テレビ会議のときのパソコンやカメラ機材の環境を紹介します。一眼カメラをWEBカメラにして映像を高画質化したほか、マイクや照明も工夫してちょっとしたスタジオのように仕上げてみました。自宅でYouTube動画を撮影したり、ライブ配信したい人にも役立つ内容にしました。
神戸ファインダーをご覧いただきありがとうございます。Aki(@Aki_for_fun)です。
最近のテレワーク・在宅ワークの流行でついにわたしも自宅からテレビ会議をすることになりました。いざテレビ会議するとなるとカメラ好きの私としてはちょっと環境づくりにこだわってみたいところ。急にワクワクしてきて手持ちの機材でちょっとリッチな配信環境を整えることにしました。
わたしがテレビ会議のために行ったことは主に次の3点です。
- 一眼カメラをWEBカメラにした
- 高品質なコンデンサーマイクで録音
- 人物映えする照明のセッティング
これらのことをやってみたところテレビ会議をした取引先の方にも好評で高画質な映像を届けることができました。わたしが取り組んだセッティングの方法についてご紹介します。
一眼カメラをWEBカメラにする方法
キャプチャーデバイスを使おう
一般的な一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラをWEBカメラとしてセッティングするには「キャプチャーデバイス」というものが必要です(キャプチャーカードやキャプチャーボードとも呼ばれる)。
キャプチャーデバイスとは、カメラやゲーム機などの機器が出力する映像信号や音声信号を、パソコンが扱うことのできるデジタルデータに変換する装置です。つまりキャプチャーデバイスを仲介してカメラをパソコンに接続します。
キャプチャーデバイスは一眼カメラをテレビ会議に使うにとどまらず、なにかインターネットでライブ配信したり、ゲーム実況をしたりすることにも使うことができます。
わたしが使っているキャプチャーデバイスの「AVerMedia Live Gamer Ultra GC553」は4K30fpsやFHD120fpsの収録に対応しているほか、4K60fps HDRのパススルー出力に対応している性能の高い製品です。ガチなゲーマーや映像品質にこだわる人向けのキャプチャーですね。
高まるライブ配信需要のためか最近は非常に安いキャプチャーデバイスも販売されているようです。一眼カメラをWEBカメラにするだけならシンプルな安い製品で良いかもしれません。
これからちょっと本格的にライブ配信やゲーム実況、テレビ会議などに取り組もうと思っているのであればブラックマジックデザインの「ATEM Mini」(エーテムミニ)をおすすめします。
ATEM Miniはなんと4つのHDMI入力と2つのマイク入力に対応したキャプチャーデバイスです。例えばカメラ2台とゲーム機の映像をまとめてパソコンに収録して、自由に映像を切り替えたりそれぞれの映像をピクチャインピクチャで合成したりできるわけです。非常に多彩な機能を備えていながらも価格は普通のキャプチャーボードと同じくらいなのでとてもコスパが良いです。
参考:ATEM Mini & ATEM Mini Proについてのよくある質問21連発 | Vook(ヴック)
ATEM Miniは圧倒的なコストパフォーマンスと高まるライブ配信需要で大人気です。そのため現在は在庫が薄く買いたい場合は予約して入荷を待たなければなりません。わたしは今後ライブ配信についても勉強してみたいのでATEM MiniのProバージョンのほうを注文しました。
この手のライブ配信機材としては従来はもっと高級なものが多くて例えば「Roland(ローランド)VR-1HD」といった機材が人気でした(今でも予算さえ許せばATEM Miniよりこっちがおすすめという声をちらほら聞きますね)。人気ユーチューバーの瀬戸弘司さんが使っておられます。
キャプチャーデバイスを使わずに一眼カメラをWEBカメラにする方法
一眼カメラでもキャプチャーデバイスを必要とせずにパソコンにそのままUSBケーブルで接続するだけでWEBカメラとして使えるようになる製品もあります。それが「SIGMA fp」です。
ほとんどの一眼カメラは映像・音声の出力をPCに取り込むためには信号を変換しなかればなりませんが、SIGMA fpはUVC(USB Video Class)やUAC(USB Audio Class)に標準で対応しています。つまりUSB-Cのケーブルでカメラとパソコンを繋ぐだけですぐにWEBカメラとして使用できます。
SIGMAの山木社長のツイート↓
SIGMA fpをWebカムとして使われている方が増えていますが、当社内でも流行っています。左上の画像は先日ご紹介した自作ブラケットを使用した例ですが、他にもご覧のように使用例多数です。その他、レンズをF1.4とかにしたり、いろいろ楽しんでいるようです。右下はWeb会社説明会のセットアップです。 pic.twitter.com/oYAFV2AuNs
— Kazuto Yamaki (@KazutoYamaki) April 25, 2020
またSIGMA fp以外のカメラでも特定の配信ソフトを使うことで一眼カメラをWEBカメラにすることができます。例えばキヤノンのEOSやPowershotシリーズのカメラは「EOS Webcam Utility」というソフトを使うとキャプチャーデバイスがなくてもパソコンに接続してWEBカメラとして使うことができます。
参考:米キヤノン、EOSやPowerShotを”高画質Webカメラ”として使えるソフトを公開 – デジカメ Watch
あるいはMacであればキヤノン以外のメーカーの一眼カメラでも「CamTwist」というソフトや「Camera Live」というソフトを利用することでWEBカメラとしてパソコンに接続できるようになるようです。
参考:無料&キャプチャーボード不要!α7R IIIをMacのWebカメラとして使う手順まとめ | ガジェットタッチ
キャプチャーデバイスの使い方・接続方法
それではキャプチャーデバイスを使ってカメラをパソコンに接続しましょう。今回はキヤノンのミラーレス一眼カメラEOS Rを例に説明します。
カメラに映像出力のケーブルを接続します。EOS Rの場合はHDMI-Mini(タイプC)で出力します。端子の形状はカメラによって異なります。例えばキヤノンのEOS Kiss Mの場合はHDMI-micro(タイプD)ですし、ブラックマジックデザインのポケシネ4KだとHDMI(タイプA)です。端子の形状を見たり、カメラの説明書やウェブサイトに記載されている仕様を確認して適切なケーブルを選びましょう。
参考:【HDMI】HDMIケーブルのタイプA、C、Dとは何のことですか?
ケーブルは2m以上あったほうがカメラの位置を調整しやすくて便利だと思います。
カメラからのばしたケーブルをキャプチャーデバイスのHDMI INに繋ぎます。
そしてキャプチャーデバイスをUSBケーブルでパソコンと接続します。
「AVerMedia Live Gamer Ultra GC553」の場合、パソコン側はUSB 3.1 Gen1端子かUSB 3.0端子に接続することが推奨されています。キャプチャーボードを適切に使用するためには製品の仕様と動作環境を確認することをおすすめします(参考:Live Gamer ULTRA(GC553) | 仕様と動作環境 | AVerMedia)。
これで基本的なセッティングは完了です。キャプチャーデバイスによってはドライバーのインストールが必要かもしれません。製品の説明書をよく見てその指示に従いましょう。PC側ではキャプチャーデバイスの名前でカメラの映像が認識されます。テレビ会議のソフトウェア(Microsoft TeamsやZoomなど)の設定でカメラを選択できる場合はキャプチャーデバイスの名前のものを選びましょう。
カメラの位置を決める
良い感じの映像でテレビ会議できるようにカメラの位置にも気を付けましょう。わたしは卓上ミニ三脚にカメラを載せてディスプレイのすぐ隣に置きました。
人によってはディスプレイのすぐ上にカメラが来るようにセッティングする場合もあるようです。たしかにノートPCのWEBカメラはディスプレイの上のところについていることが普通なのでそれと同様のセッティングにしてカメラ目線でテレビ会議するのもありかもしれません。
しかし、個人的にはディスプレイの横にカメラを置くほうが好きです。ディスプレイと向き合ったときに自分の顔がちょっとななめに映るようにしたほうがカメラ目線よるステキに見えます。
カメラの高さは自分の目線と同じくらいにします。低い位置からあおるように撮るとブサイクに見えがちです。卓上ミニ三脚で高さを調整することをおすすめします。わたしはマンフロットのミニ三脚「PIXI EVO」を使っています。
参考:マンフロットのミニ三脚レビュー【PIXI・PIXI EVO比較】
追記(2020年7月16日):便利そうなカメラ設置用機材を見つけたのでご紹介します。VESA規格のモニターアームでカメラやマイクを設置できるようにするマウントです。機材をすっきりと設置できそうで良いですね。
商品詳細:NBROS JAPAN -モニターアーム用VESAカメラマウント
販売ページ:長尾製作所 NB-MV001MH|TSUKUMO公式通販サイト
ちなみにカメラの上にはモニタリング用の小さいディスプレイを設置しています。テレビ会議するだけなら特になくても良いと思いますが一応紹介しておきます。FEELWORLDの5インチモニターです。
モニターのHDMI INにケーブルを繋いで反対側をキャプチャーデバイスのHDMI OUTに接続します。これでパススルーを利用してモニタリング環境を実現できます。
バッテリーの持続時間に注意
一眼カメラの映像でテレビ会議するのであればカメラのバッテリーに気をつけましょう。カメラによってはフル充電なら1時間くらい持つと思いますが、途中でカメラの映像が切れて迷惑をかけるリスクは避けたいところ。長時間の使用のためには電源につなげるセッティングを事前に整えておくことをおすすめします。
例えばキヤノンの一眼カメラの場合、DCカプラーとACアダプターというアクセサリーを利用することでコンセントにつないで電源を供給することができます。EOS Rには「DCカプラー DR-E6」と「ACアダプター AC-E6N」が使えます。
参考:キヤノン:アクセサリー詳細 DCカプラー DR-E6
参考:キヤノン:ACアダプター AC-E6N|一眼レフカメラ/ミラーレスカメラ|EOS
対応アクセサリーはカメラによって異なるのでご注意ください。例えば同じキヤノンでもEOS Kiss M用は「DCカプラー DR-E12」と「コンパクトパワーアダプター CA-PS700」です。
参考:キヤノン:アクセサリー詳細 DCカプラー DR-E12
参考:キヤノン:コンパクトパワーアダプター CA-PS700
カメラの設定
テレビ会議のときのカメラのおすすめ設定をご紹介します。わたしならこうしますという設定なので目安程度に参考にしてください。
- AFは顔認識モード
- ISOはオート
- F値は固定(F4など)
- シャッタースピードは1/60(関東ならフリッカー対策のため1/50推奨)
- 解像度はフルHD(1920×1080)が無難
- フレームレートは30fpsが定番
- 露出補正で明るさを決める
- モニターが勝手に消えないように設定する
EOS Rはとても優秀なカメラなので基本的にはカメラまかせで撮影できちゃいます。AFは顔認識モードにしておけば自動で顔にピントを合わせてくれます。ISOもオートにしてカメラに露出を調整してもらいます。
F値やシャッタースピードは固定。F値を小さくしておけば背景が良い感じにボケてくれます。シャッタースピードは1/60くらいが動画のときにはちょうど良いです。照明のちらつき(フリッカー)を防げるように関西なら1/60、関東なら1/50がおすすめです。
解像度は高いものにしておいたほうがより精細な映像になります。4Kでも良いのですが配信ソフトやハードウェアが対応していないと使えないことがあるのでフルHDくらいにしておくと扱いやすいと思います。
フレームレートは30fpsが標準ですね。好みで24fpsや60fpsにしても良いですが、テレビ会議だとそこまで動きがないのであまり違いが分からないかもしれません。
もし映像を明るくしたい場合は露出補正をプラスに補正してあげましょう。画面が明るくなることでちょっと美肌に見せる効果を期待できます。
またWEBカメラとして運用する際は、カメラのモニターが自動でオフにならないようにします。EOS Rの場合メニューでスパナマークのタブから「節電」を選び「オートパワーオフ」を「しない」にします。
動画用のレンズ選び
次はレンズについて。わたしがテレビ会議用に使ったのは「RF24-105mm F4L IS USM」です。
焦点距離は40mmくらいにしました。これでイスに座った時にバストアップで自分が映るようになりました。カメラとの距離感や画角の広さの好みなどもあるので、焦点距離は28mm~50mmくらいの間で決めると良いと思います(フルサイズの場合)。EOS Kiss MのようなAPS-Cサイズのカメラだと18mm~35mmくらい。
動画用のレンズの選定として気を付けるのは主に次のポイントです。
- 焦点距離
- F値
- AFが動画向きかどうか
- フォーカスブリージング
焦点距離は画角を決めます。上で書いた通りです。
F値は背景ボケの程度に影響します。小さいほうがボケるし光もたくさん取り込めるので使いやすいと思います(ピント合わせがシビアになる点には注意)。
カメラで自分を撮るとなるとフォーカスは基本的にカメラに任せることになります。AF性能が良いレンズを選びましょう。古いレンズだとジーコジーコと音を鳴らしながらなかなかピントが合わないことがあります。キヤノンの最近のレンズはだいたい良い感じに合わせてくれますね。特にナノUSMのレンズはフォーカシングが正確なのでおすすめです。
フォーカスの位置によって画角が変わる現象のことを「ブリージング」と呼びます。レンズによってはフォーカスが前後するだけで画角が大きく変わってしまい動画で見ていると気持ち悪く感じることがあります。ブリージングの少ないレンズのほうが映像向きです。といってもテレビ会議でそんなにフォーカスの位置が前後することは少ないので気にならないかもしれません。
コンデンサーマイクで高品質の録音環境を実現
次に音声の話です。わたしはYouTube用の動画でナレーションを録音することがあるのでちょっと良いマイクをパソコンに接続しています。これをそのままテレビ会議に使いました。
良質な音声収録をするためにはマイクの位置を音源に近づけるのが大事です。なのでマイクが口のすぐ近くに来るように引き出しのところにマイクスタンドを置きました。マイクがギリギリ画角に入らない程度の高さにしています。あとはショックマウントやポップガードで雑音を減らすようにしました。
マイクはオーディオテクニカの「AT2020」。このマイクをパソコンで使えるようにするにはオーディオインターフェイスが必要です。わたしが使っているのはスタインバーグのUR12という製品で、これのおかげでマイクをXLR端子で接続してファンタム電源の供給もできます。
わたしが使っている録音機材↓
audio technica ( オーディオテクニカ ) ショックマウントホルダー AT8458
USBで直接パソコンに接続するタイプのマイクもあります。
3ポイントライティングで照明に差をつける
最後にライティング(照明)について。部屋にある普通のシーリングライトだと上から光があたるので顔に陰ができてしまいます。いくらカメラが良くても照明しだいで映りが台無しになってしまいます。そこで手持ちの照明機材で簡易的な配信スタジオを作ってみました。
テレビ会議・ライブ配信向けのセッティング
わたしが配置したライティングは「3ポイントライティング」(三点照明)という映画やドラマなど映像制作の現場でよく用いられる手法を参考にしました。
3ポイントライティングというのは3つの照明を利用して、立体的に人物を見せるライティングです。ざっくり説明するとメインの照明である「キーライト」と、補助的に照らす「フィルライト」、そして輪郭を強調する「バックライト」で構成します。詳しい説明はネットで調べてもらうとたくさん出てきます。参考として動画っ校の那須裕介さんのYouTube動画のリンクをはっておきます。
参考:【ライティング講座#2】YouTube室内自撮りにおすすめの照明方法 – YouTube
わたしのセッティングを図解すると下のイラストのようになります。
キーライトはLEDライトのGodox SL60Wで、ソフトボックスをつけてやわらかい光にしています。
フィルライトはないのですがちょうど白い壁がすぐ隣にあるのでこれが実質的にレフ板になってフィルライトの役割を果たしてくれています。なのでこのセッティングを真似するのであればレフ板を置いておくと良いと思います。レフ板は光を反射して明かりを補助できるだけでなくディフューザーとしても使えるので持ってると何かと便利で重宝します。
バックライトはUTEBITのLEDライトです。安物ですが普通に使えます。
こちらのLEDライトは単3電池や電源に接続して使うこともできるのですが、わたしはソニーの「NP-F970」というバッテリーを使っています。
このバッテリーはカメラや照明、モニターなど映像関連機器によく使われる汎用性の高いバッテリーです。上の方で紹介したFEEL WORLDの小型モニターにもこのバッテリーを使っています。といっても純正のバッテリーは値段が高いのでわたしは互換品を使っています。
バッテリーチャージャーはこちら↓
わたしが使っている照明機材は比較的値段の安いものばかりなのですが、より人肌をきれいに見せたいのであれば演色性の高い照明機材を用意してください。わたしはAputureのLEDライトがほしいです。
以上わたしがテレビ会議のときの機材セッティングのご紹介でした。わざわざここまでする人はなかなかいないかもしれません。しかし、すべてをマネしなくても部分的に参考にするだけでちょっと良い環境でテレビ会議ができるようになると思います。また今後YouTubeの動画を撮ったり、ライブ配信やゲーム実況をしたい人にも役立つ情報を盛り込んだつもりです。参考になれば幸いです。
映像制作者に人気のビデオサロンでもZOOM特集が組まれています↓
手軽にテレビ会議したいだけならマイク付きのWEBカメラを買ってしまえば良いと思います↓
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