RAW現像・写真編集用のパソコンのおすすめスペック!CPU・グラフィックス・メモリはなにが必要?

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RAW現像・写真編集用のパソコンにはどんなものを選べば良いのでしょうか。初心者にとってはわかりづらいCPUやグラフィックス、メモリ、HDD、SSDなどについて解説します。わたしが実際に様々なPC環境を試したうえで考えた理想的なパソコンの推奨スペックを伝えます!

写真編集用パソコンのスペック 図解

神戸ファインダーをご覧いただきありがとうございます。毎日パソコンに数時間向き合っているAki(@Aki_for_fun)です。

今回はわたしがパソコン選びで理解できずに困ったポイントについて解説します。パソコン初心者の人で、写真編集用パソコンを探しているひとはぜひ読んでください。これから写真編集を少しづつ本格的にトライしていきたい人、あるいはすでに写真編集をしていていまのパソコン環境に不満がある人に役立つ内容だと思います。

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パソコンどれが良いのかわからない問題

パソコンを買おうと思って調べてみると「インテルCore i5-8400プロセッサー」や「Geforce GTX1050」などという単語が出てきます。パソコン初心者にとってはいまいち意味のわからない言葉が多くて困ってしまいますよね。自分の用途、例えばわたしなら写真編集や動画編集に向いているかどうかを知りたいのに、CPUやグラフィックスの性能がどうと言われてもピンときません。

また、たくさん種類がありすぎて、どれを選んだら良いのか決められなくなってしまいます。商品の仕様書を見て違いがわかれば良いのですが、初心者にはそれがわかりません。いまのパソコンのウェブサイトはどこも初心者には不親切なものが多いです(わたしは最初全然わからなかった)。

そこで、パソコンに詳しくない人でも自分にあった商品を選べるように、CPUやグラフィックスといったパソコンの性能を左右する重要なパーツについてそれがどういうものなのか説明します。そして、特に写真編集用パソコンを買うときの基準となるような推奨スペック(CPU、グラフィックス、メモリなど)についても紹介します。

※具体的なおすすめのメーカーや機種については別記事の「写真編集用におすすめのパソコンまとめ!各社クリエイターPCと写真家監修モデルなど」で紹介しています。

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初心者でもわかる写真編集用パソコンのおすすめスペック解説

※CPU、グラフィックス、メモリなどのスペックの話をしますが、だいたいの場合において数字が大きいほうが高性能ととらえてもらって大丈夫です。

CPU(プロセッサー)

パソコンのスペックを見るときにもっとも重要なのがCPUプロセッサー)です。パソコンの頭脳であり、司令塔となる存在です。写真編集の作業をどれだけスムーズに行えるかの大部分がCPUに依存します。

CPUというのは例えば「インテル Core i5-8400 プロセッサー」とか「インテル Core i7-7700HQ プロセッサー」などと書かれているものです。

CPUのスペックの読みかたについて解説しましょう。

インテル Core i77700HQ プロセッサー

まずは赤字の「Core i7」というところ。これはCPUの種類のことでおおよそのグレード(序列)がわかります。例えば「Core i3」、「Core i5」、「Core i7」、「Core i9」などがあります。原則として数字が大きいほど高性能です。

インテルのCPUにはほかにも「Celeron」、「Pentium」といったよりグレードの低いものがあります。これらは写真編集には向いていないCPUなので無視して大丈夫です。ほとんどの写真編集用パソコンは「Core i5」か「Core i7」です。本格的なものだと「Core i9」の高級なCPUを搭載しています。

その次に4桁の数字がありますがこれはCPUの型番です。特に注目してほしいのがこのうち頭の数字(青字)でこれがCPUの世代を表しています。数字が大きいほど新しい世代で優秀です。残りの下3桁はその世代の中でのグレードを表していて数字が大きいほど高性能な傾向にあります。

すこしややこしいのがCPUの種類(Core i○)と型番(4桁の数字)のどちらのほうが重要かを一概に言えないところです。「Core i5-8400」と「Core i7-7700HQ」を比べると前者の方がCore i5で数字が小さいので劣っているようにも見えますが、残りの4桁の数字を見ると第8世代の新しいCPUなのでむしろ優れているようにも見えます。こうなるとどちらの方が高性能なCPUなのか判断が難しいです。

こういうときはCPUのより詳細なスペックを見てみましょう。パソコンのCPUの項目をよく見てみるとほかにも数字が書いてあります。ここで注目したいのがコア数クロック数動作周波数)です。

「コア」というのはまさにCPUの核のことで頭脳のようなものです。普通脳みそはひとつだろうと思うのですが、最近は頭脳がふたつやよっつもあるCPUがあるのです。「三人寄れば文殊の知恵」なんて言葉があるように複数の頭脳をつかったほうがより良い成果が出るのでコア数は多い方が良いです。

一方「クロック数」は頭脳の回転速度のようなもの。CPUの処理速度を示す指標です。GHzという単位で書かれています。やはり数字が大きい方が高性能です。

先ほどのCPU比較の例に戻りましょう。CPUの詳細を見ると次のように表記されています。

CPUのスペックの見方 例1

CPUのスペックの見方 例2

画像はマウスコンピューターウェブサイトの仕様書より作成

このようにCPU詳細のところを見るとコア数やクロック数がわかります。クロック数はいずれも2.80GHzとなっていて同じですが、コア数を見ると「Core i5-8400」のほうが6コアで、「Core i7-7700HQ」が4コアです。つまりCPUの性能でいうと「Core i5-8400」のほうが優秀です。また最大クロック数も「Core i5-8400」のほうが4.00GHzと高いのでこちらのほうが底力があります。
※ちなみに「Core i7-7700HQ」はモバイル用CPUで「Core i5-8400」はデスクトップ用CPU。

末尾のアルファベットはあまり気にしなくて大丈夫です。もちろん意味があるのですが、たくさんあって覚えるのが大変だし大雑把な意味合いしか把握できません(アルファベットが付いていれば良いとか悪いというわけではない)。このアルファベットよりもCPUの種類と世代、そしてコア数、クロック数あたりを見たほうが良いです。

CPUのまとめ
写真編集・RAW現像用パソコンに必要なスペックとは

  • CPUはパソコンの頭脳
  • Core i5やCore i7など数字の大きいものを選ぶ
  • 世代は新しいものが良い。7000、8000、9000番台など数字の大きいものを選ぶ
  • コア数が多いものを選ぶ
  • クロック数(動作周波数)が大きいものを選ぶ
  • CPUはパソコンで一番大事なパーツなので予算の許すかぎり一番良いものを選ぶ

グラフィックス(GPU)

パソコン選びにおいてはグラフィックスも大事です。グラフィックボード(グラボ)と呼ばれることもあります。グラフィックスの特にコア(頭脳)となる部分のことをGraphic Processing Unit(GPU)と呼びます。

※CPUとGPUを混同しないように注意してください。

グラフィックスは映像表現のアシスタント

グラフィックスとはまさに名前にあるようにグラフィック(視覚表現)に関わる機能を担っています。

グラフィックスは映像に関わる作業を行うパーツなので、静止画や動画の編集、ゲームプレイ、CADを用いた製図などをする場合にとても重要になります。ディスプレイへの出力もグラフィックスが関わるので解像度(4KやFHD)や色の再現性にこだわるなら良いグラフィックスが積まれたパソコンを選びましょう。

性能の良いグラフィックスがあると写真のデータがもつ色情報を適切に表示してくれます(要はきれいに見える)。編集した内容がスムーズにディスプレイに反映されます(動作がもっさりしない)。より快適に写真編集ができるわけです。

ただし、グラフィックスの担当する領域はCPUに比べると限定的です。CPUは働き者なのでパソコンを使っているときはどんな作業だろうとだいたいいつも稼働しています。一方グラフィックスは画像・動画編集、ゲームの映像表現をサポートするのが主な仕事です。

例えるならCPUが漫画家の先生で、グラフィックスはアシスタントさんのようなものと言えるかもしれません。先生は頑張ればひとりでも漫画を仕上げることができます。しかし、アシスタントがいれば自分はストーリーを考えたり重要なシーンの描写に専念して、あとはアシスタントさんに背景を描いてもらったり、ベタ塗りを手伝ってもらうことで効率的に作業が進みます。締め切り(処理速度)や体力の限界(熱問題)を考えるとアシスタントさんのサポートは大事です。

こういった理由から写真編集などクリエイティブな作業を行うパソコンはグラフィックスも高性能なものが必要です。とはいえ、CPUのほうがより重要なのは確かなので予算の問題でどこかを妥協するとなるとグラフィックスのグレードを抑えることが多いです。

※動画編集やゲームプレイとなるとグラフィックスの役割がより重要になります。

グラフィックスがふたつ?

写真編集向けのパソコンのグラフィックスを確認するとだいたいグラフィックスは2種類の名前が書かれています。

パソコンのグラフィックスの表記例

例えば上の画像のようにグラフィックスの項目に「GeForce GTX 1050」と「インテル UHD グラフィックス 630」のふたつの名前があります。このうち後者のグラフィックスは「内蔵GPU」(あるいは「統合GPU」、「オンボードグラフィックス」)と呼ばれるものです。

最初に説明したようにグラフィックスは視覚表現に関わる機能を担当しています。つまりグラフィックスがなければパソコンの電源をつけても何も見えないわけです。それでは困るのでCPUにも内蔵するかたちでグラフィックスが備わっています。それが内蔵GPUです。

高性能なパソコンの場合、内蔵GPUとは別により高性能なグラフィックスを搭載しています。それは「独立GPU」とか「外部GPU」と呼ばれます。内蔵GPUにも優秀なものがありますが独立GPUには及びません。

安いパソコンだと独立GPUはなく内蔵GPUしかありません。例えばアップルのMacBook Airは内蔵GPUだけですが、MacBook Proはその多くが独立GPUも備えています。先ほどの例えでいうとアシスタントに頼らず自力で頑張る漫画家さんと、アシスタントを雇っている漫画家さんの違いのようなものです。仕事を手伝ってくれる専業のアシスタント(独立GPU)がいたほうが作業はずっと効率的になってクオリティの高い作品をつくれるようになります。

CPUと比較すればグラフィックスは重要度が低いと書きましたが、写真編集用なら独立GPUが搭載されたパソコンのほうが良いです(一般的にはグラフィックボード搭載、あるいはビデオカード搭載と書いてあれば独立GPUがあるという意味です)。

※内蔵GPUはCPUの中に含まれるものなのでパソコンの仕様書のグラフィックスの項目からは記載が省略されていることもあります。写真編集用のパソコンを選ぶときは独立GPUに注目しましょう。

追記(2021年7月12日):最近はインテルの内蔵GPUの性能も良くなってきました。特に第11世代のインテルCPUが採用している「インテル Iris Xe グラフィックス」であれば、写真編集用途としても高いパフォーマンスを発揮してくれます。
参考(インテル Iris Xe グラフィックス搭載のおすすめパソコン):MacBook派のわたしが惚れたWindowsノートPC “DAIV 4P”レビュー!【マウスコンピューター】

GPUの種類とスペックの見方

より具体的にグラフィックスの種類やスペックについて見てみましょう。

グラフィックスはNVIDIAという企業のGeForce (ジーフォース)やQuadroが有名です。あとはAMDという企業のRadeonVegaというグラフィックスもあります。いずれのグラフィックスにしろその名前の後に数字が書いてあります。やはり数字が大きいほど高性能です。

グラフィックスの例

  • GeForce GTX 1050
  • GeForce GTX 1070 Ti
  • Geforce RTX 2070
  • Quadro P2000
  • Radeon Pro 560X

写真編集用パソコンとして考えた場合、グラフィックスはGeForce GTX1050か、それ以上の性能のグラフィックスをおすすめします。簡単な写真編集だけであればGeForce GTX1050で特に問題はありません。

もしマルチモニターに出力したい、後々動画編集にも挑戦したい、あるいはパソコンでゲームもしたいと考えるようであればGeForce GTX1060、GTX1070Tiなどより高い性能のグラフィックスを選んでおくと安心です(末尾に「Ti」ついているほうが同じ数字でもより高性能です)。またGeforceは数字のまえにGTXという文字がつくものが主流ですが、より新しく高性能なGPUとしてRTXシリーズも最近登場しました。

そしてすこしマニアックな話になりますが10bit表示するならグラフィックスは「Quadro」を選びましょう。普通は8bitなのですが「Quadro」というグラフィックスは10bit表示に対応しているという特徴があります。どう違うのか簡単に言うと10bitのほうがよりグラデーションをなめらかに表示することができます。

しかし、このあたりはプロレベルの話になってくるので詳しくない人は10bitまで気にしなくてかまいません。ここにお金をかけるより高品質のディスプレイを買うほうが優先です。もし写真編集専用にQuadroのグラフィックスを選ぶなら「Quadro P620」や「Quadro P2000」という安いもので大丈夫。動画編集でカラーグレーディングをやるとかCADで図面を書くなどしなければ問題ありません。

10bitについては次の記事に詳しく書きました。以前は高級なグラフィックスでなければ対応できませんでしたが最近はエントリーモデルでも10bitカラーに対応しています。
8bitから10bitへ!クリエイターなら知っておくべきPCのNVIDIAの設定

RadeonやVegaは日本であまりシェアが大きくないので気にしなくて良いと思います。
追記:AMDのRadeonもかなり一般的になってきました。Radeonも基本的には数字が大きいほど高性能なGPUです。
MacにRadeonが搭載されていますが、Macはそもそも選択肢が少ないのであまり悩まずに選べます。高級なもののほうが高性能なグラフィックスを積んでいます。

そのほかグラフィックスの性能を見る指標としては「ビデオメモリ」というものもあります。これも数字が大きい方が良いのですが写真編集であればそこまで気にしなくて大丈夫です。動画編集もするならビデオメモリにも余裕がほしいです。

グラフィックスのまとめ
写真編集・RAW現像用パソコンに必要なスペックとは

  • グラフィックスはパソコンの視覚表現を担当するパーツ
  • 写真編集用ならグラフィックスも大事
  • Geforce GTX1050以上のものを選ぶ
  • 10bitカラー対応ならQuadroを選ぶ → GeForceでも大丈夫
  • 予算が厳しい人はグラフィックスの性能を抑えたものを選ぶ

メモリ(RAM)

メモリもパソコンを選ぶうえで重要です。メモリ(RAM)とは一時的にデータを保存しておく記憶装置のことです。

メモリはよく「作業机」に例えられます。なにかの作業中は、必要な素材や資料、道具などをどこかにしまっておくよりも机のうえに置いてあったほうがすぐ手に取れて便利ですよね。また、大きな作業をするときは机が広くて余裕があったほうが効率的に作業が進みます。

パソコンも同じです。メモリが多いほうが(机が広いほうが)作業の効率がよくなります。写真編集はパソコンにとって大がかりな作業なのでメモリがたくさん必要になります。なにか複数の作業を同時進行したいときもメモリが多いほうが良いです。

メモリのおすすめ容量

メモリは8GB、16GB、32GB、64GBなどのようなかたちで選べることが多いです。やはり数字が大きい方がより良いです。

写真編集となると8GBでもなんとかなるかもしれませんが「おすすめ」とは言えません。写真編集用のパソコンであれば16GB以上のメモリをおすすめします。写真編集ソフトのAdobe Lightroom Classic CCもメモリは12GB以上を推奨しているので写真編集となるとやはりこのあたりのラインが最低ほしいです。

ただし、メモリは多すぎてもあまり意味がありません。先ほどの机の例えに戻りましょう。作業スペースが広いほうが効率的に作業できると書きましたが、かといって机が極端に広くてもあまり役立ちませんよね。スペースがあまってるだけなら作業の効率には影響しません。メモリはあくまでデータを一時的に保存しておく場所なのでCPUやグラフィックスのようになにか積極的に作業を行うわけではありません。

つまりメモリが多すぎてもあまり意味がないので32GBくらいあればほとんどの人は困らないでしょう。メモリを64GB積むよりはその予算をほかに回したほうがよりコスパよく写真編集用のパソコンを組めるはずです。

またパソコンによっては後からメモリを増設することも可能です。パソコン本体にメモリを増設するスペースさえ残っていればできます。パソコンを買うときにはできれば搭載可能な最大メモリの量もチェックしておきましょう。詳しい人なら自分でメモリを買って組み込めますし、詳しくない人もメーカーに依頼すれば数千円で作業を代行してくれます(メーカーに依頼すればカスタマイズしてもパソコンの保証が外れないので安心。メモリそのものの代金は別途必要です)。

メモリのまとめ
写真編集・RAW現像用パソコンに必要なスペックとは

  • メモリは効率的に作業を進めるために必要な記憶媒体で作業机のようなもの
  • 写真編集用パソコンとしてはメモリ16GB以上がおすすめ
  • コスパ良く予算を抑えたいならメモリは16〜32GBにおさめる
  • 後から増設したくなるかもしれないのでメモリの最大搭載量も確認しておく

ストレージ(ドライブ)

シンプルなようで意外と奥が深いのがストレージドライブ)です。HDDSSDのことですね。HDDとはHard Disk Drive(ハードディスクドライブ)、SSDとはSolid State Drive(ソリッドステートドライブ)の略です。

ストレージとはデータを保存しておいて、そのデータを出したりしまったりする場所のことです。先ほどはメモリを作業机に例えましたが、ストレージは引き出しや棚のようなものです。メモリに保存してあるデータはあくまで作業を効率化するための一時的なものだったの対して、より長期的なデータの保存場所として使われるのがストレージです。

※厳密に言うとHDDやSSDは単なる収納スペースではなく、データを出したりしまったりする作業まで担当します。なので例えるなら棚や引き出しよりも荷物を出し入れしてくれるお手伝いさんと言ってよいかもしれません(秘書でも妖精さんでも好きなイメージでどうぞ。わたしは働き者の小人が住んでいると思っています)。

HDDとSSDの違い・比較

HDDは安いことがメリットです。あまり費用をかけずに、たくさんのデータを保存できる容量を確保することができます。一方でSSDは比較して高級なかわりに非常に性能が優れています。

SSDの主なメリットをまとめると次の通り。

  • データの転送速度が非常に速い
  • 衝撃に強くデータを失いにくい
  • 発熱・消費電力が少ない
  • 作動音が静か
  • 小さいのでパソコンの小型化・軽量化にもなる

このように様々なメリットがあるので絶対にSSDがおすすめです。

特に写真編集用のパソコンとなるとデータの転送速度は大切。例えば撮影してきた写真をパソコンに取り込む時のスピードがHDDとSSDでは全然違います。他にも編集ソフトで写真をサムネイルで一覧に表示するときもSSDのほうがより早く表示してくれます。地味と思うかもしれませんがこういうときのちょっとしたもっさり感が作業の快適さに大きな影響を及ぼすので大事です。

また大切な写真データの保存場所と考えるとHDDはいつ壊れるかわからず不安です。SSDを使ったほうが絶対に安心感があります。

そしてSSDは発熱が少ないのでパソコンに負荷がかかりにくいです。パソコンは写真編集のような重たい作業をするとすぐ熱があがり、その熱をさげるためにファンが回ってしまいます。ファンの音は作業中に雑音として気になることがあるのでできるだけそれを避けるためにもSSDのほうが良いです。

HDDと比べると割高とはいえ、最近はSSDでもそんなにめちゃくちゃ高くなることはありません。写真編集用パソコンを買うならSSD搭載のものを強くおすすめします。

また最近のパソコンはストレージを複数種類入れることができます。例えばSSDを256GB、HDDを1TBというような組み合わせができるのです。256GBもあれば自分がいま編集したい画像ファイルを保存しておくには十分です。作業が終わってしばらく使わないデータはHDDに移してやれば良いでしょう。高性能なSSDという棚のほかに、HDDという大きな倉庫があるイメージですね。

SSDのなかにもより小型・高性能なものがある

SSDのほうがおすすめと書きましたが、実はSSDにも種類があります。いま注目なのが「M.2 SSD」です。

M.2 SSD

画像引用:ストレージ HDD/SSD/M.2 SSD|BTOパソコン・PC通販ショップのマウス【公式】

上の画像のようにM.2 SSDはより小型であることが第一の特徴です。そしてM.2 SSDの中でも「PCI Express接続」(NVMe)のものは非常にデータ転送速度が速いです。ふつうのSSDと比べてもデータ転送速度は4〜6倍ほど高速です。

ふつうのSSDでも快適な作業はできるのですが、その上のクラスを一度体験してしまうとその違いはあまりに大きいのでやはりM.2 SSD(PCI Express接続、あるいは「NVM Express」と書かれたもの)をおすすめしたいですね。

※M.2 SSDでもSATA接続のものは普通のSSDのデータ転送速度とあまり違いはありません。

ひとつだけM.2 SSDには注意点があります。超高速でデータ転送するのでその代償として熱が発生するということです。あまり熱が高くなると本来の性能が発揮されず転送速度が遅くなってしまうこともあります。そういった熱の問題を解決するために「放熱シールド」というものがあるのでその利用をおすすめします。シールド自体はすごく安いです。

M.2 SSDと放熱シールド

M.2 SSD用放熱シールド

ストレージのまとめ
写真編集・RAW現像用パソコンに必要なスペックとは

  • 写真編集用パソコンなら絶対にSSDがおすすめ
  • できればM.2 SSD(PCI Express接続)がよりおすすめ(放熱シールド推奨)
  • 容量が足りなくて不安ならHDDも一緒に搭載するか外付けHDDを用意する

インターフェイス

忘れられがちなインターフェイスについてもきちんと確認しておきましょう。要はパソコンと周辺機器を接続するための端子にどのようなものが備わっているかです。

写真編集用のパソコンならSDカードリーダーがないと困ります。SDカードはよく抜き差しすることになるのでパソコンのどの位置にあって、自分にとって使いやすいのかよく確認しましょう。

またSDカードリーダーにも性能の良し悪しがあります。仕様をよく見ると「USB2.0」とか「USB3.0」などと書いてあります。数字が大きい方が高性能で、データの読み込み・書き込みが速くなります。例えばせっかく高級なUHS-ⅡのSDカードを使っているならそれに対応したカードリーダーでないと充分に読み込み速度がでません。
参考:UHS-II対応のSDカードリーダー(USB-C接続)を購入したのでレビュー

そのほか重要な端子としてはやはり映像出力に関わるものがあります。Display Portや、Thunderbolt3、HDMIなど自分の使いたいディスプレイに対応するものがあるか確認しておきましょう。

また映像出力の性能を最大限活かすにはDisplay PortやHDMI、Thunderbolt3などの出力端子を利用しなければいけないことがあります。出力端子によっては解像度や発色数に限界があります。ケーブルもちゃんと対応したものを選ばなければいけないので、よく仕様書などを確認しましょう。
参考:Thunderbolt 3、USB-Cを活用すればパソコンがもっと便利に!おすすめアイテム紹介と利用上の注意点

あとはインターネット通信がどうなっているかも要チェック。ノートパソコンの場合、有線LAN端子がないこともありますがそれで本当に大丈夫か考えておいたほうがよいです。基本的に有線のほうが通信は安定します。またホテルに行くと有線でしかインターネット通信ができないことがあります。デスクトップパソコンは逆に標準だと無線LANに対応していないことがあります。必要なひとはカスタマイズなどで対応できるようにしておきましょう。

わたしが持っているノートPCは有線LANの端子がないのでアダプタを外付けしてつかっています。

インターフェイスのまとめ
写真編集・RAW現像用パソコンに必要なスペックとは

  • SDカードリーダーの位置と性能を確認。USB3.0、UHS-Ⅱ対応などと書かれたものがおすすめ
  • 映像出力に自分の使いたいものがあるか確認
  • 有線LANや無線LANに対応しているか確認

ディスプレイ(モニター)

だいぶ後回しになってしまいましたが、写真編集用のパソコンにおいてはディスプレイモニター)が非常に重要です。

主なチェックポイントとしては、サイズ、解像度、色域、ハードウェアキャリブレーションの可否などがあります。

サイズ(15型、27型などディスプレイの大きさ)は自分の用途にあったものを選びましょう。よく持ち運ぶノート型を選ぶなら13〜15型(インチ)が定番です。基本的には大きい方が写真を大きく見られるので写真編集では便利です。デスクトップ用なら21〜27型(インチ)くらいが人気。32型とかもありますが、大きすぎると感じるかもしれないので選ぶ際は慎重に。

解像度はFHDや4Kなどですね。解像度が高い方がより精細に写真を表示できます。FHDは最低限必要。できれば2K、4Kくらいあると快適です。

色域とはsRGBやAdobe RGBをカバー率が90%とか98%などのように書いてあります。ディスプレイについてはこの色域についてまったく何も書かれていないことがあります。これは裏を返せばアピールできるほどの良い色域ではないということです。sRGBやAdobe RGBを90%以上カバーできるものを選ぶようにしましょう。

そしてよりディスプレイにこだわるなら「カラーマネジメントモニター」と呼ばれる専用モニターの購入をおすすめします。カラーマネジメントモニターはディスプレイの品質に優れていることはもちろん、その品質を維持することにも長けています。また関連してキャリブレーションツールというものも用意することをおすすめします。

これらについては次のふたつの記事で詳しく紹介しています。

ディスプレイのまとめ
写真編集・RAW現像用パソコンに必要なスペックとは

  • 写真編集用パソコンなら大きいサイズの方が見やすくておすすめ
  • ノートなら13〜15型、デスクトップ用なら21〜27型が人気
  • 解像度はFHD以上。4Kだと非常に高精細なのでおすすめ
  • 色域はsRGBやAdobeRGBをカバーしたもの
  • カラーマネジメントモニターやキャリブレーションツールの導入も検討する

デザイン

最後にパソコンのデザインです。

まず機能的な面で言うとサイズが重要。持ち運び用にノートパソコンを買うなら自分のカバンに入るサイズかよく確認しておきましょう。残念ながら写真編集用のパソコンとなるとどうしても大きく、分厚くて、重たいものが多い傾向にあります。

ノートパソコンならキーボードやトラックパッドが自分好みかも要確認です。

そして見た目も大事です。普段よく使うものになるはずですから自分が気持ちよく使えるルックスかどうか買う前に見ておきましょう。

デザインのまとめ
写真編集・RAW現像用パソコンに必要なスペックとは

  • ノートパソコンはサイズ、キーボードなどを要確認
  • 長く使うものなので見た目でもあまり妥協しない方が気持ちよく使えます
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自分にぴったりの写真編集用パソコンを選ぼう

写真編集用パソコンのスペック 図解

写真編集・RAW現像用パソコンを買うなら次の条件を満たすことをおすすめします。

  • CPU:インテル Core i5・i7以上、第7世代以降の新しいプロセッサー
  • グラフィックス:GeForce GTX1050以上
  • メモリ:16GB以上
  • ストレージ:SSD 256GB以上
  • ディスプレイ:色域でSRGBやAdobe RGBをカバーしていることが明記されているもの
  • 自分に必要な接続端子がある
  • 自分好みのデザイン

こういった条件を満たしたパソコンを選べば写真編集・RAW現像を快適に行えると思います。

このような推奨スペックは、わたしなりにパソコンについて調べてそして様々なパソコンを実際に使ってみて考えました。もちろんこれが唯一絶対の答えというわけではないので、ひとつの参考にしてもらえればと思います。

 

ちなみにわたしが普段写真編集で利用しているパソコンは、マウスコンピューターのクリエイター向けブランドDAIVのデスクトップPCです。

ノートパソコンだとアップルのMacBook Proを使っています。

 

写真編集用のおすすめパソコンを次の記事にまとめました。

RAW現像・写真編集用におすすめのパソコンまとめ!各社クリエイターPCと写真家監修モデルなど
RAW現像・写真編集用におすすめのパソコンの情報をまとめました。選定基準としては、必要な水準の性能(スペック)を満たしているか、価格が妥当か(コストパフォーマンス)などです。個人的におすすめのメーカーやブランド、機種を選んでいます。

写真データ管理に関する記事

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