ソニーのコンパクトデジタルカメラ RX100Ⅶ (DSC-RX100M7)を2か月ほど使わせてもらったので、使い勝手や画質についてレビューします。「今どきのコンデジってどうなの?」、「スマホでじゅうぶんじゃない?」という声もよく聞くのですが、使ってみるとスマホや一眼カメラにはない独自の魅力ある素敵なカメラでした。
公式ウェブサイト:DSC-RX100M7 購入 | デジタルスチルカメラ サイバーショット | ソニー
神戸ファインダーをご覧いただきありがとうございます。Aki(@Aki_for_fun)です。 わたしがいつもお世話になっている Photo Journal PRESS の Yuu さんがご厚意で RX100M7 を貸してくれました!Yuuさんとよく一緒にカメラを持って遊びに出かけていたのですが、雑談でRX100シリーズのカメラの話をしていたところ「貸しますよ!」とおっしゃってくれました。本当にありがとうございます。
Yuu さんが最高のレビューを書いていらっしゃるのでそちらを見てもらえれば素晴らしい作例写真とともにカメラの魅力がわかりますよ!
参考:RX100M7 レビュー | 購入して4ヶ月使って感じた事 | Photo Journal PRESS
本記事では、わたしなりの視点で RX100M7 についてレビューします。ふだんわたしがあまり使わないタイプのカメラなのでいろいろと新鮮に感じるところがあって楽しかったです。
ソニーRX100M7の主な特徴
1インチセンサーで高画質を実現
カメラの画質の良し悪しを測るうえでおよその目安になるのが「センサーサイズ」です。RX100M7搭載のイメージセンサーは「1型」(1インチ)です。
参考画像:センサーサイズの比較
本格的な一眼カメラのセンサーサイズは主に、フルサイズ、APS-C、マイクロフォーサーズのいずれかです。コンデジやスマホは比較してセンサーサイズが小さくて、1/3型、1/2.3型のものが一般的です。ですが最近はコンデジも高級化・大型センサー化が進んでいて、1型やAPS-Cなどの大型センサーを搭載する機種も増えています。
簡単に言えばスマホより画質が良くて、本格的な一眼カメラにはちょっと及ばないのが「1型センサー」(1インチセンサー)です。「画質」という概念はさまざまな要素で構成されるのでセンサーサイズだけで語るのは難しいのですが、画質を決める主な要素のひとつです。画質を重視するのであれば、購入前にカメラのセンサーサイズをよく確認しておくことをおすすめします。
1インチセンサーのカメラの画質が実際どの程度なのか。わたしはこれまであまり馴染みがなかったのですが、今回RX100M7を通してその真価を知ることができました。後ほど作例写真をお見せしながら説明しますが、結論を言えば想像以上に良好な描写性能でした。
コンパクトなボディに本格的な性能が詰め込まれている
RX100M7の第一の魅力はそのカメラの形状にあります。でっぱりの少ない四角いフォルムでカメラとしては非常にコンパクトなサイズ。それでいてきちんと撮影しやすいように指をかけるグリップが備わっているのが好印象です。
追記(2022年3月23日):カメラのレンズ側にあるグリップの部分は別売りアクセサリー「アタッチメントグリップ AG-R2」です。
高性能なカメラはどうしても大型で重たくなりがちなのですが、RX100M7は手のひらサイズで軽量です。
RX100M7はポケットに入る小さなカメラですが、その機能・性能はとても本格的です。個人的に特に気に入っているのが次の3点です(画質の評価は後ほど)。
- ポップアップ式のファインダー
- 広角から望遠まで対応できるズームレンズ
- チルト式の可動モニター
ポップアップ式のファインダー搭載
RX100M7はファインダーを搭載しています。普段はカメラの中に内蔵されていて、カメラ横のスイッチを操作するとファインダーが飛び出る構造です。このポップアップ式のファインダーのおかげで、明るい屋外でも撮影がしやすくて安定して構図をとりやすくなります。これはスマホでは体験できない機能です。ファインダーがあるとカメラとしての実用性がとても上がります。
使わないときはファインダーをカメラ内にしまっておけるのも素晴らしいです。多くのカメラがファインダーのために形にでっぱりができてしまい、カバンやポケットに収納するときにかさばって困ることになります。RX100M7はファインダーを内蔵できるので非常にコンパクトで持ち運びが楽です。また、上から押さえ込むようにすることでファインダーをしまえるのですが、そうするとカメラの電源がオフになります。電源ボタンを押す手間も省けてよくできた仕組みです。
広角から望遠まで対応できるズームレンズ
RX100M7は、広角から望遠までしっかりズームできます。焦点距離で24mm~200mmまでの画角をカバーします(フルサイズ換算)。
「焦点距離」というのは、どれくらい広角や望遠で撮れるかを表す指標として一般的なのですが、カメラに詳しくない人にとっては分かりづらいかもしれません。数字が小さいほど広角になって、広い範囲が写ります。数字が大きいと望遠で、狭い範囲が写ります。
同じ位置から撮った広角の写真と望遠の写真を紹介します。どれくらいズームできるのかよくわかると思います。
これだけのズームレンジがあれば広く景色を撮りたいときも、離れた位置にいるものを撮りたいときも対応できて便利です。
ちなみにわたしが普段愛用している一眼カメラのEOS Rで同じように焦点距離24mm~200mmのズームレンジに対応しようとするとかなり大げさな装備になってしまいます。
大きいカメラやレンズはもちろん性能が良いので一概に比較は難しいですが、RX100M7ならコンパクトなボディでレンズを交換することなく広角から望遠まで対応できる圧倒的な利便性があります。ポケットサイズでこれだけのズームに対応できるのは魅力的です。コンデジによっては広角側の焦点距離が28mmくらいまでだったり、望遠側が70mmくらいまでだったりするので、RX100M7のズームレンジはかなり優秀です。
このサイズで望遠200mmまでカバーできるカメラは希少なので、望遠撮影したいことが多い人にはRX100M7は特におすすめ。ズームが活躍するシーンは多いです。例えば、子どもの運動会や発表会で観客席から撮影。遊園地のパレードやショーで出演者を大きく撮りたいとき。離れたところにいる鳥や猫などの野生動物を撮りたいとき。風景の一部を拡大して切り取りたいとき。意外と日常生活のなかで望遠レンズが活躍するシーンは多いです。
チルト式の可動モニター
RX100M7はチルト式の可動モニターを搭載しています。カメラを低い位置や高い位置から撮影するときに便利です。自撮りの際の構図の確認にも使えます。
作例写真で見る RX100M7 の魅力
ソニーのコンパクトデジタルカメラ RX100Ⅶ (DSC-RX100M7)でどのような写真が撮れるのか。わたしが撮影した作例写真をお見せしながら、その描写性能についてお伝えします。
寄りで撮って繊細なトーンや解像感
RX100M7を使い始めて最初にとても感心した写真をご紹介します。花瓶に生けられたお花を撮影しました。
これはなにも編集していないいわゆる「JPEG撮って出し」の写真です。撮影したのが室内でやや暗いので ISO は 3200 まで上がっていますが、花びらの微妙な白の濃淡、やわらかな質感が伝わる繊細な描写です。これがコンデジで撮れるのだから素晴らしいと思います。わかりやすいようにより拡大した写真を下にお見せします。
微妙な白の濃淡がきちんと記録されていて美しいです。繊細な花びらの質感もきちんと解像していますね。スマホ写真だと極端にエッジのある粗い描写になりがちですが、RX100M7はちゃんと本格的なカメラらしい良質な写りです。
RX100M7 なら食事の写真もおいしそうに撮れます。
最近のスマホも発色や露出(明るさ)という意味では手軽にきれいな写真が撮れてよいのですが、細かな質感や、微妙な色のグラデーションの表現がやや苦手です。それに対してRX100M7はワンランク上の表現力を持っていると感じました。
使いやすいAFで狙ったところにピントが来てくれる
ソニーのカメラはオートフォーカス性能が優れていることで評価されていますが、RX100M7のAF性能も快適なものでした。分かりやすい被写体ならだいたいカメラにまかせてオートでピントを合わせられます。
ちなみにRX100M7はソニーの「α9」というプロ向けの一眼カメラと同等のAF性能を搭載しているそうです。
α9にも搭載されている連続撮影中の最大60回/秒(*)の演算によるAF追随システムと、最新の動体予測アルゴリズムを最適化して搭載し、AF検出精度と追随性を大幅に向上。
RX100VII(DSC-RX100M7/RX100M7G) 特長 : ソニーの最先端技術を投入した高いAF性能 | デジタルスチルカメラ Cyber-shot サイバーショット | ソニー
ですが、そういう超高級なプロ向けのカメラ並と聞くとやや期待しすぎになるかもしれません。わたしの使った印象だと、撮影していてピントを外すときはふつうに外します。比較的カメラ任せでなんとかなるほうだと思いますが、いかに優れたカメラでもAFは完ぺきではないですね。
RX100M7のフォーカスシステムで個人的に気に入ったのは、ファインダーをのぞきながらモニターを指で触ることでフォーカスポイントを動かせる仕組みです。この「タッチパッド機能」のおかげで狙ったところにピントを合わせやすかったです。キヤノンのカメラにも同様の機能で「タッチ&ドラッグAF」という機能があって気に入っている機能なので、RX100M7でもつかえてよかったです。正直キヤノンのカメラのほうが反応が良くて使いやすいと感じましたが、ソニーのカメラも大きな不満のないレベルで使えました。
散歩しているときに出会ったノラ猫ちゃん。とっさのシャッターチャンスでも優れたAFのおかげでしっかりピントを合わせて撮影できました。毛並みもきれいに記録されていると思います。
ポケットサイズカメラで望遠が撮れる
小さなカメラなのに本格的な望遠撮影ができるのがうれしいです。
望遠で撮ると背景ボケもつくりやすいので、まるで本格的な一眼カメラで撮ったような雰囲気の写真になります。
ちょっと離れたところにいる野鳥を撮ることも可能です。この写真はトリミングして拡大しています。
望遠で撮ると圧縮効果で手前から奥にあるものが詰まって見える映像効果を表現できます。ストリートスナップや風景写真の撮影にも使いやすいです。
普段あまりシャッターを切らないような日常の風景ですが、なんとなく望遠で切り取ってみるとちょっと印象的に記録できて楽しいです。
この水仙の花は手前に柵があって撮りづらいのですが、柵の隙間からレンズをのぞかせて望遠で撮りました。近くに寄れなくても撮れるのは便利ですね。
広角でも歪みなく記録
わたしはインテリア撮影が好きなのですが、建物の内観を記録するのにも安心して使えました。広角レンズで撮ると独特の歪みが出ることがあるのですが、RX100M7はカメラ内でその歪みを補正してくれているようです。
照明の光が放射状にトゲトゲの形に出ているのもきれいだと思いました。こういう光がどう記録されるかもカメラ(レンズ)によって個性がでますね。
以上の建物写真は芦屋のヨドコウ迎賓館。
カフェごはん記録カメラ
小さなカメラなのでお店でもさっと気軽に取り出して撮影できます。あまり大きなカメラをつかうのはまわりの目が気になって遠慮してしまうこともあるのですが、RX100M7ならそこまで大げさな雰囲気にならないので使いやすいです。おいしそうに撮れるのでうれしいですね。
スマホのような気軽さでスマホ写真から卒業
RX100M7を使っていて常に感じたのは軽快に撮影を楽しめるということでした。ポケットに入るので感覚的にはスマホに近いです。それでもそのカメラで撮れる写真はちゃんと本格的なカメラらしい描写なのがうれしいです。
さいきんのスマホはきれいに撮れますが、どうしても「作られた絵」という印象がぬぐえません。スマホ写真の進化は素晴らしいと思いますし、自動で派手にきれいな写真が撮れるのは良いのですが、それが好きになれない人もいると思います。目の前の景色をより自然な形で美しく記録する写真を撮るにはやはりスマホではなくてちゃんとしたカメラがあったほうが良いです。
総評
スマホにはない魅力がたくさん
1インチセンサーのRX100M7。旅行や日常生活のおともに使うカメラとして非常に優れているカメラだと思いました。スマホからワンランク上の画質を求めるひとにおすすめです。最新のiPhone 13 Pro と比べても RX100M7 はさすが「カメラ」といった印象の画質。スマホではなかなか表現できない描写性能です。
コンデジと最新iPhoneのようなカメラ性能の強いスマホだと価格帯が近いので、どちらに投資するか迷う人もいると思いますが、さすがにカメラの性能・画質はコンデジの RX100M7 のほうが優勢です。カメラ性能を語るうえでたまに「コンデジより最近のスマホのほうが画質が良い」という声も聞きますが、少なくとも RX100M7 はちゃんとカメラとして優れた画質です。スマホに劣ることは決してないと思いました。
さらに言えばコンデジとスマホでは操作性・機能性がまったく違います。見やすいファインダーや、扱いやすくて高性能なズーム機能、自動で被写体を認識してピントを合わせてくれるオートフォーカスなど、RX100M7 にはスマホにない魅力がたくさんあります。画質以外の面まで考慮するとコンデジとスマホの差はより大きいです。
ぶっちゃけ画質は一眼カメラにおよばないが…
きれいに撮れるカメラですが、カメラオタク的な目線になると画質的に物足りなく感じるところもあります。個人的な好みとしては、人物や動物を繊細にすこしでもきれいに記録するならもう少し大きいセンサーのカメラを選びたくなります。わたしの場合、風景・ストリートスナップならコンデジのRX100M7の画質で全然困ることはないと思いました。
もし、より画質を追求するならやはりちょっと本格的な一眼カメラがおすすめです。大きなカメラは中身のセンサーサイズやレンズが大きいぶん画質がより優れています。エントリーモデルの一眼カメラなら価格はRX100M7と同じくらいです。安めの初心者向けの一眼カメラでも画質で言えば1インチセンサーのコンデジより優秀です。
一眼カメラでもエントリーモデルであれば価格はあまり差がありません。例えばキヤノンEOS Kiss MやEOS Kiss M2のようなカメラに、EF-M18-150mmのようなレンズをつければより高画質な撮影体験ができます。
コンパクトさのメリットが大きい
一方でRX100M7にはコンパクトなので持ち出しやすいという一眼カメラにはないメリットがあります。カバンや上着・ズボンなどのポケットに気軽にいれておけます。せっかく良いカメラを買っても重くて持ち出さないという人もよくいるので、初心者にはRX100M7のような小さくて軽いカメラはおすすめです。
もし当サイトの作例写真を見て画質がきれいだと思ったのであれば、ソニーRX100M7はかなり相性が良いと思います。一眼カメラは大きすぎると感じる人にもぜひ使ってみてほしいです。
余談
周辺アクセサリーについて
RX100M7を使うなら予備バッテリーがひとつくらいあったほうが安心だと思います。バッテリーが切れてしまうと大切なシャッターチャンスを逃すことがあるので、バッテリーはカメラ付属のものに加えて計ふたつ持っておくことをおすすめします。
リストストラップが使いやすかったです。RX100M7のような小さいカメラはストラップも、それに見合ったサイズのものが良いですね。
アタッチメントグリップがあると持ちやすくて良かったです。指をかけられると滑りにくくて安定感があります。
WEBカメラとしても使える
RX100M7はWEBカメラとして使うこともできます。以前ロジクールのWEBカメラをレビューしたときに、RX100M7のWEBカメラ機能も試してみました。なかなか良好な画質でよかったです。
参考:高画質ウェブカメラでライブ配信・収録やビデオ会議を快適に! ロジクール StreamCam C980レビュー【製品提供】
作例写真まとめ
作例写真をまとめた記事はこちら。
わたしがRX100M7で撮った写真をFlickrのアルバムにまとめています。撮影の設定なども見られるのでご参考まで。
わたしの愛用しているコンデジ
筆者はRICOH GR IIIというコンデジを持っていて愛用しています。RX100M7のような内蔵ファインダーはありませんし、28mmの単焦点レンズなので望遠ズームも使えませんが、印象的な写真が撮れてたのしいカメラです。
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