マウスコンピューターの「DAIV-NG7630」をレビューします。第9世代のCPUやGeForce GTX1080を搭載したハイエンドノートパソコンです。AdobeRGBカバー率100%の4Kディスプレイを搭載していて、RAW現像や動画編集をパワフルに行えます。
→ DAIV-NG7700 マウスコンピューター公式ウェブサイト
神戸ファインダーをご覧いただきありがとうございます。Aki(@Aki_for_fun)です。マウスコンピューターさんからノートパソコンの「DAIV-NG7630」をお借りしました。RAW現像や動画編集を試したのでレビューします。
参考:DAIV-NG7630シリーズ より高みへ。高負荷処理でも場所を選ばないハイエンドノート|DAIV マウスコンピューターのクリエイター・エンジニア向けPCブランド【公式】
DAIV-NG7630ってどんなパソコン?
マウスコンピューターがクリエイター・エンジニア向けに販売しているPCブランドの「DAIV」。NG7630はDAIVのなかのノートブックPCのなかで最上位に位置するシリーズです。17.3型の大型液晶ディスプレイで、解像度は4Kをサポート、色域はAdobeRGBカバー率100%となっており、かなり本格派のクリエイターPCです。RAW現像やCG・映像制作用途に適しています。
第9世代CPUの「Core i9-9900K」や、「Core i7-9700K」を搭載、グラフィックスは「NVIDIA GeForce GTX 1080」、ストレージにNVMe対応 M.2 SSDを搭載するなど非常にハイスペック。Thunderbolt3端子やUHS-Ⅱ対応の高速カードリーダーなどインターフェイスも充実しています。
価格は35万円オーバー。並みのデスクトップPCでは太刀打ちできないような超高級ハイスペックノートパソコンです。
同じくDAIVの17.3型ノートPCのDAIV-NG7510と比較してもDAIV -NG7630はそれよりも分厚い重量級のパソコンです。まるでデスクトップパソコンのような存在感があります。
参考:DAIV-NG7630シリーズ より高みへ。高負荷処理でも場所を選ばないハイエンドノート
DAIV-NG7630の外観の特徴
液晶ディスプレイ
液晶ディスプレイは17.3型と大きいのでソフトのワークスペースを広く使うことができます。4K-UHD(3840×2160)の解像度をサポートし、写真や動画を精細に映し出します。ノングレア仕様のおかげでディスプレイに照明や自分の顔があまり映り込まず見やすいです。
さらに色域はAdobe RGBを100%カバー。表現できる色の幅が広とても広いです。実際に手元のNG7630のディスプレイの色域を計算してみたところ、Adobe RGBもsRGBもカバー率100%でした(キャリブレーションツールのi1 Display Proでカラープロファイルを作成し、ColorACを用いて色域を計算)。非常に優秀なディスプレイでプロのクリエイターでも納得の品質だと思います。
参考リンク:写真にこだわるなら良いディスプレイが必要!カラーマネジメントモニターの選び方
キーボード・トラックパッド
キーボードのエッジが緩やかな傾斜になっていて美しいデザインです。キーボードはテンキー搭載。キーピッチは18.4mm。自然なキー配置で使いやすいです。
キーはゲーミングPCのような個性的なデザインです。キーストローク(キーの深さ)は2.0mmでキーの入力をしっかりと感じられます。打圧感は均等に伝わり、打ちやすいです。
トラックパッド(タッチパッド)の左上には指紋リーダーを搭載。指紋を登録しておくことで安全性を保ちながら、一瞬でサインインできます。
指を何度ものせることで指紋を登録します。最初に登録さえ済ませてしまえば、今後は面倒なパスワードを必要とせず指をのせるだけでスピーディーにサインインできます。
インターフェイス
DAIV-NG7630の左側面には、イーサネットLAN端子とUSB 3.1 Type C(×2・ひとつはThunderbolt 3)、USB 3.0 Type A(×2)があります。UHS-Ⅱ対応のSDカードリーダーも搭載。
Thunderbolt3対応のUSB-Cポートを利用すれば、USB3.0の約8倍を誇る最大転送速度40Gbpsの非常に高速なデータ転送が可能になります。
また対応のディスプレイ(例えばLG 27UK850-W)を用いれば、映像出力とデータ転送の役割をThunderbolt3のケーブル1本で担うことができます。すっきりとした配線でありながら、ディスプレイ側に接続しているキーボードやマウスのレシーバー、外付けドライブなどを使うことができて便利です。
ただし、DAIV-NG7630の初期設定では映像出力できないようになっています。BIOSで簡単な設定をするだけで使用できるようになるので使いたい人は下記リンクを参考に設定を行いましょう。
参考:DAIVで「 USB3.1 ( Thunderbolt 3 )」 から対応ディスプレイに映像出力を行う方法
※DAIV-NG7630のThunderbolt3はパワーデリバリーには対応していません。電源は内蔵バッテリーか、AC電源からとらなければなりません。
DAIV-NG7630 の右側面は、ラインインやラインアウト、ヘッドフォン出力、マイク入力など音声に関する端子を備えています。そしてUSB 3.0 Type A(×2)があります。
背面には映像出力のHDMI(×1)、mini DisplayPort(×2)があります。そして電源端子も背面にあります。
サイズ・重さ
DAIV-NG7630の本体寸法は幅417mm×奥行き295mm×高さ41.9mm(折り畳み時/ 突起部含まず。突起部含むと417×295×43.2)。
質量は約4.3kg。カスタマイズ次第(メモリの搭載量など)で重さがすこし変動します。
ディスプレイサイズが大きいだけでなく、非常に厚みがあります。かなり重量級のノートパソコンです。
DAIV-NG7630の上にA4用紙、L判写真、コーベアーを置きました。
ACアダプターのサイズは実測で高さ34mm×幅87mm×長さ178mm。かなり大きいです。
持ち運びについて
とても大型で重たいパソコンなので持ち運びは大変です。気軽な持ち運びには向いていません。
わたしが普段使っているカバンに、ピークデザインのトラベルバックパック45Lとエブリデイバックパック20Lがありますが、いずれのパソコンポケットにも入れることができませんでした。持ち運びを想定している場合はそれに合うカバンやケースが必要です。
写真編集・動画編集用パソコンとして使ってみた感想
写真のRAW現像について
このDAIV-NG7630で写真のRAW現像をしました。非常にパワフルな処理能力で感動しました。
CPUにCore i9 9900Kを載せたDAIV-NG7630っていうノートパソコン使ってるんやけど、現像の書き出しがめちゃ早い。時間を買うという意味でも高性能パソコンはありだよなぁ。。
— Aki 神戸ファインダー (@Aki_for_fun) 2019年1月9日
表:DAIV-NG7630 Core i9 9900K搭載モデルの場合
現像ソフト | 写真の枚数 | 時間 | 時間/枚 |
---|---|---|---|
Adobe Camera RAW | 2400万画素 100枚 |
1分19秒 | 0.79秒 |
3000万画素 100枚 |
1分49秒 | 1.09秒 | |
4240万画素 100枚 |
2分39秒 | 1.59秒 | |
2400万画素 25枚 |
20秒 | 0.8秒 | |
3000万画素 25枚 |
29秒 | 1.16秒 | |
4240万画素 25枚 |
43秒 | 1.72秒 | |
Canon Digital Photo Professional | 2400万画素 25枚 |
4分36秒 | 11.04秒 |
3000万画素 25枚 |
6分2秒 | 14.48秒 |
※カメラはEOS Kiss M(2400万画素)、EOS R(約3000万画素)、A7R3(約4240万画素)を使用。最大サイズ・最高画質で書き出し。
表をご覧いただくとわかるように、環境しだいでは写真1枚の書き出しに1秒もかかっていません。驚異的なスピードです。
編集の過程も特に滞りなく快適でした。RAW現像をしている様子の画面キャプチャーが下の動画です。素材はソニーのα7R3で撮影した神戸の風景写真(神戸市役所展望ロビーより撮影)。
ハイライトの諧調を損なわないようにアンダーに撮っていた素材だったのでまず露出をあげます。明暗差が大きいのでハイライトとシャドウのバランスを整えて、それぞれのディティールを見えるようにしました。
ガラス越しに撮影したため色被りしていたので、ホワイトバランスの色を調整しました。くっきりと見えるようにかすみの除去を行い、シャープネスの調整を行いました。
完成した写真
動画編集について
DAIV-NG7630で動画編集しました。編集ソフトにはDaVinci Resolveを使用。フルHDはもちろん4K素材の動画でも快適に編集できます。さすがに加工を加えた4K60Pのムービーをすぐにリアルタイムプレビューでコマ落ちなく再生することは難しいようですが、特に支障ないと思います。
普通本格的な編集となると外部モニターに繋ぐとは思いますが、DAIV-NG7630の17.3型4K液晶ディスプレイなら外部機器と接続しなくてもそのまま精細で豊かな色の映像を確認できます。カラーグレーディングの際も色やシャープネスの処理を確認しやすかったです。
バッテリーの持続時間について
バッテリーの持続時間は約2.8時間です(JEITA測定法2.0)。高性能なパーツを搭載しているためバッテリーはあまり持ちません。また性能をフルに発揮するためにもAC電源は必須と言えるでしょう。
ファンの音について
パソコンの裏面には熱を逃がすための穴が空いています。写真や動画を編集していると熱が上がるのでファンが回り音がします。
意外と音はそんなに大きくありませんでした。パソコンのサイズが大きく高性能なぶんファンもうるさいかとおもったのですがごく標準的です。
DAIV-NG7630のスペック詳細
基本スペックとベンチマーク
DAIV-NG7630シリーズは、CPUに「インテル Core i9-9900K プロセッサー」や「インテル Core i7-9700K プロセッサー」を選べます。またグラフィックスは「NVIDIA GeForce GTX1080」で共通しています。あとはメモリやストレージに関して基本構成が異なるモデルがいくつか用意されていて、それらをカスタマイズして注文できるようになっています(BTO)。
※ただし記事執筆時点では各モデルが売り切れていてあまり選択肢がありません。
今回わたしがお借りしたモデルは「DAIV-NG7630S1-M2S5」の初期構成モデルと、同モデルのCPUをインテル Core i9-9900K プロセッサーにしたものです。「DAIV-NG7630S1-M2S5」の販売価格は税別359,800円(2019年1月17日時点)。
主なスペック
- CPU:インテル Core i9-9900K プロセッサー
- グラフィックス:NVIDIA GeForce GTX1080
- メモリ:32GB
- ストレージ:M.2 SSD 52GB (NVMe対応)
- そのほか:UHS-Ⅱ対応SDカードリーダー、Thunderbolt3搭載
参考:仕様詳細|DAIV-NG7630シリーズ 「DAIV-NG7630S1-M2S5」|DAIV マウスコンピューターのクリエイター・エンジニア向けPCブランド【公式】
CPUだけでなくグラフィックスも高性能なものを積んでいるのでRAW現像はもちろん、動画編集にも強いです。
CPUやグラフィックスなどのことがよくわからない人は次の記事をご覧ください。パソコン初心者のひとでもわかるように解説しています。
→ 写真編集・RAW現像用のパソコンのおすすめスペック!CPU・グラフィックス・メモリはなにが必要?
この「DAIV-NG7630S1-M2S5」(Core i9-9900K搭載モデル)で性能を評価するベンチマークテストを行いました。パソコンの性能を客観的に評価できるようにした数値です。ひとつの目安なので、気になる人は参考にしてください。なんのことかよくわからない人は無視してもらって大丈夫です。数字が大きいほど性能が優れています。
PC Mark10 ベンチマーク
PC Mark10ベンチマークテスト結果 | |
---|---|
総合スコア | 6703 |
基本性能(Essentials) | 9293 |
デジタルクリエイティブ総合スコア (Digital Content Creation) |
9450 |
写真編集の能力(Photo Score) | 9963 |
動画編集の能力(Video Score) | 6153 |
3Dコンテンツ制作の能力 (Rendering and Visualization Score) |
13767 |
このスコアはベンチマークソフトのPC Mark10を用いて算出しています。
「写真編集の処理能力(Photo Score)」は、サムネイルの読み込み、JPEGやPNGへの書き出し、バッチ処理、色やノイズの調整、マスク処理などを行いそれらの快適さを数値として換算。
「動画編集の処理能力(Video Score)」は動画のダウンスケールや、シャープネスの処理、ブレの補正などをすることでそれらの作業の快適さを数値として換算。
参考:PCMark10 Technical Guide.pdf
Crystal Disc Mark ベンチマーク
NVMe対応SSDなので一般的なSSDよりもずっと高速にデータの読み書きができます。
UHS-Ⅱ対応カードリーダーなので、カメラで撮影した写真や動画ファイルの取り込みを高速に行えます。
※SDカードはSanDisk Extreme Pro 128GB UHS-Ⅱを使用しました。
おすすめのモデルとカスタマイズ
DAIV-NG7630シリーズは現状モデルの選択肢があまりありません。当面は「DAIV-NG7630H1-SH2」の在庫がわずかという状態のようです。
CPUは標準で「インテル Core i9-9900K プロセッサー」なので、カスタマイズするとすればストレージをNVMe対応のM.2 SSDにすることをおすすめします。普通のSSDの3倍以上のデータ転送速度になります。重たいデータを取り扱うのであれば高速のドライブのほうが快適に作業できます。
参考:写真編集・RAW現像用のパソコンのおすすめスペック!CPU・グラフィックス・メモリはなにが必要?
DAIV-NG7630はどんなユーザーに適しているのか
DAIV-NG7630の良いところ
- 第9世代CPU搭載で高性能
- グラフィックスが高性能(GeForce GTX 1080)
- 液晶ディスプレイの色域がAdobeRGBカバー率100%
- NVMe対応M.2 SSD搭載でデータの読み込み・書き込みが速い
- カードリーダーがUHS-Ⅱ対応
- 充実のインターフェイスでThunderbolt3も搭載
- 日本メーカー・24時間サポートで安心
DAIV-NG7630の残念なところ
- とても大きくて重たい
- 光学ドライブ非搭載
- 価格が30万円以上する
DAIV-NG7630はクリエイター向けPCの中でもトップレベルの性能を有するノート型パソコンです。インテルCore i9-9900Kのような超高性能CPUを搭載して、グラフィックスがGeForce GTX 1080なのでRAW現像においても動画編集においても高いパフォーマンスを発揮します。高画素写真でも4K動画でも存分に扱えるでしょう。
またマウスコンピューターは国内生産で、サポート24時間体制の安心のBTOパソコンメーカーです。パソコンにあまり詳しくないひとにとってはマウスの手厚いサポートは頼りになります(参考:マウスコンピューターは日本の会社って知ってた?どんな企業なのか詳しく解説します)。
結論:今回紹介したマウスコンピューター「DAIV-NG7630」は非常に性能が優れたパソコンで、RAW現像や動画編集に向いています。大きくて重たいというデメリットはありますが、デスクトップ並みのパフォーマンスを期待できます。
DAIV-NG7630シリーズ詳細を確認
マウスコンピューター公式ウェブサイト
このクラスのパソコン購入を検討している人はデスクトップも一応検討することをおすすめします。
→ おすすめデスクトップパソコン:RAW現像・動画編集向けパソコン マウスコンピューターDAIV×神戸ファインダー コラボモデル
→ DAIV-NG7700 マウスコンピューター公式ウェブサイト
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