マウスコンピューターの「DAIV-NG7510」をレビューします。AdobeRGBカバー率100%の4Kディスプレイを搭載しているノートパソコン。RAW現像や動画編集をパワフルに行える本格派クリエイターPCです。
参考:マウスコンピューターDAIV新型ノートパソコンを3月に新発売!ナローベゼルの薄型軽量モデルも | 神戸ファインダー
神戸ファインダーをご覧いただきありがとうございます。Aki(@Aki_for_fun)です。マウスコンピューターさんからノートパソコンの「DAIV-NG7510S2-M2SH2」をお借りしてRAW現像や動画編集を試したのでレビューします。以前旧型の「DAIV-NG7500」もお借りしたのですが、NG7510はよりパワーアップして魅力的なパソコンにアップグレードされています。
参考:DAIV-NG7510シリーズ RAW現像からCG/動画編集まで!4K-UHD液晶搭載ノートPC|マウスコンピューター公式ウェブサイト
DAIV-NG7510ってどんなパソコン?
マウスコンピューターがクリエイター・エンジニア向けに販売しているPCブランドの「DAIV」。NG7510はDAIVのノートブックPCのシリーズのひとつです。17.3型でノートPCとしては大型の部類。解像度は4Kをサポート、色域はAdobeRGBカバー率100%となっており、かなり本格派のクリエイターPCです。RAW現像やCG・映像制作用途に適しています。
CPUは「インテル Core i7-8750H プロセッサー」、グラフィックスは「NVIDIA GeForce GTX1070」、ストレージにNVMe対応 M.2 SSDを搭載するなど非常にハイスペック。Thunderbolt3端子やUHS-Ⅱ対応の高速カードリーダーなどインターフェイスも充実しているハイグレードなパソコンです。
価格は安いものでも20万円を超えてカスタマイズしだいで30万円以上になります。ハイパフォーマンスな処理能力が必要なクリエイター向けのパソコンです。
参考:DAIV-NG7510シリーズ RAW現像からCG/動画編集まで!4K-UHD液晶搭載ノートPC|DAIV マウスコンピューターのクリエイター・エンジニア向けPCブランド【公式】
DAIV-NG7510の外観の特徴
マウスコンピューター「DAIV-NG7510」の外観面での特徴を見ていきましょう。
液晶ディスプレイ
液晶ディスプレイは17.3型で、4K-UHD(3840×2160)の解像度をサポート。4Kの高解像度のおかげで写真や動画は精細に映し出され、ソフトのワークスペースを広く使うことができます。ノングレア仕様なのでディスプレイに映り込みが少なく、作業に集中しやすいです。
さらに色域はAdobe RGB比で100%。表現できる色の幅が広く豊かな映像表現が可能です。実際に手元のNG7510のディスプレイの色域を計算してみたところ、Adobe RGBもsRGBもカバー率100%でした(キャリブレーションツールのi1 Display Proでカラープロファイルを作成し、ColorACを用いて色域を計算)。非常に優秀なディスプレイでプロのクリエイターでも納得の品質だと思います。
参考リンク:写真にこだわるなら良いディスプレイが必要!カラーマネジメントモニターの選び方
キーボード・トラックパッド
キーボードのエッジが緩やかな傾斜になっていて美しいデザインです。
キーボードはテンキー搭載でキーピッチ(キーの間隔)が18mm。自然なキー配置で使いやすいです。キーストロークは1.8mmでキーの入力をしっかりと感じられます。打圧感は均等に伝わり、打ちやすいです。
トラックパッド(タッチパッド)はすべすべとした質感で高級感があります。左上には指紋リーダーを搭載。指紋を登録しておくことで安全性を保ちながら、一瞬でサインインできます。
指紋認証は面倒なパスワードを必要としないので、快適でスピーディーにサインインできます。
インターフェイス
DAIV-NG7510の左側面には、映像出力としてHDMI(×1)、mini DisplayPort(×2)があります。そしてUSB 3.1 Type C(×1・Thunderbolt 3)、USB 3.0 Type A(×2)があります。電源端子も左側面にあります。
このUSB-CのポートはThunderbolt3なので非常に高速なデータ転送が可能です。また対応のディスプレイとケーブルを用いれば映像出力とデータ転送の役割を1本のケーブルで担うことができます。
DAIV NG7510 の右側面は、ヘッドフォン出力、マイク入力、SDカードリーダー(UHS-Ⅱ対応・UHS-Ⅰの約3倍の転送速度)、USB 3.1 Type A(×2)、そしてインターネットの有線LANケーブルを繋ぐイーサネットLAN端子があります。もちろん無線LANやBluetoothにも対応しています。
DAIV NG7510はThunderbolt3ポートを備えていることも大きな特徴です。
Thunderbolt3のメリットのひとつは最大転送速度40Gbpsの超高速データ伝送を可能とすることです。外付けドライブなどの性能を存分に活かすことができます。そしてもうひとつのメリットは同じポートで映像出力も行える点です。
対応のディスプレイであればこのようにDAIV NG7510からThunderbolt3を利用して映像出力できます。わたしが使っているディスプレイは「LG 27UK850-W」という4Kディスプレイです。この状態でディスプレイ側に接続しているキーボードやマウスのレシーバー、外付けドライブなどを使うことができます。
ただし、DAIV-NG7510の初期設定では映像出力できないようになっています。BIOSで簡単な設定をするだけで使用できるようになるので使いたい人は下記リンクを参考に設定を行いましょう。
参考:DAIVで「 USB3.1 ( Thunderbolt 3 )」 から対応ディスプレイに映像出力を行う方法
※DAIV-NG7510のThunderbolt3はパワーデリバリーには対応していません。電源は内蔵バッテリーか、AC電源からとらなければなりません。
サイズ・重さ
DAIV-NG7510の本体寸法は幅418.5mm×奥行き290mm×高さ26.4mm(折り畳み時/ 突起部含まず。突起部含むと421.5×292×29mm)。ディスプレイが大きいので幅は広いですが、高性能パソコンのわりには薄型です。
DAIV-NG7510の上にA4用紙、L判写真、コーベアーを置きました。
背面には赤いアクセントカラーが入っていてかっこいいです。
質量は約3.0kg。カスタマイズ次第(メモリの搭載量など)で重さがすこし変動します。
ACアダプターのサイズは実測で高さ34mm×幅87mm×長さ178mm。かなり大きいです。
持ち運びについて
なかなか大型で重たいパソコンなので持ち運びは大変です。高性能なわりにはスマートなサイズ感だと思いますが、気軽に持ち運ぶには向いていません。
わたしが普段使っているカバンのうちピークデザインのトラベルバックパック45Lには入れることが可能でした。しかし、同じくピークデザインのエブリデイバックパック20Lのパソコンポケットには入れることができませんでした。持ち運びを想定している場合はそれに合うカバンが必要です。
写真編集・動画編集用パソコンとして使ってみた感想
写真のRAW現像について
お借りしたDAIV-NG7510を使ってRAW現像を色々と試してみました。簡単に総評するととても快適に作業できました。
例えば写真の書き出しにかかった時間ですが、Adobeのソフトで現像にかかった時間は一枚あたり平均1.5秒ほどでした。
表:RAW現像の書き出しにかかった時間
現像ソフト | 写真の枚数 | 時間 | 時間/枚 |
---|---|---|---|
Adobe Camera RAW | 2400万画素 100枚 |
1分47秒 | 1.07秒 |
3000万画素 100枚 |
2分28秒 | 1.48秒 | |
2400万画素 25枚 |
28秒 | 1.12秒 | |
3000万画素 25枚 |
38秒 | 1.52秒 | |
Canon Digital Photo Professional | 2400万画素 25枚 |
5分52秒 | 14.08秒 |
3000万画素 25枚 |
6分16秒 | 15.04秒 |
※カメラはEOS Kiss M(2400万画素)とEOS R(約3000万画素)を使用。最大サイズ・最高画質で書き出し。
編集過程も快適でした。高画素写真のレタッチでも編集内容を即座に反映してくれます。RAW現像をしている様子の画面キャプチャーが下の動画です。素材はソニーのα7R3で撮影した神戸港の夜景写真。
露出をあげて全体的に明るくしながら、建物の光の色が失われないようにハイライトの部分だけ明るさを抑えました。今回はちょっとクールな都市夜景にしたくて、ホワイトバランスを青めに、明瞭度を上げてくっきりと、ちょっと無骨な雰囲気に仕上げました。
完成した写真
動画編集について
DAIV-NG7510で動画編集してみました。編集ソフトにはDaVinci Resolveを使用。無料バージョンでもかなり本格的な編集を可能にするお気に入りソフトです。DAIV-NG7510は「DaVinci Resolve 推奨パソコン」にも選ばれていて相性ぴったりです。
フルHD60Pや4K30Pくらいならかなり快適に編集できました。4K60Pくらいになってくるとちょっとカクカクしてくることが多くなるのですが、個人的には許容範囲内といった感じでした。
17.3型の大型液晶ディスプレイのおかげで様々な情報をこの一枚のディスプレイで見ることができて快適でした。個人的にはやはり作業に集中するには大きめのディスプレイのほうが好きです。
余談ですが、ごくシンプルな動画の編集もなかなか楽しいですね。スナップ写真のような感覚で撮ったムービークリップをつなぎ合わせてみるだけの簡単な動画を作ってみました。組み写真を作るような感覚の面白さと、動画ならではの動きや音で臨場感も出て写真にはない魅力を感じました。あまり凝った編集ばかりじゃなくても動画を楽しんでも良いのかもしれません。
バッテリーの持続時間について
バッテリーの持続時間は約5.79時間です。この性能のパソコンにしては長い方だと思いますが、あくまで定められている測定方法に則って計測した持続時間なので、実際にRAW現像や動画編集のような重たい作業をしているとそこまで長持ちしません。本格的にクリエイティブな仕事を行うには内蔵バッテリーだけでは心もとないかもしれません。
ファンの音について
パソコンの裏面には熱を逃がすための穴が空いています。写真や動画を編集していると熱が上がるのでファンが回り音がします。
音の大きさは標準的といったところでしょうか。すごく静かというわけではないのですが、特別大きいとも思いませんでした。同じDAIVシリーズでより小型のNG4500やNG5500、NG5720と同じくらいの音の大きさです。ファンの音でいうと「iiyama SENSEの4Kノートパソコン」のほうがうるさく感じました。
DAIV-NG7510のスペック詳細
基本スペックとベンチマーク
DAIV-NG7510シリーズは、CPUが「インテル Core i7-8750H プロセッサー」、グラフィックスが「NVIDIA GeForce GTX1070」で共通しています。
あとはメモリやストレージに関して基本構成が異なるモデルがいくつか用意されていて、それらをカスタマイズして注文できるようになっています(BTO)。
今回わたしがお借りしたモデルは「DAIV-NG7510S2-M2SH2」というものです。販売価格は税別269,800円(2019年1月16日時点)。
参考:仕様詳細|DAIV-NG7510シリーズ「DAIV-NG7510S2-M2SH2」|DAIV マウスコンピューターのクリエイター・エンジニア向けPCブランド【公式】
主なスペック
- CPU:インテル Core i7-8750H プロセッサー
- グラフィックス:NVIDIA GeForce GTX1070 / インテル UHD グラフィックス 630
- メモリ:32GB
- ストレージ:M.2 SSD 256GB (NVMe対応) / HDD 1TB (5400rpm)
- そのほか:UHS-Ⅱ対応SDカードリーダー、Thunderbolt3搭載
CPUだけでなくグラフィックスも高性能なものを積んでいるのでRAW現像はもちろん、動画編集にも強いです。
CPUやグラフィックスなどのことがよくわからない人は次の記事をご覧ください。パソコン初心者のひとでもわかるように解説しています。
→ 写真編集・RAW現像用のパソコンのおすすめスペック!CPU・グラフィックス・メモリはなにが必要?
この「DAIV-NG7510S2-M2SH2」で性能を評価するベンチマークテストを行いました。パソコンの性能を客観的に評価できるようにした数値です。ひとつの目安なので、気になる人は参考にしてください。なんのことかよくわからない人は無視してもらって大丈夫です。数字が大きいほど性能が優れています。
PC Mark10 ベンチマーク
PC Mark10ベンチマークテスト結果 | |
---|---|
総合スコア | 5088 |
基本性能(Essentials) | 8168 |
デジタルクリエイティブ総合スコア (Digital Content Creation) |
6239 |
写真編集の能力(Photo Score) | 8357 |
動画編集の能力(Video Score) | 3421 |
3Dコンテンツ制作の能力 (Rendering and Visualization Score) |
8498 |
このスコアはベンチマークソフトのPC Mark10を用いて算出しています。
「写真編集の処理能力(Photo Score)」は、サムネイルの読み込み、JPEGやPNGへの書き出し、バッチ処理、色やノイズの調整、マスク処理などを行いそれらの快適さを数値として換算。
「動画編集の処理能力(Video Score)」は動画のダウンスケールや、シャープネスの処理、ブレの補正などをすることでそれらの作業の快適さを数値として換算。
参考:PCMark10 Technical Guide.pdf
Crystal Disc Mark ベンチマーク
NVMe対応SSDなので一般的なSSDよりもずっと高速にデータの読み書きができます。
UHS-Ⅱ対応カードリーダーなので、カメラで撮影した写真や動画ファイルの取り込みをスピーディーに行えます。
※SDカードはSanDisk Extreme Pro 128GB UHS-Ⅱを使用しました。
おすすめのモデルとカスタマイズ
DAIV-NG7510シリーズはCPUとグラフィックスが固定なので、カスタマイズするなら他のメモリやストレージの部分になります。メモリは8GBから最大32GBまで選択可能。ストレージは2種類載せることができるので、例えば高速なSSDやNVMe対応 M.2 SSDをメインストレージに、大容量のHDDをサブストレージにすることができます。
RAW現像や動画編集などクリエイティブな作業用に使うのならメモリは16GB以上にすることをおすすめします。DAIV-NG7510は現在基本となるモデルが5つあり、そのうちメモリが16GB以上あるのは「DAIV-NG7510S1-SH5」、「DAIV-NG7510S2-M2SH2」、「DAIV-NG7510U2-M2SS10」の3つです。これらのモデルからあとは予算に応じながらストレージを好みに調整すると選びやすいです。
今回わたしがレビュー用に借りた「DAIV-NG7510S2-M2SH2」はメモリ32GBで、ストレージが高速なM.2 SSD(NVMe対応)256GBをメインにサブとして1TBもの容量のあるHDD なのでとてもバランスが優れています。予算さえ許せば非常におすすめ。
価格を抑えるなら「DAIV-NG7510S1-SH5」も魅力的です。「DaVinci Resolve推奨モデル」としても選ばれている人気機種で価格と性能のバランスが良いです。
参考:写真編集・RAW現像用のパソコンのおすすめスペック!CPU・グラフィックス・メモリはなにが必要?
DAIV-NG7510はどんなユーザーに適しているのか
DAIV-NG7510の良いところ
- CPUが高性能(6コア12スレッド/2.20 GHz・TB時最大4.10 GHz)
- グラフィックスが高性能(GeForce GTX 1070)
- 液晶ディスプレイの色域がAdobeRGBカバー率100%
- NVMe対応M.2 SSD搭載でデータの読み込み・書き込みが速い
- カードリーダーがUHS-Ⅱ対応
- 充実のインターフェイスでThunderbolt3も搭載
- デザインがかっこいい
- 日本メーカー・24時間サポートで安心
DAIV-NG7510の残念なところ
- 大きくて重たい
- 光学ドライブ非搭載
- 価格が20万円以上する
DAIV-NG7510はクリエイター向けPCの中でも特に高性能なノート型パソコンです。CPUが優秀なのはもちろんですが、グラフィックスがGeForce GTX 1070なのでRAW現像だけでなく4K動画編集にも向いています。
液晶ディスプレイがハイスペックである点も大きな魅力です。DAIV-NG7510なら4K映像を確認・鑑賞できます。ノート型なので例えばドローンで撮影した4K映像をそのまま撮影現場でプレビューするという使い方もできます。ドローン撮影のように撮影を再びやり直すことが大変な場合、現場で等倍鑑賞してすみずみまで映像を確認できたほうが安心です。色域がAdobe RGBカバー率100%なので、プロのカメラマンやレタッチャーも安心して使えます。テザー撮影にも向いているでしょう。
またデータの読み書きを行う内蔵ドライブや外部機器とのインターフェイスも非常にクオリティが高いものばかりそろっています。NVMe対応M.2 SSD、UHS-Ⅱ対応カードリーダー、Thunderbolt3などのおかげで、時間効率よくデータを取り扱うことができます。せっかちな人や、仕事が忙しい人に嬉しい仕様です。
またマウスコンピューターは国内生産で、サポート24時間体制の安心のBTOパソコンメーカーです。パソコンにあまり詳しくないひとにとってはマウスの手厚いサポートは頼りになります(参考:マウスコンピューターは日本の会社って知ってた?どんな企業なのか詳しく解説します)。
結論:今回紹介したマウスコンピューター「DAIV-NG7510」はRAW現像や動画編集用のパソコンが欲しい人にとてもおすすめ。デスクトップパソコン並みのパフォーマンスと高品質ディスプレイを兼ね備えたモバイルPCです。
DAIV-NG7510シリーズ詳細を確認
マウスコンピューター公式ウェブサイト
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