BenQのカラーマネジメントディスプレイ「SW240」をレビューします。写真や映像制作など色を取り扱ううえで非常に高度な性能を持つモニターです。専門的な仕様でありながら値段が安いことで、一般のユーザーからも非常に人気があります。
おそらくこのモニターに興味を持つ人は写真や動画を編集してクリエイティブな作業をする人、色の表示についてこだわりをもつ人でしょう。SW240はカラーマネジメントモニターのなかでは安い価格帯の商品なので、購入を検討する人の多くはカラーマネジメントについてまだ初心者だったり、アマチュアで映像に携わっている人が多いかもしれません。
そこで本レビュー記事では、モニターのレビューはもちろんですが、そもそもカラーマネジメントモニターとはどんなものなのか、そしてそれを使うとどんな良いことがあるのかというところから説明します。
※SW240のレビューだけ読みたい人は目次から後半の見出しを選択してください。
※本記事はBenQ社より依頼を受けてレビュー用の実機をお借りして執筆しています。
同じ映像なのにモニターで見え方がちがう
複数の種類のモニターやノートパソコンのディスプレイが手元にある人ならそれぞれのモニターの映りの違いに気づいたことがあるかもしれません。世の中のモニターは実に多様な映り方をします。
これだけ色が違うとなにを信じたらいいのかわかりませんし、作業するモニターが変わればおのずと自分の編集内容も影響を受けてしまいます。自分で編集したはずなのにあとで見たら自分の好みの色になっていない。そんなこともあることでしょう。
こうなってしまう原因は、簡単に言うとモニターそれぞれの品質が異なるためです。そしてそれぞれのモニターの設定の問題もあります。
人間の目が認識できる色とモニターが表示できる色の違い
例えば色について考えてみましょう。モニターがどういう仕組みでどれくらい色を表現する能力があるのかご存じでしょうか。
まず人間が識別できる色にも限界があるのですがそれを二次元的に表したのが下の図になります。色が塗られたところが人間の目に見える色の範囲です。
そして上の図で色の塗られたところにふたつの三角形が描かれています。これらは代表的な色域で、大きいほうがAdobe RGB、小さいほうがsRGBです。sRGBの色域までのモニターではAdobeRGBの鮮やかなグリーンやシアンの色を出すことはできません。そして一般的なモニターで表現できる色はこのsRGBよりも小さいことが多いです(ちなみにデジタルカメラはAdobeRGBまで対応できるものがほとんど)。
つまり普及しているディスプレイの多くはそもそも色を表示する能力が低いわけです。ウェブサイトやYouTubeなどのWEBの世界では基本的にsRGBで色を表現するのですが、モニターにこの色域をカバーして表現する能力がなければその映像の色を正しく表示することは不可能です。
また、一般的なモニターは色を正確に表現することを必ずしも目指していません。どちらかというと人が見て「きれい」に感じるように派手な色に演出しています。一般ユーザーにとってはなにが正確な色なのかというよりも、見た印象として映像が「きれい」かどうかを気にするからです。テレビ番組や、映画、ゲームの映像などが「きれい」に見えたほうが(コントラストが強かったり色が濃かったほうが)一般的には好ましい評価を得て、そういうモニターが売れます。
調整しないとモニターの表示は変わってしまう
さらに、これも大事なことなのですが、仮に同じディスプレイであっても設定しだいで見え方は変わります。ひどく青っぽく見えたりオレンジがかって見えるときはおそらく色温度の調整がうまくあっていません。
そして画面の明るさによってももちろん見え方は変わります。いつも同じ色で見たいのであれば、画面の明るさは一定にしておくことが望ましいです。画面全体のなかでムラなく均一の明るさになることも大事です。
先ほどの色域の話でいうと、そもそもAdobe RGBで表示するのかsRGBで表示するのかも決めておかないと色が変わります。Adobe RGBで表現された映像をsRGBの表示で見ると本来よりもくすんだ色合いになってしまいます。逆にsRGBの色を無理やりAdobe RGBで見ようとすると不自然に色が濃くなってしまいます。
表示能力に優れて調整機能を備えたモニターが必要
ここまで書いたように、同じ映像でもモニターによってその見え方が様々に異なります。そして汎用的なモニターだとそもそも見え方をそろえようとさえしておらず独自の基準で「きれい」な映りを追求しています。
映像をより確かな基準をもって表現したり、製作者が意図した色を正確に鑑賞するには、色を表示する能力が高くて調整機能がある専門的なモニターを用意しましょう。
BenQ SW240のようなカラーマネジメントモニターは、色を正確に扱うための専門モニターです。色に関わるプロフェッショナルな人たちが使うのはもちろんのこと、アマチュアでも映像に携わる人であれば使う価値のあるものです。幸い近年は徐々にカラーマネジメントモニターの金額的なハードルが下がってきており、数万円ほどの予算から導入できるようになっています。
カラーマネジメントモニターとは
簡単にカラーマネジメントモニターを定義すると、ハードウェアキャリブレーションに対応したモニターがカラーマネジメントモニターです。
ソフトウェアキャリブレーションと ハードウェアキャリブレーション
キャリブレーションとは調整機能のことです。そしてモニターのキャリブレーションには2種類あって、ソフトウェアキャリブレーションとハードウェアキャリブレーションがあります。
ソフトウェアキャリブレーションはパソコンのソフトウェアの処理でモニターの表示を整えます。専用のソフトとセンサーさえ用意すれば基本的にどんなパソコンのモニターでもキャリブレーションできるメリットがあります。
ただしソフトウェア処理では色のデータを間引くことで色の再現性を高めようとするので画質を犠牲にするデメリットがあります。また多くのモニターで導入できるかわりにある程度手動で設定を進めなければならないため、精度があまり期待できません。
一方で、ハードウェアキャリブレーションとはモニター側で色の表示を整える機能を意味します。白色点や輝度、諧調の調整をモニターの出力を変更することで調整します。モニター自体にその機能が備わっていないとできないわけですが、そのかわりモニターが目標(キャリブレーションソフトで決めた設定)に合わせて自動で表示を調整してくれるので簡単かつ正確です。
つまりカラーマネジメントモニターは自動で正確な色の調整機能をもったモニターということです。
参考:ソフトウェア・キャリブレーションとハードウェア・キャリブレーションの違い | EIZO株式会社
キャリブレーター(キャリブレーションセンサー)とセットで使うもの
ハードウェアキャリブレーションにはモニターの映りを計測するキャリブレーションセンサーが必要です。カラーマネジメントモニターによってはセンサーが最初から付属したり内蔵したりしているものがあるのですが、SW240などBenQのカラーマネジメントモニターはすべてセンサー別売りです(2019年6月28日現在)。
キャリブレーション用のセンサーにはいくつか種類があるのですが、BenQはカラーマネジメントソフトをX-rite社と共同で開発しているので、これからBenQのモニターを買う人は「X-rite i1 Display Pro」を合わせて購入することをおすすめします。これがあるとノートPCのディスプレイもソフトウェアキャリブレーションできたりして汎用性も高いので便利です。
参考:ディスプレイの色・見た目をキャリブレーションツールで整えよう!X-rite i1 Display Proレビュー
よくある勘違い
キャリブレーションセンサーは必要ですが、センサーやキャリブレーションソフトさえあればハードウェアキャリブレーションができるわけではありません。モニターにハードウェアキャリブレーション機能が備わってなければいけません。
カラーマネジメントモニターのメリット
カラーマネジメントモニターとはハードウェアキャリブレーションができるモニターだと説明しました。ではハードウェアキャリブレーションができるとどんな良いことがあるのでしょうか。簡単にまとめると次のようなメリットがあります。
- 基準をもって正確な色編集ができる
- 他者との色の認識の齟齬がなくなる(軽減できる)
- 個体差や経時変化に対応できる
WEB向けにsRGBの色を正確に再現できたり、あるいはカメラで記録したAdobe RGBの画像の色を正しく鑑賞できるようになります。RAW現像やカラーグレーディングしている人ならこれは大きなメリットですよね。写真を印刷したいときもキャリブレーションしたモニターで調整したほうが自分の出したい色を表現しやすいです。
また仕事などで複数の人で色の確認をする場合に、それぞれのモニターを同じ設定でキャリブレーションしておけばお互いの色の認識の齟齬がほとんどなくなります。
モニターは精密機器なので同じ製品でも個体差があります。またモニターを使っているうちにだんだんと輝度が下がり、白色点が変わり黄色味がかってしまうという問題もあります。ハードウェアキャリブレーション対応のモニターなら定期的にキャリブレーションで調整することによって、このような色のばらつきの問題を解消することができます。一般的に200時間の使用に対して1回のキャリブレーションをすることが推奨されています。
BenQ SW240はどんなカラーマネジメントモニター?
それではやっと本題ですが、BenQのSW240をご紹介します。
SW240概要 TIPAから表彰されるほどコスパが高い
BenQのカラーマネジメントディスプレイ SW240は、AdobeRGBカバー率99%、sRGBカバー率100%の広色域モニターです。サイズは24型(24.1インチ)。解像度はフルHDより少し縦側に広い1920×1200(WUXGA)で、アスペクト比が16:10です。ハードウェアキャリブレーション対応のモニターとしては比較的安くおよそ5万5千円ほど。業務で使うのはもちろん、アマチュアのフォトグラファーや映像制作に携わる人にも手の出しやすいモデルです。
BenQ SW240は、TIPA AWARDS 2019で「BEST BUDGET PHOTO MONITOR賞」を受賞。つまり最も財布にやさしい写真編集用モニターとして認められたわけです。BenQは「SW2700PT」という製品で手の届きやすい価格帯の本格カラーマネジメントモニターとして一躍注目を集めました(価格は7万円弱)。その後開発・販売されたSW240はさらに本格ディスプレイの導入ハードルを下げることに成功しています。
Adobe RGB対応の広色域モニター
BenQ SW240の色域はとても広く、AdobeRGBカバー率99%、sRGBカバー率100%です。実際に計測した色域が下の図のようになります。
上のほうで説明した色域の画像にSW240の色域を表しています。sRGB(小さい黒い三角形)を余裕でカバーして、Adobe RGB(大きい黒い三角形)とほぼ同じ色域です。
Adobe RGBまでカバーできると緑や青でより鮮やかな色を表現できます。特にネイチャーの写真・動画を扱う人にはその違いが大きいのでAdobe RGBに対応したモニターを好む傾向があるようです(参考:山写さんとfinetrackさんの山岳写真セミナーin神戸に参加しました!)。
※sRGBとAdobeRGBの色の違いがわかるような画像を用意しようとしたのですが、作ってみたもののブログで正確に伝えることは不可能だと考えて取り下げました。Adobe RGBの色を見てみたい人はぜひ実際に広色域モニターを使って色の見え方の違いを比べてみてください。
アスペクト比が16:10
BenQ SW240は24.1インチのモニターなのですが、そのアスペクト比が16:10になっています。一般的なモニターだと16:9の形なのですが、SW240は縦側にすこし広い16:10です。縦に長い分ディスプレイが広々として使いやすいです。
例えばデジカメで撮った写真の多くが基本は3:2のアスペクト比なのですが、これを表示するときは16:9よりも16:10のほうが大きく映すことができます。
よくあるディスプレイ(16:9)の写真の表示
BenQ SW240(16:10)の場合
横向きの写真以外でも縦向きに撮った写真もやはり16:10のほうが大きく表示できます。SW240はモニターそのものを傾けて縦向きにすることも可能ですが、横置きのままでも縦写真が見やすいです。
映像端子は3種類
BenQ SW240が対応している映像端子はDVI-DL、HDMI、DisplayPort がひとつずつです。
上の画像で左からDVI-DL、HDMI、DisplayPortです。その右にはアップストリームのUSB、右端は音声出力(ヘッドフォン)端子があります。
ケーブルも付属するのですが、HDMIのケーブルはないので必要であれば自分で用意しなければなりません。
このほかSDカードリーダーやダウンストリームのUSBがふたつディスプレイ側面にあるので、USBハブのような使い方も可能です。
高さや傾きの調整可能
モニターの高さを調整可能なのでデスクの高さに合わせて使えます。
ティルトの傾きもつけられます。
縦向きにもできます。
縁の部分(ベゼル)はかなり小さいです。
別売りの遮光フードを取り付けられるようになっています。
Palette Master Elementでハードウェアキャリブレーションする方法
BenQ SW240はカラーマネジメントモニターなのでぜひハードウェアキャリブレーションしてみましょう。
SW240のキャリブレーションソフトはPalette Master Elementです。公式サイトのソフトウェアのページからダウンロードできます。
ケーブルの接続をしましょう。映像用のケーブルはもちろんですがそれ以外にUSBケーブルでパソコンとモニターをつなぎます。
上の画像で右側のほうをモニターに、左側のほうをパソコンにつなぎます(もしパソコンに複数のBenQディスプレイを繋いでいるときは後でキャリブレーションが干渉してしまうので、キャリブレーションしないほうのUSBは外しておきます)。
次にキャリブレーションセンサーをモニター側面のUSBポートにつなぎます。
ここまで準備が済んだらキャリブレーションソフトの「Palette Master Element」を起動します。
キャリブレーションするモニターを選び、センサーが正しく認識されているかチェックします。簡易モードと詳細モードはどちらでも構いませんが、ここでは詳細モードを例に紹介します。「開始」をクリックして次の画面に進みます。
プロファイルの作成を選び、画面右下の「次へ」をクリック。
※ちなみにここのページに書いてある「有効化」はたぶんValidation(検証)のことだと思います。また後で同様の表現が出てきて紛らわしいのでそこで再び解説します。
このページがキャリブレーションの設定の肝です。ここでモニターの表示を何に合わせるかを決めます。ここ以外はほとんど自動で行えるのでここだけ設定を手動で行いましょう。
RGBプライマリというのは色域の選択です。合わせたいものを選びます。SW240はせっかくの広色域ディスプレイなのでAdobe RGBに合わせるのが定番かと思います。
あとは白色点や輝度、ガンマの設定です。ここは自分の好みに設定するか、一般的な基準に合わせることになります。人と合わせたいのであれば、この基準に合わせるのが無難です。
印刷(DTP)用の設定
- 白色点:CIEイルミナントD50 / 5000K
- 輝度:80cd/m2
- ガンマ:2.2
WEB用の設定
- 白色点:CIEイルミナントD65 / 6500K
- 輝度:120cd/m2
- ガンマ:2.2
次のページはほとんど設定を変える必要はありません。最初のプリセットのところはキャリブレーションを記憶する番号です。校正1~3まであります。複数のキャリブレーション設定を記憶させたいときに便利です。最初は校正1で良いでしょう。
プロファイルのバージョンは初期設定のままで基本的に大丈夫です。扱うソフトウェアによってはこれらの組み合わせでエラーが起こることがあるようですが、基本的にはデフォルトの設定がベストです。
「測定を開始」をクリックすると画面にキャリブレーションセンサーを設置するよう指示されます。
この際にディスプレイをすこし上向きに傾けるとセンサーがきちんと画面に密着するように設置しやすいです。
あとはソフトが自動でキャリブレーションを行ってくれます。数分で完了します。
これでキャリブレーションは完了です。「キャリブレーションを有効にする」というボタンがあるのですが、別にこれを押さなくてもキャリブレーションは適用されています。先ほども書きましたがおそらく”Validate”という単語の翻訳の問題でどちらかというと「キャリブレーション結果を検証する」という表現のほうが適切でしょう。
試しにクリックしてみるとキャリブレーションの精度が適切かチェックしてくれます。適切にキャリブレーションできていれば「合格」という表示になります。
失敗していると「不合格」の表示です。
一度キャリブレーションしても、時間の経過とともにモニターの表示は徐々に変化してしまいます。なのでこのようにキャリブレーション結果を検証する仕組みが用意されていて、調べることができるわけです。
キャリブレーションが終わるとモニターのカラーモードも設定で選んだものに自動でセットされています。
またディスプレイのカラープロファイルもキャリブレーションの時に設定したものが適用されています。
これで基本的にはカラーマネジメントの設定は完了しているのですが、あと注意したいのは扱うソフトの色空間の設定です。
例えばわたしがRAW現像のときにいつも使っているDPP4では「作業用色空間」という項目で色域を設定できます。普段ブログ用の画像などWEB向けの写真を現像するときはsRGBに、もっと広い色域で写真を鑑賞したり広色域を活かせるような印刷をするときはAdobeRGBに設定しています。
あとはウェブブラウザもカラーマネジメントに対応していないと色表示がうまくいかないことがあります。普通ウェブページなどの表示はsRGBで行われるのですが、広色域モニターを利用する場合ブラウザが適切に処理してくれないとその広い色域のほうに合わせようとして不自然に色が濃くなってしまうことがあります。
わたしの環境では再現できなかったのでもしかしたら最近のブラウザはすべて適切に処理してくれるのかもしれませんが、パソコンやモニターでの設定がソフトウェアで適切に処理できなかったり、ソフトウェアの設定が正しくないことで色の表示がおかしくなる事例があることは頭に入れておくと良いでしょう。
BenQ SW240はおすすめなのか
BenQ カラーマネジメントディスプレイ SW240は実際のところおすすめの商品といえるのかどうか。わたしの経験や知識を総合して個人的な見解をお伝えします。
BenQ SW240の良いところ・悪いところ
カラーマネジメントモニターがどんなものか知りたい人が初めて買うモニターにはちょうど良いと思います。良いところはまずハードウェアキャリブレーションに対応していること。正確な色の調整が可能です。Adobe RGBを99%カバーする広色域ディスプレイなので、ハイレベルなフォトグラファーのニーズも満たしてくれます。これだけの本格仕様で5万円台から購入可能なのはすごいことです。他社の安いカラーマネジメントモニターの場合色域はsRGBまでであることがほとんどです。
デメリットをあげると、解像度が1920×1200(WUXGA)で4Kや2Kにおよばないことが残念です。最近は高解像度のディスプレイが普及しつつあるので比べると物足りなく感じます。それでもアスペクト比が16:10と一般的なモニターよりも縦に広いおかげで写真編集には快適です。24型というサイズも多くの家庭や仕事場で導入しやすい大きさでしょう(大きいほうが見やすいが大きすぎるとデスクに置けなかったり逆に見づらくなる)。
注意が必要なのは、遮光フードは別売りであることや、キャリブレーションセンサーを別途用意しなければならないことです。これらをそろえるとなかなか良い値段になってきます(とはいえそれは他社製品も同じ)。センサーは必須ですし、遮光フードも個人的にはつけることをおすすめします。フードはまわりのモノや照明からの映り込みを遮ってくれる役割をします。より安定した表示を補助してくれます。フードいるの?と思う人は後から必要性を感じたときに買うとよいかもしれません。
ほかの類似商品との比較
カラーマネジメントモニターはBenQのほかにEIZO、NEC、ViewSonic、LGなどからも販売されています。それぞれのメーカーに特徴があるのですが、これから本格的なモニターを導入して写真や動画の編集をしていきたいと考えている人には個人的にBenQかEIZOのモニターをおすすめします。
BenQ SW240と近い価格帯やスペックのカラーマネジメントモニターでいうと、BenQ SW2700PTやEIZO ColorEdge CS2410があります。
BenQ SW2700PT
BenQ SW2700PTはSW240の先輩のようなモニターで、スペックが上のモデルです。27型とすこし大きいサイズで、解像度は2560×1440(WQHD)をサポート。もちろんハードウェアキャリブレーション可能で色域もAdobeRGB対応です。
SW2700PTの場合、遮光フードが標準搭載だったり、便利なOSDコントローラーもあるなど機能が充実しています。価格は7万円弱ですが、遮光フードも込みで考えるとSW240と値段差があまりないのでどうせならこれくらいの機種を選んでも良いかもしれません。
レビュー記事:写真の質が上がるモニターBenQ SW2700PTレビュー!AdobeRGB・ハードウェアキャリブレーション対応
EIZO ColorEdge CS2410
EIZO CS2410は2019年3月に発売されたばかりの新モデルで、現在のEIZOのカラーマネジメントモニターで最も安い製品です。販売価格53,784円(税込・2019年6月28日時点) で、EIZOの製品としては非常に安く注目を集めています(そしてけっこう売れているらしい)。
EIZO CS2410のコスパはセンサー込みで考えるとより魅力的になります。本体+遮光フード+キャリブレーションセンサーのセットで販売価格は79,900円(税込み・2019年6月28日時点)。これはBenQ SW240とX-rite i1Display Proを合わせた価格と同じ、あるいはすこし安いくらいです。
安い理由はCS2410とセットで買えるセンサーがEIZO製品用に特別カスタマイズされたものだから。このセンサーはほかのディスプレイでは使えないですが、そのかわり価格が安くなっています。センサーをこのモニター用としてだけ使うのであればかなりコスパが良いです。
ただし、色域がsRGBまででAdobe RGBには対応していません。この点はBenQ SW240に劣ります。サイズは24.1インチ、解像度は1920×1200(WUXGA)なので、このあたりはBenQ SW240と同じです。
すこし色域は狭くなりますが、ムラ補正機能が搭載されていてモニターの映りの水準は高いです。またEIZO製品は保証期間が5年と長いのも特徴(BenQは3年)。色域がsRGBまでで妥協できるならEIZO CS2410は非常に良い選択だと思います。
CS2410の販売はEIZO直販サイトのみです↓
総評
初めてのカラーマネジメントモニターやサブのモニターとして、BenQ SW240はおすすめできる製品です。最初はこんな専門的なモニターが自分に必要なのか不安になるんですよね。わたしも初めてのカラーマネジメントモニターを買うときは宝の持ち腐れになったらどうしようと思っていました。価格的なハードルが低いのはすごく大事で、5万円くらいでカラーマネジメントモニターが買えてしまうのはやはり魅力的。
わたしが初めて買ったカラーマネジメントモニターを買ったときは「もっと早く買えばよかった」と思いました。高級モニターで映像を見るとやっぱりすごくきれいに見えて良いんですよ。実際に使ってみるとカラーマネジメントについても理解が深まってよかったです。日ごろから写真や動画の色を扱う立場として信頼できるモニターは大事です。
今はBenQのPV270という10万円くらいするさらに良いモニターがわたしのメイン機になっていて、BenQすごく良いなと感じています。いきなりPV270のような水準のモニターを買うのは抵抗があると思うので、最初はSW240くらいがちょうど良いのではないでしょうか。安くてもAdobe RGBまでカバーしている本格仕様なのが嬉しいです。
仮に2台目を買いたいとなったときもBenQなら種類が豊富。かつ値段も安めなので選びやすいです。逆にすでにメインモニターを持っている人がサブとしてSW240を導入するのも良いかもしれませんね。
手ごろな価格帯のカラーマネジメントモニター比較表
製品名 | BenQ SW240 | BenQ SW2700PT | EIZO CS2410 |
---|---|---|---|
価格(本体のみ)※ | 約5万4千円 | – | 約5万4千円 |
価格(遮光フード込み)※ | 約6万5千円 | 約6万8千円 | 約6万8千円 |
サイズ | 24.1インチ | 27インチ | 24.1インチ |
解像度 | 1920×1200(WUXGA) | 2560×1440(WQHD) | 1920×1200(WUXGA) |
色域 | AdobeRGB 99%カバー sRGB 100%カバー |
AdobeRGB 99%カバー sRGB 100%カバー |
sRGB 100%カバー |
保証期間 | 購入から3年 | 購入から3年 | 購入から5年 |
※価格は販売店や時期によって変動します。
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