キヤノンの一眼カメラ用レンズ「EF8-15mm F4L Fisheye USM」をレビューします。魚眼レンズの特徴や面白さを作例写真とともにお伝えします。EFレンズですが、マウントアダプターをつかってRFマウントやEF-Mマウントのミラーレス一眼カメラとともに使うのもおすすめです。
神戸ファインダーをご覧いただきありがとうございます。魚眼レンズ大好きなAki(@Aki_for_fun)です。
今回は使ってる人が少なそうな魚眼レンズのお話。キヤノンの一眼カメラ用レンズ「EF8-15mm F4L Fisheye USM」のレビューです。2018年9月に購入してかれこれ3年弱使っているのですが、これめっちゃおもしろいレンズなんですよ。このレンズで撮った写真もたまってきたので、作例とともに魚眼レンズの面白さや、EF8-15mm F4L Fisheye USMの特徴・魅力についてお伝えします!
EF8-15mm F4L Fisheye USMの仕様と特徴
まずはレンズの仕様の確認から。
キヤノン EF8-15mm F4L Fisheye USMの仕様
画角(水平・垂直・対角線) |
180°0’〜142°0’・180°0’〜91°46’・180°0’〜175°30′
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レンズ構成 | 11群14枚 |
絞り羽根枚数 | 7枚 |
最小絞り | 22 |
最短撮影距離 | 0.15m |
最大撮影倍率 |
0.17倍(8mm時)・0.34倍(15mm時)
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フィルター径 | 後部挟み込み式 |
最大径×長さ |
φ78.5mm×83.0mm
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質量 | 約540g |
参考:キヤノン:EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM|仕様
質量は約540g。レンズの存在感のわりにはふつうの重さのレンズです。EFマウントなのでキヤノンの一眼レフカメラはもちろん、マウントアダプターを介してミラーレス一眼カメラにも使うことができます。
EOS Mシリーズ(EF-Mマウント)のカメラならマウントアダプターEF-EOS Mが必要。
EOS Rシリーズ(RFマウント)のカメラならマウントアダプターEF-EOS Rが必要。
寄って撮れるレンズ
最短撮影距離はわずか15cm。センサーから被写体までの距離が15cmということなので、レンズ前面からかなりぎりぎりの位置まで被写体に近づいて撮ることができます。最大撮影倍率も0.34倍なので比較的大きく写せるレンズです。
最短撮影距離の参考画像↓
前玉からの距離で言うと2~3cmほどまで寄ってもピントが合います。なのでギリギリまで近づこうとするとふつうに被写体とぶつかるので注意してください。
円周魚眼と対角魚眼の両方に対応
「EF8-15mm F4L Fisheye USM」はこのレンズひとつで円周魚眼と対角魚眼の二種類を使い分けることができます。
円周魚眼というのは、丸いレンズで切り取った映像がその丸いまま記録される写真のことです。
上の画像のように長方形の四隅に黒いケラレができる写真です。これを円周魚眼、あるいは全周魚眼と言います。フルサイズのカメラにレンズをつけて焦点距離8mmにするとこのように円周魚眼として撮影できます。APS-Cサイズのカメラだと円周魚眼にはなりません。
一方で対角魚眼は黒いケラレがない写真です。
フルサイズのカメラなら15mm、APS-Cサイズのカメラの場合は10~15mmで対角魚眼になります。
つまり焦点距離によって円周魚眼と対角魚眼を使い分けることができる仕組みです。「EF8-15mm F4L Fisheye USM」のようにズームできる魚眼レンズは珍しいですね。キヤノンユーザーの特権とも言えるようなユニークなレンズです。
この円周魚眼と対角魚眼の使い分けをサポートする仕組みとして、レンズにリミッター(ストッパー)が備わっています。
LIMITのスイッチをオンにすると10mmより広角側にはリングが回らなくなり固定されます。
APS-Cサイズのカメラで撮影する場合10mm~15mmで撮影すればケラレのない対角魚眼の写真が撮れます。レンズフードをつけていてもケラレはでません。
レンズは前に飛び出すような構造になっています。レンズの前玉をどこかにぶつけないように気をつけたほうが良いですね。
レンズキャップは大きな前玉を覆えるように深さがあります。キャップの留め具が外側についているのでうっかり意図せずキャップを外してしまうことがありました。レンズを平らなところに置くときは、前玉が下にくるようにしています。これだとうっかりキャップが外れることはないです。
前玉がでっぱっているので一般的なねじ込み式のフィルターはつけられません。ですがキヤノンの場合、マウントアダプターに可変NDやPLフィルターをはめこむことができます。なのでEOS RシリーズのRFマウントのカメラを使う場合は、対応のマウントアダプターと組み合わせることでフィルターワークも可能です。
独特の歪みがおもしろい
魚眼レンズの面白さのひとつに独特の歪みがあります。どのように歪みが出ているのか分かりやすいように次の画像を用意しました。
これはディスプレイに方眼紙を映してそれを魚眼レンズで撮影しています。本来は縦と横にまっすぐのびているはずの線が曲線になっています。特に中央がふくらんで見えるような歪みですね。
この特徴を利用して様々な撮影を楽しむことができるので、後ほど作例写真をご紹介します。
圧倒的に広い画角
魚眼レンズの画角の広さはふつうの広角レンズの比ではありません。
まず比較として焦点距離24mm(レンズはRF24-105mm F4L IS USM)で撮った写真を見てみましょう。
わたしの部屋です。フルサイズの標準ズームレンズを使うときにありがちな24mmの画角です。
次に同じ位置からレンズを変えてもう少し広角で撮影します。
広角レンズのEF-S10-18mm f/4.5-5.6 IS STMをEOS Rに装着して10mmにしています。自動でクロップするので換算16mmの画角です。
次にEF8-15mm F4L Fisheye USMで15mmです。
非常に画角が広くなりました。
参考までに同じ15mmの画像で歪曲を補正したものもお見せします。
こちらの画像はRAW現像ソフトのDxO PhotoLabでレンズの歪曲補正をしました。編集ソフトを使えばお手軽に歪みを補正することができます。
EF8-15mm F4L Fisheye USMの作例写真
つたない作例ではありますが、わたしがEF8-15mm F4L Fisheye USMで撮影した写真を掲載します。どういった写真が撮れるかや、このレンズの特徴についてレビューします。
あおって見上げるように撮る
個人的に魚眼レンズでよく撮るのはカメラを見上げるような向きにしたアングルの写真です。
枝垂れ桜があればついローアングルで撮っちゃいます。特にもぐりこむようにして撮ると魚眼レンズ特有の歪みのおかげもあって印象的になります。
光条もきれいですね。画角が広いので見上げるように撮ると画角内に太陽が入ることがよくありますが安心して撮ることができます。
ダイナミックな広さと歪みによる非日常感
EF8-15mm F4L Fisheye USMは広く撮れるのがたのしいです。魚眼レンズ特有の歪みがあることで非日常感も演出できます。
魚眼レンズはとても画角が広いので撮影者本人が写真のなかに写り込むこともあります。
この写真はわたしの足の一部と全身の影が写真に写っています。意図せず自分が入ってしまわないように注意したほうが良いですが、あえて構図の中に組み込んでみても面白いかもしれませんね。
モノクロ
構図をより引き立てて見せるためにモノクロに仕上げるのもおすすめです。
解像感および色収差(パープルフリンジ)
解像感や色収差について見てみましょう。まずは次の写真をご覧ください。
上の写真の左上の部分を拡大したものが次の写真です。キヤノンのデジタルレンズオプティマイザという補正をかけています。
拡大しても比較的高い解像感だと思います。広角レンズってだいたい周辺の解像度がわるくなってスッキリしないことが多いですが、このレンズはだいぶ優秀ですね。公式ウェブサイトの仕様ページからMTF特性図を見ても線が上のほうに来ていてその性能の良さを確認できます。
次に同じ部分を補正なしで見てみましょう。
補正無しだと枝のふちに本来はないはずの紫色が見えます。このようなパープルフリンジを避けるには現像ソフトで補正をかけなければなりません。とはいえそんなに派手に出る色ではないので後からの補正で簡単に抑えることができます。カメラ本体の収差補正(レンズ光学補正)やデジタルレンズオプティマイザの設定でも補正可能です。
現像ソフトで普通の広角レンズのように加工できる
独特の歪みが特徴の魚眼レンズですが、RAW現像ソフトや画像編集ソフトでその歪みを補正することもできます。
EF8-15mm F4L Fisheye USMの場合、キヤノン純正のRAW現像ソフト Digital Photo Professional 4(DPP4)において細かく補正することができます。
この補正でどのように変化するか見てみましょう。
歪曲の補正を利用した写真も紹介します。例えば次の写真は「直線を重視」で補正しました。
クロップしても良いのですが横長のアスペクト比の写真は新鮮で面白いです。
魚眼だけど魚眼の歪みにこだわる必要もないと個人的には思っています。編集の段階でふつうの広角っぽくしたほうが面白いと思うなら編集しちゃえば良いです。
ふつうに魚眼で撮ったもの↓
直線があったほうが面白いかもと思って直線のラインが出るように編集。ついでに色もすこし派手にしてみる↓
形を見せるためにモノクロにしてみるのも良いかもと思ってあえて色を抜いてみた↓
魚眼レンズと聞くと癖が強すぎて使いにくいイメージがあるかもしれません。その癖を楽しむのも良いですし、あえてその特徴が目だないようにしてシンプルな超広角レンズとして楽しんでも良いと思います。
たくさんの可能性を秘めたレンズ。ぜひ使ってみて
EF8-15mm F4L Fisheye USMはなかなかほかにない新たな視点に気づくことができる楽しいレンズなのでぜひ遊んでみてほしいです。わたしももっと使い込んでみたいと思っています。
すこし高級なレンズですがふつうに中古でも売ってるのでAmazonやカメラのキタムラ、マップカメラなどでお得に買えそうなレンズを探しても良いと思います。レンタルで数日試してみるのも良いかもしれませんね。ちなみにわたしはAmazonで中古で買いました。
このレンズじゃなくてもぜひ魚眼レンズ使ってみたいと思ってもらえればうれしいです。
参考:キヤノン用魚眼レンズまとめ【CANON・SIGMA・TOKINA・SAMYANGなど】
わたしがEF8-15mm F4L Fisheye USMで撮った写真のFlickrアルバム↓
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