神戸ファインダーをご覧いただきありがとうございます。Aki(@Aki_for_fun)です。
BenQのカラーマネジメントモニターを比較レビューします。BenQ社よりレビュー用にSW271をご用意いただいたので、現在愛用しているPV270と比較しました。ふたつともクリエイター向けの高性能カラーマネジメントディスプレイです。それぞれの共通点や違いについて解説します。
※本記事はBenQ社より依頼を受けて執筆しています。
本記事はこの2機種にフォーカスした記事ですが、ディスプレイ選びのときに注目したいポイントや用語の解説は次の記事に書いています。
→ 写真にこだわるなら良いディスプレイが必要!カラーマネジメントモニターの選び方
BenQ SW271とPV270の比較
BenQ PV270の概要
BenQ PV270は27型の広色域カラーマネジメントディスプレイです。解像度はWQHD(2560×1440)、色域はAdobeRGBカバー率99%、sRGBカバー率100%。さらに輝度ムラを補正する機能を備え、BenQのモニターラインナップの中でも特に優れた映りを誇る製品です。
BenQ SW271の概要
BenQ SW271は27型の広色域カラーマネジメントディスプレイです。解像度は4K UHD(3840×2160)、色域はAdobeRGBカバー率99%、sRGBカバー率100%。高解像度かつ広色域の高級モニターです。
仕様比較表
PV270もSW271もともに27型サイズで、AdobeRGBカバー率99%の広色域ディスプレイ、そしてハードウェアキャリブレーション対応のカラーマネジメントモニターです。多くの点で共通点があり、クリエイター向けで高性能なモニターを求めている人にとってはどちらを選ぶか迷うことも多いでしょう。違いが分かるようにより細かく仕様を比較しました。
PV270 | SW271 | |
---|---|---|
画面サイズ | 27型 | 27型 |
アスペクト比 | 16:9 | 16:9 |
パネル | IPS/ノングレア | |
解像度 | 2560 x 1440 (WQHD) | 3840 x 2160 (4K UHD) |
表示色 | 約10億7000万色 | |
色域 | Adobe RGB カバー率99% sRGB カバー率100% Rec.709 100%/ DCI-P3 96% |
Adobe RGB カバー率99% sRGB カバー率100% |
ハードウェアキャリブレーション | 可能 | |
対応キャリブレーター | X-Rtie i1 Display Pro / i1 Pro /I1 Pro 2 | X-Rite i1 Display Pro / i1 Pro / i1 Pro 2 / i1 Studio、Datacolor Spyder 4 / 5 |
キャリブレーションソフト | Palette Master | Palette Master Element |
HDR | 非対応 | 対応 |
遮光フード | 付属(横のみ) | 付属 |
OSDコントローラー | 無し | 有り |
入出力端子 | DVI-DL x1 / HDMI 1.4 x1 / Display Port 1.2 x1 / mini DP1.2 x1 | HDMI2.0 x2 DisplayPort 1.4 x1 USB Type C x1(電源供給は無し) |
USB | USB3.0(ダウンストリームx2、アップストリームx1) | USB3.1:(Gen1)ダウンストリームx2、アップストリームx2 |
付属ケーブル | DVI-DL / miniDP to DP / HDMI / USB3.0 / 電源ケーブル(各約1.8m) | 電源ケーブル(約1.8m)、 HDMI / miniDP to DPケーブル(各約1.8m)、USB ケーブル(約1.8m)、USB Type-Cケーブル(約1m) |
SDカードスロット | 有り | |
音声出力端子 | 無し | 有り |
スピーカー | 無し | |
その他 | ムラ補正・高速安定表示・1080/24P再生 | – |
発売日 | 2018年6月27日 | 2017年12月21日 |
価格 | 約10万円 (Amazonで値段を確認する) |
約14万円 (Amazonで値段を確認する) |
保証期間 | 3年保証(パネル、バックライトを含む) | |
PV270 | SW271 |
仕様の比較を簡単にまとめると上の表のようになります。
参考:BenQ PV270仕様詳細
参考:BenQ SW271仕様詳細
以下では個別具体的に仕様の違いについて解説します。
モニターの性能の比較
解像度 4Kと2K
まずモニターの性能として分かりやすい違いは解像度です。PV270がWQHD(2560×1440)であるのに対して、SW271は4K UHD(3840×2160)です。いずれも高解像度ですが、写真をできるだけ高精細に見たり、4K動画をドットバイドットで鑑賞するならSW271のほうが良いでしょう。使ってみるとわかりますが、4Kディスプレイのきめ細やかさは非常に魅力的です。
ムラ補正機能の有無
BenQ PV270にはムラ補正機能があるほか、モニターが起動してから高速で映りが安定する仕組みになっています。そのおかげで映像をよりデータに忠実な状態で鑑賞することができます。わたし自身ふたつのモニターを見比べていて映像がよりキレイに感じるのはPV270です(精細さに注目した場合は解像度の高いSW271が優れています)。
HDR対応
SW271はHDR10に対応しています。PV270は非対応。
映像端子の違い
PV270とSW271は映像端子の種類・数が異なります。
映像端子の比較
PV270 | SW271 |
---|---|
DVI-DL x1 HDMI 1.4 x1 Display Port 1.2 x1 mini DP1.2 x1 |
HDMI2.0 x2 DisplayPort 1.4 x1 USB Type C x1 |
PV270にはDVI-DL端子があります。DVI-DLは最近はあまり使われなくなってきて廃止されているモニターが多いですがPV270なら接続可能です。また通常のDisplay Portだけでなく、mini Display Portでもモニターに接続できるのがPV270の特徴です。
一方SW271はHDMIがふたつあります。さらにUSB-Cでも映像を出力できる点が魅力です。このUSB-Cは4K UHD 60Hzをサポートしています。
便利な機能やモニター形状の違い
モニターの映り以外にも実際に使用していると気になる仕様だったり、便利な機能があります。
SW271はUSB-C接続1本で映像出力とデータ通信を行える
先ほどBenQ SW271にはUSB-Cケーブルで映像を出力することができると書きました。このUSB-Cはさらにデータ通信も行うことができます。映像とデータ通信のふたつの機能をケーブル1本にまとめることができて配線がスッキリします。
SW271はOSDコントローラー(ホットキーパック)付属
SW271にはモニターの設定を操作できるOSDコントローラーが付属します。SW271もPV270もディスプレイ右下のボタンから設定を操作できますが、SW271はこのコントローラーを使ってディスプレイまで手を伸ばさなくても操作が可能です。
さらにコントローラーには3つのカラーモードショートカットがあります。ここに割り当てたカラーモードをボタンひとつで呼び出すことができます。例えば1番にAdobeRGB、2番にsRGBを登録しておけばこれらを簡単に切り替えられるわけです。あるいはキャリブレーションで記憶した校正1や校正2などのカラーモードを呼び出すのも便利でおすすめです。
SW271はモノクロモードあり
SW271はカラーモードのなかにモノクロがあります。つまりディスプレイの設定で表示をモノクロにすることができる機能です。これはなかなかユニークな機能で使っていて楽しいです。例えば一枚一枚の写真を現像しなくてもモノクロで一覧できるので現像前の簡易チェックに便利です。カラー映像では気づかなかった新たな映像の面白さの発見があって楽しいです。
PV270はエコセンサー搭載
PV270にはモニターの前に人がいるかどうか感知するセンサーがあって、席を離れているときには自動でディスプレイをオフにしてくれる機能があります。
個人的にはこのセンサーの挙動が自分の環境にあわず使いづらかったですが(普通にモニターの前にいてもオフになってしまうことがあった)、センサーの感知範囲を調整できるのでうまく使えれば便利な機能かもしれません。このあたりの使い勝手についてはPV270のレビュー記事にも書きました。
→ 写真映像編集向けディスプレイBenQ PV270レビュー!安定した映りが魅力のカラーマネジメントモニター
モニターの高さの違い
PV270もSW271も高さの調整が可能ですが、SW271のほうが高い位置にすることができます。
持ち手の有無
SW271には持ち手がありますが、PV270にはありません。モニターを動かすことが多いのであれば持ち手があったほうが便利です。
わたしはレビューの関係でいろんなモニターを繋いだり外したりを繰り返してモニターを移動させることが多いのですが、SW271など取っ手があるモニターは移動がとても楽でした。一方で取っ手のないPV270は移動させるのが苦痛だったのでぜひすべてのモニターに持ち手をつくってほしいです(ニッチな希望かもしれませんが)。
ベゼルの幅
デザイン面でいうとPV270とSW271はベゼル(額縁の部分)の幅が異なります。PV270は全体的に2cm程度のベゼルです。一方SW271は下の部分だけ2cm程度のベゼルで上部と左右は縁がほとんどないナローベゼルです(遮光フードをつけていると正直あまり違いがわからない)。
ちなみに同じ27型のディスプレイでもSW271のほうが実際の表示面積はすこし大きいです。
遮光フードのサイズ・形状
遮光フードのサイズ・形状もそれぞれ少しづつ異なります。サイズで比べるとSW271のほうがPV270より大型の遮光フードです。
またフードの上の部分はキャリブレーションセンサーを通す穴があるのですが、この形状もそれぞれ異なります。SW271のほうは小さい窓なのですが、これはキャリブレーションセンサーの本体が通らないくらいの幅なので個人的に使いづらく感じます(※追記あり)。キャリブレーションする際はPV270のほうが楽です。
追記:このSW271のキャリブレーター用の蓋は横にスライドさせることで外せるらしいです。すみません。知りませんでした。蓋を外せばキャリブレーターがそのまま上から通るようです。
スタンドの脚とケーブルまとめの穴の形状
ディスプレイの脚の形状やケーブルを通す穴の構造もそれぞれ異なります。
SW271は大きくて四角い脚にケーブルをまとめるように素通しの穴があります。
一方でPV270は脚が八の字のようになっていて設置面積が少なく見た目がスッキリとしています。またケーブルを通す穴は可動式の青いストッパーのおかげでこちらもよりスタイリッシュにきれいに見える構造です。
キャリブレーションの比較・違い
PV270もSW271もハードウェアキャリブレーションに対応しています。ただしキャリブレーションに関する仕様は微妙に異なります。
ソフトウェアの違い
BenQが提供しているキャリブレーションソフトは2種類あります。
PV270用はPalette Master、SW271用はPalette Master Elementです。どちらでもハードウェアキャリブレーションできるのでそんなに大きな違いはありませんが、Palette Masterのほうがより機能が豊富でかなり専門的な処理まで可能です。
また下で説明しますが、対応キャリブレーターの違いがあります。Palette Master Elementのほうが対応製品の幅が広く汎用性は高いです。
対応キャリブレーターの違い
PV270とSW271では対応のキャリブレーター(キャリブレーションツール)が異なります。
PV270 | SW271 |
---|---|
X-Rtie i1 Display Pro / i1 Pro /I1 Pro 2 | X-Rite i1 Display Pro / i1 Pro / i1 Pro 2 / i1 Studio、Datacolor Spyder 4 / 5 |
わたしはX-riteのi1Display Proを使っています。ちなみにPalette MasterやPalette Master ElementはX-rite社とBenQが共同開発したものなので、i1 ProfilerなどX-riteのキャリブレーションソフトに慣れている人には違和感なく使いやすい仕様だと思います。
記憶できるキャリブレーションのカラーモードの数
ハードウェアキャリブレーションで調整したカラーモードをPV270はふたつまで、SW271はみっつまで記憶できます。
- PV270 校正1~2
- SW271 校正1~3
結論 PV270とSW271のどちらがおすすめか
BenQのカラーマネジメントディスプレイPV270とSW271はそれぞれに長所・短所があります。それぞれの異なる特徴をふまえてどんな人におすすめのモニターかまとめましょう。
PV270がおすすめの人
PV270はムラ補正機能により安定した映りが魅力のカラーマネジメントモニターです。個人的にはこのモニターの映りがとても見やすくてお気に入りです。SW271も単独でつかっていたときは特に気にならなかったのですが、並べて比べてみるとやはりPV270のほうがムラがなくてきれいだと感じました。
解像度はWQHDで4Kにはおよびませんが、それでも一般的なモニターと比べるとずっと高精細。また4Kディスプレイと比べればPCへの負荷が小さくすむので運用はしやすいかもしれません。
キャリブレーションソフトがPalette Masterという上位ソフトであることや、遮光フードのキャリブレーションセンサーを通す場所が大きくて使いやすいことなどカラーマネジメントの運用の点では若干PV270のほうが利点があるように感じます。
モニターの脚の部分にがすっきりとした形状なのでデスクに置いたときに邪魔にならず圧迫感が少ないです。ケーブル類をまとめる穴の仕組みもPV270のほうが洗練されています。
写真映像編集向けディスプレイBenQ PV270レビュー!安定した映りが魅力のカラーマネジメントモニター
SW271がおすすめの人
4KでAdobeRGBをカバーする広色域モニター、かつハードウェアキャリブレーション対応のカラーマネジメントモニターというのは種類が非常に少ないです。4Kの解像度を求めるならSW271をぜひ選ぶべきでしょう。4Kの精細な映りは非常に魅力的です。またHDR10対応なのでHDRコンテンツを扱うならSW271を選ぶと良いでしょう。
USB-C接続できることや、OSDコントローラーが付属するなど、インターフェイスは便利な機能が充実しています。モノクロモードを使えるのもSW271の面白い特徴です。
本格的に写真に取り組むならこのディスプレイ BenQ SW271レビュー|4Kカラーマネジメントモニター
いずれのモニターも保証期間は3年です。また何か不具合があったときは代替機を借りることができるサービスがあるので業務用途でも安心して利用できます。
参考:BenQがカラーマネジメントモニター修理時の代替機貸し出しサービスを開始
カラーマネジメントモニターに関する記事をほかにも色々と書いています。わたしにわかる範囲で質問にも答えますのでなにか気になることがございましたら記事下のコメント欄よりお知らせください(わからないところは調べて勉強します)。
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