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よく「EOS Kiss Mで使えるレンズ、おすすめのレンズを教えてほしい」と尋ねられます。「このレンズはEOS Kiss Mでも使えますか?」という質問もあります。そういった疑問に答えるためにキヤノンのミラーレス一眼カメラで使えるEF-Mマウントレンズについて解説します!
EOS Kiss Mに使えるのはEF-Mレンズ
EOS Kiss M用の交換レンズはEF-Mレンズです。「EF-Mレンズ」、や「EF-Mマウント用」と書いてあるレンズならキヤノンのミラーレス一眼カメラで使うことができます。
より詳しく解説しましょう。
メーカーによって使えるレンズが決まっている
原則として、メーカーによってカメラに使えるレンズが決まっています。
カメラのレンズを取り付ける部分を「マウント」と呼びます。このマウントはメーカーによって独自に設計されてます。そのためキヤノンのカメラでキヤノンのレンズは使えても、キヤノンのカメラでニコンやソニーのレンズを使うことはできません。マウントが違う形になっているのでレンズをカメラに装着することができないのです。
カメラのマウントにはそれぞれわかりやすいように名前が付いています。例えばEOS Kiss MやEOS M100などのキヤノンのミラーレス一眼カメラのマウントは「EF-Mマウント」です。同じキヤノンでもデジタル一眼レフカメラは「EFマウント」といって別の規格です。またかつてデジタルに移行する前にはキヤノンのカメラは「FDマウント」という規格でした。
他には例えばソニーのミラーレス一眼カメラは「Eマウント」、オリンパスとパナソニックのミレーレス一眼カメラは例外的に共通規格で「マイクロフォーサーズ(MFT)マウント」です。
EOS Kiss Mに使えるレンズはEF-Mレンズ(EF-Mマウント用レンズ)のみです。キヤノン製でもEFレンズをEOS Kiss Mにそのまま装着することはできません。
EF-Sレンズとは
少しややこしいものとして「EF-Sレンズ」があります。これはEFレンズの一種で、特にAPS-Cサイズのカメラ専用に開発されたレンズです。EF-SレンズはあくまでEFマウント用のレンズの一種なのでこれを直接EOS Kiss Mのようなミラーレス一眼カメラに装着することはできません。
EF-Sレンズを装着できるのはEOS Kiss X9やEOS 9000D、EOS 80Dなどのキヤノンの一眼レフでセンサーサイズがAPS-Cのカメラのみです。
EF-Mマウントレンズ一覧 少ない?
キヤノンのEF-Mマウントのレンズの種類は以下の通りです。
- EF-M11-22mm F4-5.6 IS STM
- EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM
- EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM
- EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM
- EF-M22mm F2 STM
- EF-M28mm F3.5 マクロ IS STM
- EF-M32mm F1.4 STM
- EF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STM(生産終了)
参考:キヤノン:一眼レフカメラ/ミラーレスカメラ用交換レンズ|EF-Mレンズ 商品一覧
広角から望遠まで、マクロレンズや単焦点レンズなど一通りのレンズは揃っています。数は少なめですが種類は手堅く用意されている印象ですね。筆者も気に入って使っているレンズが多いです。
レンズレビュー:
- EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM を買ったよ!気軽に使える楽しい望遠レンズ
- EF-M22mm F2 STM 暮らしに寄り添うパンケーキレンズレビュー
- EF-M32mm F1.4 STM レビュー!キヤノンEOS Mシリーズ最高峰の単焦点レンズ
この他にはタムロンやサムヤンなどのレンズメーカーがEF-Mマウント用のレンズを製造・販売しています。これらサードパーティーの企業はキヤノン以外にも様々なカメラのマウントに合わせたレンズを販売しているので、キヤノンのミラーレスカメラ用にレンズを購入する際は必ず「EF-Mマウント用」となっているものを選びましょう。
サードパーティー製レンズの例
- TAMRON 18-200mm F/3.5-6.3 Di Ⅲ VC
- 中一光学 SPEEDMASTER 35mm F0.95 II
- SAMYANG 35mm F1.2 ED AS UMC CS
- SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary
これらレンズの詳細については「キヤノンミラーレスカメラ用人気レンズまとめ!Kiss M・M100などEOS Mシリーズにおすすめ」にまとめました。
EF-Mレンズは数を見ると少ないですが、全体的に小型軽量のレンズが多いです。そして安い。このあたりがEOS Kiss Mは初心者におすすめと言われる理由のひとつです。もしできるだけ荷物を軽くして撮影を楽しみたいならEF-Mレンズはとても向いています。
レンズの数が少ないことを指摘する人がよくいますが、少ないのはある意味当たり前でキヤノンの場合は純正のマウントアダプターがあるからです。そのことについて次で説明しましょう。
一眼レフ用のEFレンズもマウントアダプターで使えるようになる
キヤノンのミラーレス一眼カメラで使えるのは原則としてEF-Mレンズのみと説明しました。ここで「原則として」という言葉を使ったのは、EF-Mマウント以外のレンズを使う方法として「マウントアダプター」があるからです。
マウントアダプターとは
マウントアダプターとは、カメラとレンズで異なるマウントを組み合わせるための道具です。様々なカメラや様々なレンズ向けにマウントアダプターが販売されて、います。
キヤノンのミラーレスカメラ用で最も定番の製品はキヤノン純正の「マウントアダプター EF-EOS M」です。これはキヤノン一眼レフカメラ用のEFレンズをEF-Mマウントのカメラで使えるようにするマウントアダプターです。このマウントアダプターを使えば、上で解説したEF-Sレンズも使えます。
参考:マウントアダプターEF-EOS Mレビュー!EOS Kiss Mで一眼レフ用EFレンズを使ってみた
マウントアダプターを使うメリットとは
マウントアダプターを使う大きなメリットは、カメラで使えるレンズの種類が増えることです。
キヤノンの場合、長い年月をかけて一眼レフカメラ用のレンズが拡充されています。それらのレンズをキヤノンのミラーレスカメラで自由に使えるようになります。
- マウントアダプターEF-EOS Mレビュー!EOS Kiss Mで一眼レフ用EFレンズを使ってみた
- EOS Kiss Mと単焦点レンズEF50mm F1.8 STM 実写レビュー!JPEG撮って出し作例写真
- EOS Kiss Mと超広角レンズEF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STMで撮る|作例写真・レンズレビュー
EFレンズやEF-Sレンズが普通に使えるのってすごいことなんですよ。キヤノンと言えば一眼レフ向けのレンズが豊富なことで有名です。それが大きなメリットとよく言われます。EOS Kiss MならキヤノンのEOS MシリーズならEFレンズも、EF-Sレンズも、EF-Mレンズも全部使えるんです。
マウントアダプターを使うデメリットとは
マウントアダプターを使うことのデメリットのひとつは、カメラのサイズが大きくなり重量が増すことです。
カメラとレンズの間にアダプターをつけることになるので、そのぶん全体のサイズは大きくなり、重たくなります。大した重量ではないのですが(100gくらい)、ミラーレスカメラの場合その小型で軽量なシステムが気に入って使っている人が多いので、すこし気になるかもしれません。
より重大なデメリットとしては、マウントアダプターを介することでレンズ本来の性能が正しく発揮されない場合があるということです。具体的にいうと以下のような機能の制限が起こり得ます。
- オートフォーカスが効かない・正しく機能しない
- 絞りの制御ができない
- 画質が落ちる
以上のような制限はマウントダプターやカメラ、レンズの組み合わせによって異なります。異常が起きる場合もあれば、異常なく使える場合があります。
幸いキヤノンのミラーレス一眼カメラとキヤノン純正のEFレンズをマウントアダプターで使う場合、ほとんどのレンズが正しく機能します。正しく機能しないおそれがあるのは現在では生産終了したような古いレンズです(参考:EFレンズでオートフォーカスを使用した時にピント合わせに時間がかかる。またはピントが合わない可能性があるレンズ一覧 – EOS M)。
また、タムロンやシグマなどサードパーティー製のEFレンズはうまく機能しない恐れがあります。キヤノン製ではないので動作保証がありません。
異なるマウントのレンズが使えるようになるというのはとても夢の広がる話ですが、現実的にはだいたい3つのパターンに集約されます。
- 同一メーカーの一眼レフ用レンズをミラーレスカメラでも使えるようにするというパターン(キヤノンEFレンズ → キヤノンEF-Mマウントカメラ)。
参考:キヤノン:マウントアダプター EF-EOS M|概要 - 昔のフィルムカメラで使われたような古い「オールドレンズ」を最近のデジタル一眼カメラで使うというパターン。
- 複数マウント用に販売されているシグマレンズを異なるマウントでも使えるようにするというパターン(シグマ製EFマウント用レンズ → ソニーEマウントカメラ)。
参考:マウントコンバーター | アクセサリー | SIGMA GLOBAL VISION
EFレンズ・EF-Sレンズには安くておすすめレンズが多い
マウントアダプターはこれまでEFレンズやEF-Sレンズを持っていた人が使うものとして紹介されることが多いです。しかし、これから初めて一眼カメラを買う人にとってもマウントアダプターはとてもおすすめです。
なぜなら「EF50mm F1.8 STM」に代表されるキヤノンの大人気レンズをミラーレスカメラでも使えるようになるからです。「EF50mm F1.8 STM」は1万円台というレンズにしては破格のバーゲンプライスでありながら画質も優れていることで評判のレンズです。ときには「神レンズ」なんて呼ばれることも。
一般的にカメラの交換レンズは5万円以上、10万円以上するものが多いです。しかし、キヤノンは安いレンズが多いのでマウントアダプターとレンズを買っても3万円程度におさまります。1〜3万円で買えるレンズの選択肢を見るとキヤノンはとても充実しています。
マウントアダプターと合わせて買いたい初心者におすすめのEF・EF-Sレンズ
「EF50mm F1.8 STM」や「EF40mm F2.8 STM」は、安い・小さい・画質が良いの三拍子揃ったレンズです。これらのレンズならミラーレスの小型サイズも損ないませんし、コスパも良いです。しかもフルサイズ対応なので将来的にキヤノンのフルサイズ一眼カメラを使いたいときにも利用できます。
望遠レンズにおすすめなのが「EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM」と「EF70-300mm F4-5.6 IS II USM」です。EF-Mマウントの望遠レンズは200mmまでしかありません。望遠にこだわるならこれらの一眼レフ用レンズがおすすめです。
「EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM」はバルク品(未使用新品だがパッケージの箱がない)なら1万円台で売られています。
「EF70-300mm F4-5.6 IS II USM」は隠れLレンズなんて言われるくらい高性能なレンズです。しかもフルサイズ対応。
EF-Mマウントの将来性について(追記)
キヤノンからフルサイズミラーレスカメラのRFマウントが発表されました。同じキヤノンのミラーレスカメラですが、RFとEF-Mではレンズの互換性がありません。RFとEF-Mを使えるようにするマウントアダプターも今のところありません。
このためEF-Mマウントの将来性を心配する声があるようです。キヤノンは今後もEF-Mマウントのレンズ開発を続けるのか。互換性を考えれば他のマウントを選んだ方がよいのではないか。こういった懸念です。しかし、わたしは気にする必要はないと思います。
まずよく考えてもらいたいのが、キヤノンのEF-Mマウントはいまミラーレスで一番売れているカメラだということです。
参考:
- デジタル一眼ランキング、「EOS Kiss M ダブルズームキット」8連勝 (1/2) – ITmedia NEWS
- ミラーレスでキヤノンがトップに躍り出る、BCNがデジタル家電上半期No.1を発表 – BCN+R
いまどのメーカーよりもたくさん売れているカメラのレンズの開発を今後しないと思いますか?キヤノンのマウントの将来性を心配するくらいなら経営の危うい企業のマウントの将来性を心配したほうが良いです。さすがに20年先、30年先までは予測できませんが、そんな先のことを考えていまカメラを選ぶ必要はないと思います。
将来的にほかのマウントのカメラを使ってみたいということはあるかもしれません。これはどんなメーカーのカメラのユーザーでもよくあることです。そのときはそれを買い足すか、いまあるカメラ・レンズを売って買い換えればいいだけの話です。幸いカメラやレンズは売却価格が高くなりやすいので、少ない投資でカメラシステムの入れ替えが可能です(参考:カメラ・レンズを売るならどこが良い?高値で買取りしてもらうコツとおすすめ店)。
新たにフルサイズミラーレスのEOS Rシステムは従来のシステムを入れ替えるものではなく、新たに加わるカメラシステムのひとつに過ぎないと明言しています。セールストークとも解釈できますが、現時点での意志としてRFマウントに統合していくつもりはないようです。
それもそのはずで同じミラーレスとはいえEOS RとEOS Mはまったく違うタイプのカメラです。気軽な撮影ならぜったいにEOS Mシリーズの方が使いやすいです。お金と労力をかけてよりこだわった撮影を本気でしたいときはEOS Rのようなカメラが向いています。完璧なカメラなんてこの世に存在しないので使い分けが大事なわけです。
例えばRFマウントには「RF28-70mm F2 USM」という40万円以上もする高級レンズがあります。重さ1.4kgですが非常に優れた性能のレンズです。こういったレンズはRFマウントだからこそ。このレンズが使いたいならRFマウントを選ぶべきです。RFマウントとEF-Mマウントではタイプが違うカメラなので互換性を期待しても仕方ありません。使い分けを考えたほうが良いです。
まとめ EF-Mレンズを中心にたくさんのレンズが使える
EOS Kiss MやEOS M100などのキヤノンのミラーレス一眼カメラで使えるレンズはEF-Mレンズです。タムロンやサムヤン、中一光学などのレンズブランドから販売されているEF-Mマウント用レンズも使うことができます。
またマウントアダプターEF-EOS Mを用いればEFレンズやEF-Sレンズも使うことができます。タムロンやシグマなどのキヤノン以外のメーカー製のEFレンズは動作保証がないのでご注意ください。
そしてより大事なのは使えるレンズの総数よりも自分が使いたいレンズがあるかどうかです。EF-Mマウントは軽量小型にこだわったレンズが多いです。重くても光学性能にこだわったレンズが使いたい場合は、マウントアダプターでEFレンズを使うか、そもそも別のマウントを選んだ方が良いかもしれません。
EF-Mレンズはコンパクトで使いやすいものが多いので、この点に関して言えばEFレンズやEF-Sレンズをたくさん持っているわたしから見ても魅力的なレンズが多いです。
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