キヤノンのフルサイズミラーレス一眼カメラEOS Rで、EF-Sレンズをつかうときや4K動画を撮影するときの画角クロップの仕様について解説します。
神戸ファインダーをご覧いただきありがとうございます。Aki(@Aki_for_fun)です。わたしの相棒のようなカメラであるEOS R。このカメラのお気に入り機能であるクロップ撮影と、その仕様に関連しておすすめのレンズを紹介します。
※クロップ撮影はキヤノンのほかのEOS Rシリーズのカメラ(EOS RP、EOS R6、EOS R5など)でも可能です。
写真撮影の場合のクロップ
APS-C相当の画角にクロップできる
EOS Rの「静止画クロップ」を使えば、より狭い画角で撮影して被写体をより大きく写すことができます。「静止画クロップ」機能はメニュー画面から設定できます。
通常の画角と1.6倍クロップの画角を比較すると次の画像のようになります。
クロップ機能を使えば手軽に被写体を大きく写すことができて便利です。
1.6倍という倍率は、焦点距離を1.6倍するという意味です。50mmのレンズをつけていて、1.6倍クロップモードにすれば80mmのレンズをつけて撮影したときと同じような画角になるということです。
これはちょうどフルサイズのカメラとAPS-Cサイズのカメラの画角の違いに相当します。
参考:センサーサイズと焦点距離・画角の関係性について
EF-Sレンズだと自動でクロップ機能オン
EOS RはRFマウントのカメラですが、マウントアダプターを用いればキヤノンのEFレンズやEF-Sレンズを使うことができます(参考:キヤノンの一眼カメラとレンズの互換性まとめ|どの種類のレンズが使えるの?)。
ここで問題になるのがEF-Sレンズです。EF-SレンズはAPS-Cサイズ用に作られたレンズなのでフルサイズのイメージセンサーをカバーするようには設計されていません。そのためEF-SレンズをEOS Rにつけると自動で1.6倍クロップ機能が適用される仕様になっています。
自動でクロップされるのでAPS-Cサイズのカメラで撮影しているのと同じような感覚でEF-SレンズをEOS Rで使えるようになります。
EF-Sレンズで撮影した作例写真を下に掲載しておきます。クロップすると画素数は減るもののそれ以外でなにか特別画質が落ちるということはないので、EOS RでEF-Sレンズを使うのは個人的にはアリだと思います。
上の写真の撮影に用いたのは「EF-S24mm F2.8 STM」というとても小さなレンズです。このレンズならマウントアダプターをつけてもかなりコンパクトに収まります。
他社製APS-C用レンズだとクロップは手動で設定必要
キヤノン製のEF-Sレンズの場合は自動でクロップ機能がオンになるのですが、他社製のAPS-C用レンズの場合だと自動ではオンにならないことがあります。シグマやタムロンなどのサードパーティー製のAPS-C専用レンズをEOS Rで撮影する場合は、メニューから1.6倍クロップ機能を手動で適用しなければなりません。
一応オフでも撮影はできるのですが周囲に黒いケラレがでてしまいます。失敗写真になってしまうので注意してください。
動画撮影の場合のクロップ
次に動画撮影の場合のクロップについて。静止画と同様の機能もあれば、動画のとき独自の仕様もあります。
まず前提として動画の場合はアスペクト比が変わって16:9がデフォルトです。なので静止画と比べると上下がすこし切れて横長の画角です。
そして動画にも静止画と同様の「クロップ機能」があります。さらにそれ以外にも解像度や電子IS(手振れ補正)の設定によっても画角が変化します。
解像度のクロップ
動画で独特なのは解像度によって画角が変化する仕様です。
解像度で4Kを選ぶと自動でクロップされます。自動でクロップされるので、ここから「クロップ機能」によってさらに画角を狭めることはできません(メニュー上では動画クロップの項目を選べますが、「する」「しない」どちらを選んでも画角に変化はありません)。
※EOS R5やEOS R6では4Kの解像度でもクロップなしで撮影できます。EOS RPは4K撮影の際にクロップされます。
4K以外の解像度ではメニューからクロップ「する」と「しない」を選べます。これは静止画のクロップと同様の機能です。
ただしFHD 60Pでは「クロップする」を選ぶことはできないという制限があります。
EF-Sレンズを使う場合
マウントアダプターを介してEF-SレンズをEOS Rに装着した場合、自動で動画クロップ「する」が適用されます。これは静止画のときと同様の仕様です。
この場合、解像度が4KでもFHDでも画角は同じです。解像度の違いで画角が変化することもなく、静止画のときと同じクロップ倍率で一貫性のある自然な撮影が可能になります。
なので4Kの解像度で撮影したい場合、特に広い画角を確保したいのであれば、あえて積極的にEF-Sレンズを利用しても良いかもしれません。RFレンズをつかうと4Kではクロップされてそのレンズ本来の画角よりも狭い画角でしか撮影できません。一方でEF-Sレンズであれば、そのレンズが本来想定している画角のままで4Kの撮影が可能です。
わたしはEOS Rで広角撮影したいときは「EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM」を愛用しています。コスパ良しのおすすめレンズです。
参考:超広角レンズが楽しい!上手に撮影する方法・コツとおすすめレンズ
他社製APS-C用レンズを使う場合
APS-C用のレンズでもキヤノン以外のメーカーのレンズの場合、動画クロップの設定は手動で行わなければなりません。これもやはり静止画のときと同様の仕様です。
動画クロップの設定を「しない」でも撮影はできますが、やはりこれも静止画のときと同様で周囲が黒くなってしまうので注意してください。
個人的には「SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Art」をEOS Rとセットで愛用しています。F1.8と明るいレンズなので暗所でも高画質で撮影できます。夜景の4K動画撮影のときに特に活躍してくれました。18-35mmの焦点距離はフルサイズで換算するとおよそ28mm~56mmほどの画角なので標準域をカバーしてくれて使いやすいです。
作例動画(2:23~3:05あたりのカット)
参考:SIGMA 18-35mm F1.8 Art 購入レビュー|写真が上手くなったと勘違いできるレンズ
動画電子ISのクロップ
また動画撮影の場合、動画電子ISの設定でもクロップが適用されます。
- 「しない」だとクロップなし
- 「する」だとわずかにクロップ
- 「強」だとさらに大きくクロップ
電子ISは「する」が画角の変化が少なくて幅広いシチュエーションで使いやすいです。
動画電子IS「強」は望遠撮影のときに特におすすめです。解像度「4K」かつ動画電子IS「強」だと、非常に大きなクロップ倍率となります。望遠で撮りたいときはクロップはメリットですし、強力な手振れ補正のおかげで安定した映像になります。
例えば下の動画は動画電子ISを活用して撮影しました。桜の木にメジロがいたのでとっさに動画を撮ったのですが、電子ISのクロップのおかげで遠いところにいるメジロを大きく映せました。手持ちでもブレを抑えることができています。
以上EOS Rのクロップに関する仕様の解説でした。
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