センサーサイズと焦点距離・画角の関係性について

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カメラのセンサーサイズと焦点距離・画角の関係性について説明します。よくカメラやレンズの仕様書に書いてある「フルサイズ換算で焦点距離○○mm」という言葉がどういう意味なのか基本から解説します!

神戸ファインダーをご覧いただきありがとうございます。Aki(@Aki_for_fun)です。今回の記事では「センサーサイズ」、「焦点距離」、「画角」の三要素について解説します!

異なるセンサーサイズのカメラをつかうと同じ焦点距離のレンズでも画角が異なります。例えばこれまでAPS-Cサイズのカメラを使っていた人がフルサイズのカメラを買うときはぜひ理解しておきたいポイントです。この記事を読めば「フルサイズ換算で焦点距離○○mm」という言葉の意味がわかりますよ。

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カメラのイメージセンサー

まずは前提となる基礎知識を抑えておきましょう。カメラにはイメージセンサーが入っています。イメージセンサーとは、レンズから入ってきた光を電気信号に変換する電子部品のことです。撮像素子とも呼ばれます。

イメージセンサーには様々な種類があります。構造的な違いもあるのですが、ここでは大きさでの分類に注目しましょう。一眼カメラでは主にフルサイズやAPS-C、マイクロフォーサーズ(4/3型)などのセンサーサイズの種類があります。

フルサイズのEOS RとAPS-CサイズのEOS Kiss M
フルサイズのEOS RとAPS-CサイズのEOS Kiss M。レンズを外して中に見える四角いのがイメージセンサーです。
カメラのセンサーサイズの比較
一眼カメラで一般的なセンサーサイズ3種類の比較

いずれもイメージセンサーのなかでは大型の部類です。カメラのセンサーサイズが大きいほうが高画質を実現しやすいと言われています。

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焦点距離と画角の関係

次に焦点距離と画角の意味について。

焦点距離とは、レンズの中心(主点)から焦点までの距離のこと。

画角とは、写真や動画に映る範囲のこと。画角が狭いとか広いと表現します。広い画角で撮れるのが広角レンズ、狭い画角で遠くのものを大きく撮れるのが望遠レンズです。

カメラ用語としては慣例的に「焦点距離」を「画角」とほぼ同じ意味で使うことが多いです。なぜなら焦点距離が短いほど画角が広くなり、焦点距離が長いほど画角が狭くなるからです。そのため焦点距離の長さで画角の広さを表現することが一般的になっています。

勘違いされがちなのですが、本来はそれぞれ全く別のものです。焦点距離と画角をぜひ区別して理解しましょう。分かりやすいように下に図を用意しました。
参考:デジタル一眼レフカメラの基礎知識 – レンズ | Enjoyニコン | ニコンイメージング 

焦点距離と画角の関係
焦点距離が短いと画角が広い(広角)
焦点距離と画角の関係 望遠
焦点距離が長いと画角が狭い(望遠)

カメラ用のレンズには必ず焦点距離が記載されています。例えばキヤノンの「EF50mm F1.8 STM」というレンズは焦点距離が50mmの単焦点レンズです。焦点距離が可変のレンズもあります。例えばキヤノンの「RF24-105mm F4L IS USM」というレンズは焦点距離が24mm~105mmまで自由に変えられるズームレンズです。

実際に異なる焦点距離で撮り比べたのが下の画像です。

焦点距離による画角の違い
左:50㎜ 右:105㎜

※カメラはキヤノンのEOS R、レンズはRF24-105mm F4L IS USMを使用。同じ位置からレンズの焦点距離を変えて撮影。

ご覧いただいたように焦点距離によって画角が変化します。焦点距離そのものは画角を表すわけではありませんが、このような理由から一般的には「どれくらいの画角で撮れるかの指標」として「焦点距離」が用いられます。

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センサーサイズと画角の関係

ただし、焦点距離が画角の指標として使えるのはあくまでほかの条件がそろっている場合のみです。同じ焦点距離でもイメージセンサーのサイズが小さくなれば、当たり前ですがセンサーが受光する範囲も狭まります。つまり画角が狭いです。さきほど使った図で説明すると以下のようになります。

図:センサーサイズによる画角の変化

センサーサイズと焦点距離と画角の関係 
センサーサイズが小さくなると記録できる範囲が狭いので、焦点距離が同じでも画角は狭くなる(図の緑色の部分)。

この図で注目してもらいたいのは焦点距離は変わっていないということです。よく「センサーサイズが変わると焦点距離が変わる」と言われるのですが、厳密にはこれは誤りです。「焦点距離」という言葉が「画角」という意味で使われることが多いのでそう表現する人がいるだけです。

センサーサイズが変わると同じ焦点距離でも画角が変わります。フルサイズのカメラに焦点距離50mmのレンズをつけた場合と、APS-Cサイズのカメラに焦点距離50mmのレンズをつけた場合では画角が異なります。実際に撮り比べたのが下の画像です。

センサーサイズによる画角の違い
左:フルサイズ 右:APS-Cサイズ
レンズはどちらもEF50mm F1.8 STM(焦点距離50㎜)

上の画像を見てもらうとよくわかるように、同じ焦点距離50mmでもセンサーサイズが異なるとこんなにも画角に違いがあります。

センサーサイズによる画角の違いは下のような図でも説明することができます(これが最も一般的な解説の図だと思います)。

カメラが映す範囲の違い(フルサイズとAPS-Cサイズの比較)

センサーサイズによる画角の違い
青色で囲んでいる範囲がフルサイズで映る部分で、緑色の範囲がAPS-Cサイズで映る部分。センサーサイズが小さくなると中央部分だけ切り取るのと同じような状態になるので画角が狭くなる。
センサーサイズによる画角変化
フルサイズとAPS-Cの映す範囲の違い。横に並べるとさらに分かりやすい。

繰り返しますがこれは同じ焦点距離、異なるセンサーサイズの比較です。センサーサイズが変わると焦点距離は同じでも画角が変化します。

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センサーサイズが異なる場合は換算する

例えばあなたがAPS-Cサイズのカメラを持っていて、お友だちがフルサイズのカメラを持っているとします。もしお友だちが「焦点距離50mmの画角が好き!」と言ったとしても、それは普段あなたが50mmで撮影している画角とは異なるので気をつけてください。

異なるセンサーサイズの場合のコミュニケーションの祖語
前提条件(センサーサイズ)が異なると話が通じない

異なるセンサーサイズのカメラの焦点距離を比較したい場合は換算しましょう。APS-Cとフルサイズの画角を比較する場合、焦点距離を1.6倍するとおよそ同じ画角になります(キヤノンの一眼カメラの場合は1.6倍ですが他社の場合1.5倍)。例えばAPS-Cサイズのカメラで焦点距離50mmで撮影したときの画角は、フルサイズだと焦点距離80mmで撮影したときの画角に相当します。

もし逆にフルサイズの焦点距離をAPS-Cに換算する場合は1.6で割り算すればオーケーです。フルサイズで50mmなら、50÷1.6=約31なのでAPS-Cだと31mmです。

APS-Cの画角をフルサイズ換算する
ふたつの写真がほぼ同じ画角になっている。これがつまりAPS-Cの焦点距離31mmはフルサイズ換算で焦点距離50mmの画角に相当するということ。

図:換算して焦点距離・画角を考える

異なるセンサーサイズの場合のコミュニケーション
換算して考えればセンサーサイズが異なるカメラどうしでもおおよその焦点距離や画角をイメージできる。

レンズの仕様書を見ていると、焦点距離の説明のところに「フルサイズ換算で焦点距離○○mmの画角に相当する」と注意書きされていることが多いです。世の中には様々なセンサーサイズのカメラがあるので、焦点距離だけでは画角がどれくらいになるのか判断するのが難しいです。そのため仕様書などではフルサイズのカメラを基準としてどの程度の焦点距離の画角に相当するのかを記載するのが慣例となっています。

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焦点距離と画角を区別すれば変な勘違いはしない

以上に説明したような用語や理屈を理解していないと誤解が生まれがちです。例えば「フルサイズ用のレンズをAPS-Cサイズのカメラで使うと焦点距離が変わる」と言われることがあります。これは厳密には誤りです。カメラボディ(センサーサイズ)によってそれに装着するレンズの焦点距離が変わることはありません。

センサーサイズが変わると画角が変わるだけです。レンズの焦点距離はレンズに固有のものなので、ボディ(センサーサイズ)が変わっても変化しません。なので例えばAPS-Cサイズのカメラボディにフルサイズ用35mmレンズをつけても、あるいはAPS-C専用35mmレンズをつけても画角は同じです。どちらも同じ35mmの焦点距離で、同じセンサーサイズでの比較だからです。
※ただし厳密にいうと同じ焦点距離でもレンズの個体差による微妙な画角変化はあります。

異なるレンズの35㎜の画角比較
APS-C用レンズとフルサイズ用レンズの画角比較。どちらも焦点距離35㎜なのでほぼ同じ画角。

※左:APS-C専用レンズ SIGMA 18-35mm F1.8 右:フルサイズ対応レンズ SIGMA 24-35mm F2。ボディはともにキヤノンEOS Kiss X9(APS-Cサイズ)

レンズがフルサイズ用、APS-C用などと区別されるのは、マウントの設計やそのセンサーサイズをカバーする大きさになっているかどうかの問題です。例えばフルサイズのカメラにAPS-C専用に設計されたレンズを装着すると次のような写真になってしまいます。

APS-C用レンズをフルサイズのカメラに使った場合の写真
APS-C用レンズをフルサイズのカメラに使った場合の写真

※カメラ:キヤノンEOS R(フルサイズ)、レンズ SIGMA 18-35mm F1.8(APS-C専用、上の写真は焦点距離18mmで撮影)

写真の端のほうが黒くなってしまっています。これは撮影に用いたレンズがより小さいセンサー向けに作られているからです。このレンズを適切にAPS-Cサイズのボディに装着すれば、写真の中央部分だけが映ることになるのでこのような黒いケラレは出てきません。

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仕組みがわかると機材が選びやすくなる

以上の知識をふまえるとカメラやレンズの選び方がすこし洗練されます。

例えば望遠で撮りたいとき。小さいセンサーのほうが同じ焦点距離でも画角が狭くなるので、望遠で撮るならフルサイズよりもあえてAPS-Cやマイクロフォーサーズのカメラを選んでも良いかもしれません。同様にマクロ的な寄りの撮影も小さいセンサーのほうがやはり有利です。

わたしは「EF70-200mm F4L IS USM」という望遠ズームレンズを持っています。これはフルサイズ対応なのでフルサイズのカメラで使っても良いのですが、より望遠で撮りたいときはあえてAPS-Cサイズのカメラにつけて使っています。フルサイズで換算すれば約112mm~320mm相当の画角で撮影できるからです。

センサーサイズが大きいことによるメリットもあるのでどちらが優れていると一概には言えませんが、相対的に小さいセンサーにもメリットがあることを理解しておいて損はありません。

逆に言うとフルサイズ用の広角レンズをAPS-Cのボディで使うのはすこしもったいないです。フルサイズ用の広角レンズはせっかく大きなセンサーでも黒いケラレが出ずに広角で撮れるよう設計されているのですから、それを小さいセンサーのボディで使ってしまっては画角が狭まりそのレンズの魅力が半減してしまいます。APS-Cのボディで広角撮影がしたいなら、APS-C向けに開発された広角レンズを使ったほうが圧倒的にコスパが良いです。

以上、センサーサイズと焦点距離、画角の関係性に関する説明でした!

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