒 | |
Intel Quick Sync | 2分46秒 | ||
FHD30P
|
ネイティブ | 1分28秒 | |
Intel Quick Sync | 0分37秒 | ||
4K30P
|
ネイティブ | 1分56秒 | |
Intel Quick Sync | 1分26秒 | ||
FHD30P
|
ネイティブ | 1分12秒 | |
Intel Quick Sync | 0分28秒 | ||
4K30P
|
ネイティブ | 5分30秒 | |
Intel Quick Sync | 1分35秒 | ||
マウスコンピューター DAIV 5N Core i7-9750H GeForce RTX 2060 |
FHD30P
|
ネイティブ | 1分9秒 |
NVIDIA | 0分14秒 | ||
Intel Quick Sync | 0分26秒 | ||
4K30P
|
ネイティブ | 5分17秒 | |
NVIDIA | 0分58秒 | ||
Intel Quick Sync | 1分40秒 |
表:デスクトップパソコンのエンコード時間
パソコンの名前とスペック | 解像度 | エンコーダー | エンコード時間 |
---|---|---|---|
Ryzen 7 3700X
Radeon RX5700 |
FHD30P
|
ネイティブ | 48秒 |
AMD | 15秒 | ||
4K30P
|
ネイティブ | 3分8秒 | |
AMD | 53秒 | ||
FHD30P
|
ネイティブ | 52秒 | |
NVIDIA | 14秒 | ||
4K30P
|
ネイティブ | 3分47秒 | |
NVIDIA | 56秒 | ||
(筆者のメインPC)
マウスコンピューター DAIV DGZ530S2-KBFD Core i7-9700K GeForce RTX 2070 |
FHD30P
|
ネイティブ | 53秒 |
NVIDIA | 14秒 | ||
4K30P
|
ネイティブ | 1分7秒 | |
NVIDIA | 32秒 |
※「DAIV-Z7-KBFD」が正直スペックのわりにはエンコードに時間がかかっている印象です。いろいろと設定を見直して計測を試みましたが筆者の環境ではこのような結果でした。
ドライバーのおすすめ設定
ご自身のパソコンにNVIDIAのグラフィックスカードが搭載されている人は、ドライバーをクリエイター向けのStudioドライバーに設定することをおすすめします。
Studioドライバーを適用することでDaVinci ResolveやPremiere Proなどのソフトの処理が効率化されるほか、10bitカラーに対応するなどクリエイターにとってメリットが多いです。
参考:Studioドライバーの詳細 NVIDIA RTX Studio
DaVinci Resolve向けに適しているドライバーなのでエンコード時間も短縮できるかもしれません。ただしわたしの環境ではエンコード時間への影響はあまりありませんでした。
2020年5月26日現在で最新のStudioドライバー(Ver.442.92 2020年4月16日リリース)
GeForce向け → NVIDIA DRIVERS NVIDIA Studio Driver
Quadro向け → NVIDIA DRIVERS Quadro Desktop/Quadro Notebook Driver Release 440 WHQL
下記のリンクからも最新のNVIDIA Studioドライバーを検索してダウンロードできます。自分の利用しているグラフィックカードを選び、ダウンロードタイプの項目で「Studioドライバー」を選択してください。
ドライバーの検索とダウンロード → NVIDIAドライバダウンロード
関連記事:8bitから10bitへ!写真・動画編集するなら知っておきたいPCのNVIDIAの設定

画質を少し落としてみる
どうしても動画エンコードに時間がかかる場合は、書き出す動画の画質の見直してみましょう。
DaVinci Resolveの書き出し設定の品質は標準で「最高」が設定されています。例えばこれを「中」に落とすことでもエンコード時間は短くなります。もちろん画質も落ちるわけですが、実際にはその差が気にならないこともあります。
あるいは解像度で4Kに設定している場合はFHDに落とすこと検討しましょう。一般的な観点からするとFHDでもじゅうぶんに高画質です。
なんとなく画質を良くしたいためにあまりよく考えずに高い品質に設定して動画を書き出しているかもしれませんが、今一度設定を見直して自分が納得できるラインを探してみてはいかがでしょうか。
DaVinci ResolveにおすすめのPC・グラフィックスカード
DaVinci Resolveの処理ははパソコンのグラフィックスカードの性能に依存するところが大きいです。この記事で紹介したエンコーダーやドライバーの設定もグラフィックスに関わるもので、性能の高いグラフィックスカードを選ぶことでDaVinci Resolveでの編集作業は快適になります。
FHDの動画編集から軽い4K動画の編集をする人におすすめ
- GeForce GTX 1650 SUPER
- GeForce GTX 1660
- GeForce GTX 1660 SUPER
など
GeForce GTX 1650 SUPER搭載のおすすめパソコン → マウスコンピューター DAIV Z5
GeForce GTX 1660 SUPER搭載のおすすめパソコン → raytrek XT(レイトレック XT)7764|パソコン通販のドスパラ
4K動画やRAW動画の編集をする人におすすめ
- GeForce RTX 2060 SUPER
- GeForce RTX 2070
- GeForce RTX 2070 SUPER
- GeForce RTX 2080 SUPER
- GeForce RTX 2080 Ti
など
GeForce RTX 2060 SUPER搭載のおすすめパソコン → raytrek ZV(レイトレック ZV)8473|パソコン通販のドスパラ
GeForce RTX 2070 SUPER搭載のおすすめパソコン
インテル派の人向け → マウスコンピューター DAIV Z9
AMD Ryzen派の人向け → マウスコンピューター DAIV A9
DaVinci Resolve用途としては、NVIDIA QuadroシリーズやAMD Radeonシリーズ(Mac搭載を除く)などはあまりおすすめしません。現状Windows PCでDaVinci Resolveを使うにはGeForceシリーズのグラフィックスカードが相性が良くてコスパに優れています。
ブラックマジックデザインがAMDよりもNVIDIAのGeForceのグラフィックスカードを推奨しています。DaVinci Resolveは現在NVIDIAで特に効率的に機能するよう設計されています。
※ただし、わたしがテスト用に借りたPCで編集を試してみたところAMD Radeonのパフォーマンスも決して悪くありませんでした。むしろかなりコスパが良く、上のエンコード計測時間表にも記しましたが非常に優秀です。公式の推奨ではないものの使ってみると意外と悪くないというのが個人の感想です。
ノートパソコンのおすすめ
基本的にデスクトップPCのほうがパフォーマンスは出ますが、ノートPCでもすこし高級なクリエイター向けPCであればDaVinci Resolveで快適に動画編集できます。
NVIDIA GeForce RTX 2060搭載のノートPC → マウスコンピューター DAIV 5N
New!!(2020年8月発売) 有機EL4Kディスプレイ搭載 → マウスコンピューター DAIV 5N-OLED
New!!(2020年8月発売) タッチディスプレイ搭載 → HP ENVY 15
NVIDIA GeForce RTX 2060 Max-Q搭載のノートPC → ROG Zephyrus G14
Macはグラフィックスカード搭載モデルを選ぼう
Macはグラフィックスカードが搭載されているものを選びましょう。最近はインテルCPUに内蔵されているグラフィックスも悪くない性能ですが、やはり別途グラフィックスカードが載っているほうがDaVinci Resolveの使用には向いています。そういう意味ではMacBook Proでも13インチより16インチ(あるいは最近の15インチ)モデルのほうがおすすめです。
参考:16インチMacBook Pro – Apple(日本)
関連おすすめ記事:
DaVinci Resolveの使い方を勉強するのに便利なサイトや書籍・チュートリアル動画まとめ

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