
レンズを買うと、だいたいセットで勧められるのが保護フィルター。レンズのいちばん前のガラス(前玉)を守るために取り付ける、透明なガラスの板です。「まあ付けておいたほうがいいよね」とは思いつつ、わたしはずっと乗り気になれませんでした。理由は、見た目がダサくなるからです。
保護フィルターは、枠にメーカー名や製品名が白やシルバーで大きく印字されているものが少なくありません。せっかくデザインの整ったレンズを装着しているのに、前面にひと回り別ブランドの輪っかが増える。
しかも保護フィルターは、NDフィルターやPLフィルターと違って写真や映像に効果を足してくれるものではありません。品質が悪ければゴーストやフレアが発生するおそれさえあります。「見た目のマイナスだけ確定して、得られるのは保険だけ」。カメラを始めたころは付けていたものの、最近は使わなくなっていました。
しかし、今回、H&Y Filters JapanさんからMRC HD Protection FilterとUltimate HD Protection Filterの67mmサイズを1枚ずつご提供いただいて使ってみたところ、「あれ、この保護フィルターなら使いたい!」と思ったので紹介します。

保護フィルターは付けたくない派だったのですが、使ってみたらまんまと気に入ってしまいました…
※本記事はH&Y Filters Japan様より製品をご提供いただいて執筆しています。ただし内容に指定や監修はなく、実際に自分のレンズへ装着して使ったうえでの率直な感想です。
この2枚は「付いていることを主張してこない」
- MRC HD Protection Filter(67mm・3,780円) … マットブラック印字で、装着してもレンズの顔つきがほぼ変わらない。37mmから112mmまで全18サイズ
- Ultimate HD Protection Filter(67mm・5,880円) … 面反射率0.1%・透過率99.95%の上位モデル。控えめながら質感で高級感が出る
わたしはMRCをキヤノン RF45mm F1.2 STMに、Ultimateをキヤノン RF100mm F2.8 L MACRO IS USMに付けました。どちらもフィルター径は67mmです。

H&Yの保護フィルター
H&Yってどんなメーカー?
H&Yは2006年創業のフィルター専業メーカーです。風景写真をやっている方には、角形フィルターホルダーのK-Seriesや可変式ステップリングのREVORINGでおなじみかもしれません。
ポイントは、自社ブランド製品を出す前から日本市場を含む世界中のフィルターのOEM生産を請け負ってきたという点。つまり「他社ブランドで売られているフィルターを作ってきた工場」が、そのまま自社ブランドを立ち上げたようなメーカーです。生産工程のほとんどを自社で完結できるため、この品質でこの価格が成立している、とメーカーは説明しています。
MRC HD Protection Filter

「高品質ながら低価格」を狙った、H&Yのスタンダードな保護フィルターです。
表:MRC HD Protection Filter 主なスペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使用ガラス | SCHOTT B270ガラス |
| コーティング | Nanoコーティング(低反射/撥水/防汚/防傷/帯電防止) |
| 面精度 | HDテクノロジーによる高い平面度・解像度 |
| 枠素材/厚み | アルミ・3.25mm薄枠 |
| フレーム加工 | 前面にローレット(滑り止め)加工 |
| 印字 | 目立ちにくいマットブラック印字 |
| サイズ展開 | 37mm〜112mm(全18サイズ) |
| 価格(67mm) | 3,780円(税込) |
※H&Y Filters Japan直販サイトの税込価格(2026年8月時点)
注目したいのは3点です。
SCHOTT B270は、ドイツのショット社が作っている光学ガラス。3,000円台でここにきちんとブランドのある光学ガラスが使われているのは、素直に嬉しいところです。
日々の扱いやすさに直結するのが帯電防止コーティングです。ガラスは静電気を帯びるとホコリを吸い寄せますが、この加工があるとブロワーで飛ばすだけで済む場面が増える。拭く回数が減れば、拭き傷のリスクも減ります。
そしてマットブラック印字。公式が「レンズに溶け込むデザイン」をコンセプトに設計したとはっきり書いていて、ここがわたしにとって決め手になった部分でした。


Ultimate HD Protection Filter

こちらは上位モデル。H&Yいわく「性能に妥協をしない究極の保護フィルター」です。
表:Ultimate HD Protection Filter 主なスペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使用ガラス | 光学ガラス |
| 面反射率 | 0.1%(保護フィルターとしてトップクラス) |
| 透過率 | 最大99.95% |
| コーティング | 低反射Nanoコーティング(撥水/防汚/帯電防止) |
| 面精度 | HDテクノロジーによる高い平面度 |
| 枠素材/厚み | 6063アルミ・3.25mm薄枠 |
| パッケージ | リサイクル可能なエコ素材/フィルターケースとしても使える |
| サイズ展開 | 67mm〜112mm(全7サイズ) |
| 価格(67mm) | 5,880円(税込) |
※H&Y Filters Japan直販サイトの税込価格(2026年8月時点)
数字でもっとも分かりやすいのが、面反射率0.1% / 透過率最大99.95%です。
保護フィルターで画質が落ちるとしたら、主な原因はガラス面での反射。反射した光がフィルターとレンズの間で行き来すると、ゴーストやフレアになります。つまり保護フィルターの光学性能は「どれだけ反射させないか」にほぼ集約されるわけで、0.1%はこのカテゴリの上位に位置する数字です。
3.25mmの薄枠も見逃せません。枠が厚いと広角レンズで四隅が欠ける(ケラレ)リスクが出てきます。薄枠と呼ばれる製品でも4.2mm程度が主流のところ、建材にも使われる6063アルミで強度を保ちながら3.25mmを実現しているとのことです。


2つの違いを一覧で
表:MRC HDとUltimate HDの比較
| 項目 | MRC HD Protection | Ultimate HD Protection |
|---|---|---|
| 位置づけ | スタンダード | 上位モデル |
| 使用ガラス | SCHOTT B270ガラス | 光学ガラス |
| 反射率の公称値 | 低反射コーティング 透過率最大99.6% | 面反射率0.1% 透過率最大99.95% |
| コーティング機能 | 低反射・撥水・防汚・防傷・帯電防止 | 低反射・撥水・防汚・帯電防止 |
| 枠 | アルミ/3.25mm | 6063アルミ/3.25mm |
| サイズ展開 | 37〜112mm(全18サイズ) | 67〜112mm(全7サイズ) |
| 67mm価格 | 3,780円 | 5,880円 |
※H&Y Filters Japan直販サイトの税込価格(2026年8月時点)
ざっくり言うと、薄枠・ローレット加工・Nanoコーティング・HD面精度という基本設計は共通で、Ultimateは光学性能をさらに突き詰めた上位版という関係です。
小さいサイズの選択肢はMRCがカバーしています。Ultimateは67mm以上の展開なので、コンパクトな単焦点レンズやAPS-C用のレンズだと、自動的にMRC一択になります。
実際に使ってどうだったか
何より良かったのは「目立たなさ」
手に取って最初に「おっ」と思ったのは、ロゴと製品名がまったく主張してこないことでした。
特にMRCのほうは本当に目立ちません。マットブラックの印字なので、正面から見ても角度によっては読めないほどです。レンズに装着すると、鏡筒の黒と地続きになって、フィルターを付けているという情報量がほとんど増えません。

Ultimateのほうも十分に控えめで、こちらはローレット加工と枠の質感のおかげで、むしろ高級感が出る方向に振れています。

冒頭に書いたとおり、わたしが保護フィルターを避けていた理由の大部分は「見た目のマイナス」でした。そのマイナスがほぼゼロになるなら、付けない理由がなくなる。 今回もっとも価値を感じたのは、このポイントでした。


RF45mm F1.2 STM にMRCを選んだ理由
キヤノン RF45mm F1.2 STMは、フィルター径67mmの大口径標準単焦点レンズです。約346gと軽くて、F1.2の大きなボケを気軽に持ち出せる、お気に入りの1本です。
ただ、ひとつだけ気になっていたことがありました。このレンズ、ピント合わせに連動して前玉がけっこう動くんです。

構造上、ピント位置によって前のレンズ群が前後に移動します。ということは、鏡筒の可動部分にホコリが付着していた場合、動くたびにそれが内部へ入り込む可能性があるわけです。実際に不具合が出たわけではないのですが、お気に入りのレンズだけに、ずっと頭の片隅に引っかかっていました。
保護フィルターを付ければ、前玉の前が1枚のガラスで塞がれるので、この不安はぐっと軽くなります。しかもMRCは帯電防止コーティング付きで、フィルター表面にホコリが張り付きにくい。

「開放F1.2の描写に余計なガラスを足したくない」という気持ちと「ホコリの侵入経路は塞いでおきたい」という気持ちの綱引きが、MRCの目立たなさで一気にホコリ対策側へ傾いた、という感じです。

RF100mm F2.8 L MACRO にUltimateを選んだ理由
キヤノン RF100mm F2.8 L MACRO IS USMは、わたしがもっとも愛用しているレンズです。こちらもフィルター径は67mm。

このレンズは構造的にホコリが入りにくいですし、Lレンズなので防塵防滴の面でも心配はしていませんでした。それでもフィルターを付けたのは、単純にこのレンズを傷つけたくないからです。
マクロ撮影は被写体に大きく寄るので、前玉が何かに触れるリスクが他のレンズより高くなります。指、葉っぱ、机の角。前玉を拭く回数も自然と増えます。前玉のコーティングへの影響を考えると、「前玉を拭く」を「フィルターを拭く」に置き換えられることは無視できないメリットです。
そのうえで、これだけ気に入っているレンズだからこそ、光学的な影響がより少ないであろう上位モデルを選びました。面反射率0.1%・透過率99.95%という数字は、「付けたことによる損失をできるだけ小さくしたい」という要求にストレートに応えてくれるスペックです。
実際にこの保護フィルターを装着してレンズを使うようになりましたが、普段どおり撮っていて、困る場面は特にありませんでした。お気に入りのレンズを、安心して守ってくれる。この組み合わせにして良かったと思っています。

どちらを選べばいい?
MRC HD Protection Filter が向いている人
- 手持ちのレンズ全部に保護フィルターを行き渡らせたい(37mmから展開あり)
- 価格を抑えつつ保護フィルターをそろえたい
- 印字が目立たないものが欲しい
- コンパクトな単焦点やAPS-C用レンズがメイン
Ultimate HD Protection Filter が向いている人
- 特に大事にしている1本、高価な1本に付けたい
- 逆光や太陽などの強い光源が入る撮影が多く、反射由来のゴーストをできるだけ避けたい
- 動画も撮る(点光源のゴーストは、動いている映像のほうが目立ちやすい)
- 数字で納得したうえで選びたい
わたしのように「主力レンズには上位モデル、そのほかのレンズにはMRC」という使い分けも、現実的な落とし所だと思います。
まとめ:デザインで諦めていた人にこそ
保護フィルターは、突き詰めると「保険」です。効果が目に見える機材ではありません。だからこそ、見た目にマイナスが少しでもあると、付ける理由が負けてしまう。わたしはずっとそうでした。
H&YのMRC HD ProtectionとUltimate HD Protectionは、その天秤をひっくり返してくれた製品です。
- 印字がマットブラックで、レンズの見た目を変えない(特にMRC)
- 3.25mmの薄枠・ローレット加工・撥水・防汚・帯電防止は両モデル共通
- Ultimateは面反射率0.1%/透過率99.95%という上位クラスの光学性能
「レンズに余計なものを付けたくない」と思っていた人ほど、このH&Yの保護フィルターを試してほしいです。付けてもレンズのデザインと光学性能を損なわない保護フィルターという選択肢があると知るだけで、判断はだいぶ変わると思います。

YouTubeでもレビューしました
YouTubeでも紹介しました。実際の装着の様子や、デザインも動画だとわかりやすいと思うのでこちらもぜひご覧ください。
参考リンク:
MRC HD Protection Filter | H&Y Filters Japan
Ultimate HD Protection Filter | H&Y Filters Japan
Ultimate HD Protection | H&Y Filters Japan
※スペックと価格の出典は、H&Y Filters Japan公式直販サイトの各製品ページおよびUltimate HD Protection製品解説ページです。レンズの仕様はキヤノン公式の製品情報によります。価格は2026年8月時点の税込価格で、セール等で変動する場合があるため、購入前に最新の価格をご確認ください。

