超広角レンズの使い方について、作例とともに紹介します。超広角レンズの魅力と上手な撮影方法・コツ、そしておすすめの広角レンズをお伝えします!
神戸ファインダーをご覧いただきありがとうございます。Aki(@Aki_for_fun)です。広角の撮影が好きで日頃からよく超広角レンズをよく使っています。作例写真や動画を見せながら広角レンズの楽しさをお伝えします。
広角レンズ・超広角レンズとは(定義)
まずは超広角レンズがどのようなものかを知ってその撮影の面白さを考えてみましょう。
広角レンズとは、広い画角で撮影することができるレンズのことです。厳密な定義が決まっているわけではありませんが、だいたい35mm以下の焦点距離のレンズのことを「広角レンズ」、24mm以下の焦点距離のレンズのことを「超広角レンズ」と呼びます。センサーサイズによって画角が異なるのでAPS-Cサイズの場合、広角レンズは24mm以下、超広角レンズは16mm以下になります。
画角の比較(焦点距離はAPS-Cカメラに装着した場合)
また、魚眼レンズ(フィッシュアイ)というものもあります。魚眼レンズも一種の超広角レンズですが、他の一般的なレンズとの違いは大きな歪みが出ることです。
画像:キヤノン EF8-15mm F4L FISHEYE USM
例えばこれは魚眼レンズ(EF8-15mm F4L FISHEYE USM)で撮影された写真です。この写真だと平らなはずの地平線が丸くなっていることが分かります。特に端のほうの木は丸く曲がっています。
また魚眼レンズによっては画像の端に黒い部分(ケラレ)ができます。
画像引用:キヤノン:EF11-24mm F4L USM 特長紹介
この写真の比較が分かりやすいですね。上が一般的な超広角レンズの作例で、下が魚眼レンズの作例です。焦点距離はどちらも同じ11mmなのですが、魚眼レンズの写真は歪みが顕著に出ていて、端のほうが黒くなっています。
魚眼レンズについては次の記事により詳しく書いています。
超広角レンズの特徴・利点と撮影方法
超広角レンズの特徴を押さえて上手な撮影方法について考えてみましょう!
とにかく広く写せる!
焦点距離10mm 大相撲大阪場所にて
広い画角を活かして目の前の広大な風景をそのまま撮ってあげましょう。広い会場の空気感をそのまま写真で伝えたい!そんなときは超広角レンズが活躍します。
焦点距離10mm 神戸・メリケンパークにて
色々なものを写真に詰め込みたいという欲張りな人にも広角レンズは向いています。上の写真では右奥にポートタワー、右手前に神戸開港150年のマーク、そして左奥にスターバックスの店舗と、全部一枚の写真に収めることができました。
焦点距離10mm 神戸大橋 ポートアイランド北公園にて
大きな橋も広角レンズなら両岸までしっかりおさまります。上空に照射される4本のビームすべてを写真にとらえることができました。
焦点距離10mm 神戸税関 外観
建物の外観を撮るときにも便利です。もうこれ以上ひいて撮れない!なんて困ったときは広角レンズの出番。
主役に花をそえる脇役をいれられる
広く写すことができるので空間を利用して、写真の主役(主題)にプラスアルファで脇役(副題)を添えてやると写真のクオリティが上がります。
焦点距離11mm 雨の日の神戸ポートタワー
ポートタワーと水たまりに映るイルミネーションの光を一枚の写真におさめました。この写真はポートタワーが主役で、水たまりの映り込みや、小さく写る傘を差した人の姿が脇役として写真を引き立てています。こんな大胆な構図も超広角レンズならではです。
焦点距離10mm 神戸・三宮の商船三井ビルディング
かっこいい石造りの建物に文字通り花を添えてみました。シンプルに建物だけを撮るのももちろん良いですが、こうやって副題を足すと写真に味が出ますよね。
焦点距離10mm ファーマーズマーケット 三宮・東遊園地にて
かわいいおもちゃがあったのでパシャリ。新緑のきれいな場所で朝市が行われていたので、その場の雰囲気を伝えられるよう広角レンズで撮影。背景に木々や人の姿をいれました。
パースペクティブ(遠近感)を活かして迫力ある表現
写真やデザインの用語でパース(パースペクティブ)というものがあります。簡単に言えば遠近感のことで、手前のものが大きく奥のものが小さくすぼまるように見えます。広角レンズは望遠レンズに比べてこの遠近感が現れやすいという特徴があるので、それをうまく利用してやると迫力ある写真を撮れます。
焦点距離10mm 神戸・湊川隧道にて
ずっと奥まで続くトンネル。手前から奥へとすぼまっていくのが分かりますよね。こういう遠近感を出したいときはしゃがんでローポジションから撮影したり、壁に寄って撮影してやると迫力を出しやすいです。
焦点距離10㎜ 神戸・三宮の京橋と阪神高速
遠近感を意識して撮影すると建造物の迫力が出ます。ちなみに道を歩く人が副題として地味にきいています。
焦点距離10mm 神戸・岡本の保久良梅林にて
下から上を見上げるように撮影するのもパースを活かす撮り方です。これは梅の木を見上げるように撮影していますが、枝垂れの梅や桜を下から仰ぐように広角レンズで撮影すると面白いですよ。
焦点距離10mm 神戸・御影の弓弦羽神社にて
神社のたくましい木も、幹に近づいて上を見上げるように撮るとその迫力が増します。
手ぶれに強い
焦点距離10mm シャッタースピード 1/8 スターバックス神戸メリケンパーク店二階
広角レンズは手振れしにくいという特徴があります。室内で撮影するときは暗くてISOを上げなければならずノイズがたくさんのってしまいがちですよね。でも広角で撮るときはスローシャッターでも案外ぶれずに撮れちゃうんです。上の写真はシャッタースピードが1/8秒。
超広角レンズが活躍する撮影シーン・用途
これまで書いたような超広角レンズの特性がうまく活用できる撮影シーンをまとめてみました。ここでとりあげる写真のジャンルが自分のよく撮影するものと合うならぜひ超広角レンズを使ってみましょう。
風景・星空・夜景
定番は風景写真です。見晴らしの良い場所に行ったらその開放感を写真で表現したいですよね。そんなときには超広角レンズが大活躍。星空や夜景撮影が好きな人にもおすすめです。
焦点距離10mm 夜の神戸港 モザイク大観覧車前より撮影
焦点距離10mm 神戸ルミナリエ 三宮・東遊園地にて撮影
旅行・遊園地・登山
風景写真ともつながりますが、旅するときはやはり超広角レンズがあると便利です。風景や訪れた建物の外観を撮影するのに向いています。
またディズニーランドやUSJなどのテーマパークにはまるで外国に訪れたような風景が広がっていますよね。超広角レンズはその場の雰囲気・空気感を表現するのに適しています。幻想的な世界での思い出を超広角レンズで思い出に残しましょう。
登山が趣味の方もやはり広角レンズが便利ではないでしょうか。美しい自然を広く撮ることができますし、広角レンズは最短撮影距離が短いものが多いので植物のアップの写真も撮れます。のちほどご紹介しますが、超広角のマクロレンズもあるのでおすすめです。
焦点距離18mm 神戸市立森林植物への登山道中にて
不動産・建物・インテリア
建造物の外観やインテリア撮影においても超広角レンズは大活躍です。大きな建物は広角レンズでないと一枚の写真におさまりません。また広角で撮影すると部屋が広く見えるので、ホテルや民泊などで部屋の紹介写真を撮影するなら超広角レンズが必須です。
焦点距離10㎜ 神戸税関
焦点距離10mm 神戸・スターバックス北野異人館店にて
カフェ・飲食店
おしゃれなカフェやレストランで食事をしたら、食べ物の写真を必ず撮るようにしているひとも多いのではないでしょうか。そんなとき広角・超広角レンズがあれば料理と一緒にその場の雰囲気も切り取ることができます。
焦点距離24mm 神戸・元町のCurry味善にて
焦点距離14mm 神戸・岡本の珈琲春秋にてモーニングのサンドイッチ
自撮り
超広角レンズは自撮りにも便利です。手を伸ばして自分を撮るときはカメラと自分の距離がどうしても近くなります。超広角レンズならそんなときでも自分と背後の風景を一緒に撮ることができます。
動画撮影
超広角レンズは手振れに強いので、動画撮影にも活躍します。ぶれない動画を撮るには三脚をつかうのがベストですが、いつも三脚を使えるとは限りませんよね。広角レンズなら手持ちでぶれの少ない安定した映像を撮ることができます。
またスタビライザーやジンバルなどを使って動きのある映像を撮るときも、広角レンズのほうがやはりぶれを抑えることができて使いやすいです。次の動画は広角レンズとジンバルの組み合わせで撮りました↓
おすすめ超広角レンズ
各カメラメーカー向けのおすすめ超広角レンズを紹介します。
私はキヤノンユーザーなのでキヤノン一眼レフ・ミラーレスカメラ用のレンズを中心に紹介しますが、タムロンやシグマなどキヤノン以外の会社が作っているレンズはニコン用や、ソニー用に同じものを販売していることがありますのでチェックしてみてください。
ちなみに一般的な標準ズームレンズの広角端18mmと超広角レンズの10mmの画角を比べると次のようになります(APS-Cの場合)。
キヤノン超広角レンズ
まずキヤノン(CANON)純正の超広角ズームレンズからご紹介。
Canon EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM
手ごろな価格で超広角レンズデビューにぴったりの定番レンズです。この記事で紹介した写真はほとんどこのレンズで撮影しています。軽くて手振れ補正がついているので便利です。キヤノン一眼レフカメラEOS Kiss X9などの軽量なカメラと相性ぴったり。
RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM
上のレンズを最新の EOS Rシリーズ用に再設計したのが「RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM」です。EOS R50 や EOS R10 などのカメラにおすすめです。
Canon EF16-35mm F2.8L Ⅲ USM
キヤノンの一眼レフカメラ用でフルサイズ対応の広角レンズならこれです。F2.8通しのLレンズで非常に高性能。
Canon RF15-35mm F2.8 IS USM
ミラーレスのEOS Rシリーズ用RFマウントレンズなら「RF15-35mm F2.8 IS USM」(フルサイズ対応)があります。一眼レフ用のレンズよりもより広く撮れるようにパワーアップしました。
Canon EF-M11-22mm F4-5.6 IS STM
キヤノンの EOS M シリーズのミラーレスカメラを使っている人はこちらのレンズがあります。小型ながら「EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM」よりこちらのレンズの方が光学性能が優れています。EOS Kiss M などのカメラのユーザーにおすすめ。
シグマ超広角レンズ
超広角レンズとしてはシグマ(SIGMA)のレンズも人気です。キヤノン以外にもニコン、ソニー、ペンタックス向けのレンズがあります。
Sigma 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM
このレンズの魅力はなんといっても広角側の焦点距離が8㎜まであるということ。APS-C用の超広角レンズとしては最も広角のレンズです。弱点はレンズが前にせりだしているためフィルターを付けられないこと。
Sigma 10-20mm F3.5 EX DC HSM
シグマからはもうひとつAPS-C専用で超広角レンズが出ています。それがこちらのレンズ。広角端が10㎜になったかわりにF値が3.5通しになっています。広角レンズの中ではとても明るいレンズなので、室内や夜景の撮影で活躍してくれます。
タムロン超広角レンズ
Tamron AF10-24mm F3.5-4.5 DiII VC HLD
タムロン(TAMRON)から2017年3月に新しい超広角ズームレンズが発売されました。ズームレンジが10㎜~24㎜で、超広角から標準的な広角までカバーできるところが魅力。手振れ補正付きです。さらにAPS-C用レンズとしては珍しく簡易防滴機構になっています。EOS 80DやEOS 7D Mark2などの上位モデルのカメラと組み合わせれば多少の雨も気にせず撮影できます。
キヤノン以外にニコン用も販売されています。
トキナー超広角レンズ
Tokina AT-X 11-20 F2.8 PRO DX
トキナー(Tokina)の超広角レンズはF値が2.8と非常に明るいです。超広角のズームレンズとしては私が知る限りこれが最も明るいです。ちょっと値段が高めですが、明るさとズームレンズの利便性を求める人におすすめのレンズになります。
キヤノン以外にニコン用も販売されています。
サムヤン超広角レンズ
サムヤン(SAMYANG)というメーカーから単焦点の超広角レンズが出ています。
Samyang 10mm F2.8
特徴はF値が2.8と非常に明るく、画質も広角レンズのなかでは良好であること。弱点はオートフォーカスが使えないマニュアルレンズであるということです。値段も比較的安いので星景写真を撮りたい人にぴったりのレンズです。
またキヤノンのEFマウント向け以外にも、ミラーレスのEF-Mマウントや、ニコン、ソニー、富士フイルム、ペンタックス、マイクロフォーサーズなど多様なマウントのレンズを販売しています。
Samyang 8mm F3.5
APS-Cサイズのカメラで魚眼レンズを使いたいならサムヤンの単焦点魚眼レンズがおすすめです。やはりマニュアルフォーカスのレンズなので値段が手ごろに抑えられています。気軽に使ってみるのにちょうど良いレンズです。
ラオワ超広角レンズ
ラオワ(LAOWA)というブランドからもユニークな超広角レンズが出ています。
LAOWA 12mm f/2.8 ZERO-D
このレンズは歪みを極力おさえたゼロ・ディストーションレンズです。広角のレンズは程度の差があれどどれも特有の画像の歪みが出ます。このレンズは徹底的にその歪みを解消しています。
ニコン、ソニー、ペンタックス用もあります。
LAOWA 15mm F4
LAOWAには他にもとても面白いレンズがあります。それがこの超広角マクロレンズ。超広角でありながら最大撮影倍率1倍のマクロレンズです。フルサイズにも対応。
ニコン超広角レンズ
ニコンDXフォーマット向け(APS-Cサイズカメラ向け)としては「Nikon AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR」がお手頃価格で人気です。
ソニー超広角レンズ
ソニーのAPS-Cサイズミラーレスカメラの場合は「SEL1018」のようなズームレンズがあるほか、単焦点レンズにワイドコンバーターをつける方法があります。
ソニー SONY 広角ズームレンズ E 10-18mm F4 OSS ソニー Eマウント用 APS-C専用 SEL1018 |
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ソニーのα6000シリーズなどAPS-Cサイズのカメラ向けの超広角ズームレンズです。 |
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ソニー SONY 単焦点レンズ E 16mm F2.8 ソニー Eマウント用 APS-C専用 SEL16F28 |
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16mmの単焦点広角レンズです。小さくてF値が2.8と明るいのが魅力。別売りのワイドコンバーターをつけることでより広角の撮影ができるようになります。 |
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ソニー SONY 単焦点レンズ E 20mm F2.8 ソニー Eマウント用 APS-C専用 SEL20F28 |
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こちらは20mmの単焦点広角レンズです。あまり強烈な広角レンズではありませんがこれくらいのほうがふだん使いには便利かもしれません。やはり別売りのワイドコンバーターをつけることでより広角の撮影ができるようになります。 |
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ソニー SONY ウルトラワイドコンバーター VCL-ECU2 |
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上で紹介した「SEL16F28」や「SEL20F28」といったレンズにとりつけることでより広角の撮影ができるようになります。16mm→12mmに、20mm→16mmになります。 |
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ソニー SONY フィッシュアイコンバーター VCL-ECF2 |
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上で紹介した「SEL16F28」や「SEL20F28」といったレンズにとりつけることで手軽に魚眼撮影が楽しめるようになります。 |
楽天市場 |
富士フイルム超広角レンズ
富士フイルムの超広角ズームレンズ「XF10-24mmF4 R OIS」は少し値が張りますが、10mmから24mmまでカバーしてF4通しの良いレンズです。
→ ツァイスやF0.95が使えるXマウントの世界!富士フイルムカメラユーザーに人気・おすすめのレンズまとめ
まとめ
超広角レンズは慣れないうちは難しさもありますが、ハマりだすと超広角レンズをずっとつけっぱなしで撮影したくなるくらい楽しいです。まだ使ったことがない人はぜひトライしてみてください!
もっと広角撮影について勉強してみたい方はこちらの本がおすすめです。
建築写真ならこちらをどうぞ。
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